上 下
33 / 106
二章 精霊姫 人間界に降りる

ロイ義兄様と過ごす夜

しおりを挟む
 多数のお店と打ち合わせをした結果、とても時間が掛かってしまったので、夕食には間に合わず、部屋で取ることにした。

 マグニート辺境伯領とは味付けが違うが、此方の味付けも美味しい。食事が美味しいって大事。
 帰る前に、料理長に沢山作って貰って、マジックバッグ に入れて持って帰ろう。
 なんか食い意地張ってるみたいで、言い難いけど・・・。
 とは言っても、私は聖霊姫。人間ではない。主食は基本的に果物と木の実。
 人間達が食べる食事は少し摘む程度で、量は食べれない。
 それでも、美味しいものは少しでも良いので口にしたい。なので、沢山作って貰ったら、ちょこっとずつ食べるので、下手すると1年は持つかもしれない。

 私の今のお気に入りは、木の実入りのパン。歯ごたえといい味といい、美味。
 これは、常に持っておきたいので、沢山焼いて貰おう。
 味付けは、料理長にお任せしているけど、木の実については、聖霊樹に実っていたのを提供して私専用に作って貰っている。ただ、滞在中は、リッドラン辺境伯家の人達にも味わって欲しいので、多めに提供している。

 マグニート辺境伯領に戻ったら、そっちの料理長にもお願いして、違う味の木の実パン作って貰おう。楽しみー!

 聖霊姫達のマジックバッグ の中って、もーそれはそれは色んなものが大量に入ってるんだよね。
 これ、入れっぱなしなのは勿体無いので、中身を空っぽにする勢いで色々使ったり、売り払ったりして、経済を回していきたいな。
 また大金が手に入りそうだから、何に使うかも考えなくちゃ。

 さて、今何時かなー?
 ほむ。20時かー。んー、どうしようかな。そろそろロイ義兄様の所行くか。22時位まで待つか。
 20時だから、流石に行ってすぐベッドに・・・なんて事はないかな。
 ちょっとお茶をしながらお話しして夜も更けてきてーかな。

 んー、もう行こっかな。
 ロイ義兄様には加護を与えてるので、ピンポイントでロイ義兄様の所に転移が出来る。

 【転移】

 ふわりと降り立てば、ロイ義兄様に抱き締められる。

 「私の愛しい子。待っていたよ。」

 頭、目元、頬と口付けを落としていき、手が後頭