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二章 精霊姫 人間界に降りる
ご機嫌斜めは誰か
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入口の近くに沢山の冒険者がいる。その中には勿論女性パーティーも居る。
そこで・・・一つの女性パーティーが近寄って来た。
「あの・・・すみません。」
髪を肩口で切り揃えられた豊満な女性がロイ義兄様に話しかけた。
それを見て、私も思わず眉間に皺が寄ってしまう。
「・・・何か」
ロイ義兄様は、ニコリとも笑わず無表情で答えるが、相手の女性は気にする素振りもなく
「私たちこのダンジョン初めてなんです。良かったらご一緒しませんか?」
と、言ってきた。
私達も初めてだから、あなた達の助けにはならないのだけれど・・・まぁ、強さと言う事であれば、力にはなれるけれど・・・。
「いや、私達も初めてだから君たちの期待には応えられない。それに私には連れもいるので遠慮する。」
ロイ義兄様は、考えるまでもなく直ぐに断ると、女性はロイ義兄様の腕を取ろうと手を伸ばし・・・た所で、ロイ義兄様は後ろに一歩下がり、逃れる。
女性も避けられるとは思っていなかったようで、手は宙を切りそのままの姿勢で固まったが、直ぐに手を元に戻し、今度はロイ義兄様の隣にいるミリアの婚約者に視線を向ける。
「ねぇ、男2人でダンジョン潜ってもつまらないでしょ?一緒に行きましょうよ?」
と言うが、まず前提が間違っている。彼らは男2人ではなく、婚約者と愛する女性を連れて来ているのだ。
誰がそんな話に乗ると思うのか。
「残念ながら、私たちは2人で来ているわけではない。」
チラッと後ろにいるミリアに視線を投げる。
「可愛い婚約者と一緒なんだよね。邪魔しないで欲しいな。」
ミリアがピクリと反応する。
さっきまで手を硬く握り、怒りに顔を赤くしていただろうに、今は手を解き、その手を頬に当てている。
きっと、『可愛い婚約者』と言われて、照れて顔を赤くしているのだろう。
「・・・婚約者?こんなダンジョンに?フードで顔を隠さなくちゃいけないような女なんでしょ?私達の方が良いと思うのだけど。」
良くもまぁ好き放題言える。
ミリアと貴方達なんて比べるまでもないわ。
ミリアの可愛さを見せれば、一発で黙らせられるけど、注目を浴びている今ミリアのフードを外すのは良くない。
何の為に、フードを被って顔を隠しているのか意味がなくなってしまう。
「・・・君たちの様なものたちとこれ以上話すつもりはない。さがれ」
おっと、ミリアを侮辱されてお怒りの様だ。
彼の周りにパチパチと魔力が弾ける。
流石に、彼女達も彼の怒りが伝わったのか、顔を青褪めながら後退りし、消えて行った。
「フォルス、魔力が乱れているぞ。これからダンジョンに潜るのだから落ち着きなさい」
「・・・ふぅ。申し訳ありません。少し感情が昂ってしまいました。」
落ち着くように一度深く息を吐き、ロイ義兄様に謝罪する。
ミリアは、彼が自分の為に、怒りを顕にしたのが嬉しかったのか、彼の指に自分の指を絡めていた。
本当に仲良しさんだな。
「まぁ、お前が怒るのも無理はないが。余り目立つのは良くない。」
「はい、気をつけます。」
「それでは、これ以上絡まれても面倒だからダンジョンに潜ろうか。」
「「「はい」」」
入口で、女性冒険者に絡まれたが、それ以上何事もなく、ダンジョンに潜る事が出来た。
初級冒険者向けのエリアは、身体強化を掛けて、一気に駆け抜ける。
ここで狩りをした所で、私たちにも初級冒険者にも旨味は何もない。
一気に駆け抜け、15層の下にあるセーフティーエリアにまで降りてきた。
一旦ここで、早めの昼食を取る事にした。
次は、20層まで狩りをしながら進む。
今日は20層の下にあるセーフティーエリアでテントを張ることになる。
彼らは、基本的に剣を使うが、貴族らしく魔力も多いため、適度に魔法も合わせて戦闘を行う。
ロイ義兄様は氷魔法を、フォルス様は火魔法を、ミリアは水魔法を使う。
因みに私は・・・水と聖と時空間を使えると言うことにしてある。
休憩中に飲む水は、私のお店で販売している、タンブラーと飲料水を使っている。
この様な地下だと水辺などはないので、各自自分で飲料水を持参しなければならない。
そこで、私のお店で販売している飲料水とタンブラーが活躍する。
水が入っている珠に魔力を少量流し込み、タンブラーに入れると、タンブラーが水で満たされる優れもの。
しかも、水だけでなく果実水などの種類もあり、お好みで楽しめる。
私はライチ水、ミリアはピーチ水、ロイ義兄様とフォルス様はレモンとミント水となった。
女性陣は甘い飲み物で、男性陣はスッキリする感じの飲み物になった。
私も食事中は、油を流してスッキリ出来るレモンとミント水が好きかな。
食後は、口腔内を浄化するレモンタブレットを食べるから、食後すぐスッキリ出来るけれどね。
男性陣は、ミントのタブレットを好んでいる様なので、ミントの商品を何かもっと考えないと勿体無いなと思った。
一瞬で歯磨きした効果が得られるのは、異世界ならでは。めっちゃ楽。
ロイ義兄様が、私にそっと近付いて来て『リアは、ヤキモチ焼いてくれたのかな?』と、耳元で囁かれた。
そこで・・・一つの女性パーティーが近寄って来た。
「あの・・・すみません。」
髪を肩口で切り揃えられた豊満な女性がロイ義兄様に話しかけた。
それを見て、私も思わず眉間に皺が寄ってしまう。
「・・・何か」
ロイ義兄様は、ニコリとも笑わず無表情で答えるが、相手の女性は気にする素振りもなく
「私たちこのダンジョン初めてなんです。良かったらご一緒しませんか?」
と、言ってきた。
私達も初めてだから、あなた達の助けにはならないのだけれど・・・まぁ、強さと言う事であれば、力にはなれるけれど・・・。
「いや、私達も初めてだから君たちの期待には応えられない。それに私には連れもいるので遠慮する。」
ロイ義兄様は、考えるまでもなく直ぐに断ると、女性はロイ義兄様の腕を取ろうと手を伸ばし・・・た所で、ロイ義兄様は後ろに一歩下がり、逃れる。
女性も避けられるとは思っていなかったようで、手は宙を切りそのままの姿勢で固まったが、直ぐに手を元に戻し、今度はロイ義兄様の隣にいるミリアの婚約者に視線を向ける。
「ねぇ、男2人でダンジョン潜ってもつまらないでしょ?一緒に行きましょうよ?」
と言うが、まず前提が間違っている。彼らは男2人ではなく、婚約者と愛する女性を連れて来ているのだ。
誰がそんな話に乗ると思うのか。
「残念ながら、私たちは2人で来ているわけではない。」
チラッと後ろにいるミリアに視線を投げる。
「可愛い婚約者と一緒なんだよね。邪魔しないで欲しいな。」
ミリアがピクリと反応する。
さっきまで手を硬く握り、怒りに顔を赤くしていただろうに、今は手を解き、その手を頬に当てている。
きっと、『可愛い婚約者』と言われて、照れて顔を赤くしているのだろう。
「・・・婚約者?こんなダンジョンに?フードで顔を隠さなくちゃいけないような女なんでしょ?私達の方が良いと思うのだけど。」
良くもまぁ好き放題言える。
ミリアと貴方達なんて比べるまでもないわ。
ミリアの可愛さを見せれば、一発で黙らせられるけど、注目を浴びている今ミリアのフードを外すのは良くない。
何の為に、フードを被って顔を隠しているのか意味がなくなってしまう。
「・・・君たちの様なものたちとこれ以上話すつもりはない。さがれ」
おっと、ミリアを侮辱されてお怒りの様だ。
彼の周りにパチパチと魔力が弾ける。
流石に、彼女達も彼の怒りが伝わったのか、顔を青褪めながら後退りし、消えて行った。
「フォルス、魔力が乱れているぞ。これからダンジョンに潜るのだから落ち着きなさい」
「・・・ふぅ。申し訳ありません。少し感情が昂ってしまいました。」
落ち着くように一度深く息を吐き、ロイ義兄様に謝罪する。
ミリアは、彼が自分の為に、怒りを顕にしたのが嬉しかったのか、彼の指に自分の指を絡めていた。
本当に仲良しさんだな。
「まぁ、お前が怒るのも無理はないが。余り目立つのは良くない。」
「はい、気をつけます。」
「それでは、これ以上絡まれても面倒だからダンジョンに潜ろうか。」
「「「はい」」」
入口で、女性冒険者に絡まれたが、それ以上何事もなく、ダンジョンに潜る事が出来た。
初級冒険者向けのエリアは、身体強化を掛けて、一気に駆け抜ける。
ここで狩りをした所で、私たちにも初級冒険者にも旨味は何もない。
一気に駆け抜け、15層の下にあるセーフティーエリアにまで降りてきた。
一旦ここで、早めの昼食を取る事にした。
次は、20層まで狩りをしながら進む。
今日は20層の下にあるセーフティーエリアでテントを張ることになる。
彼らは、基本的に剣を使うが、貴族らしく魔力も多いため、適度に魔法も合わせて戦闘を行う。
ロイ義兄様は氷魔法を、フォルス様は火魔法を、ミリアは水魔法を使う。
因みに私は・・・水と聖と時空間を使えると言うことにしてある。
休憩中に飲む水は、私のお店で販売している、タンブラーと飲料水を使っている。
この様な地下だと水辺などはないので、各自自分で飲料水を持参しなければならない。
そこで、私のお店で販売している飲料水とタンブラーが活躍する。
水が入っている珠に魔力を少量流し込み、タンブラーに入れると、タンブラーが水で満たされる優れもの。
しかも、水だけでなく果実水などの種類もあり、お好みで楽しめる。
私はライチ水、ミリアはピーチ水、ロイ義兄様とフォルス様はレモンとミント水となった。
女性陣は甘い飲み物で、男性陣はスッキリする感じの飲み物になった。
私も食事中は、油を流してスッキリ出来るレモンとミント水が好きかな。
食後は、口腔内を浄化するレモンタブレットを食べるから、食後すぐスッキリ出来るけれどね。
男性陣は、ミントのタブレットを好んでいる様なので、ミントの商品を何かもっと考えないと勿体無いなと思った。
一瞬で歯磨きした効果が得られるのは、異世界ならでは。めっちゃ楽。
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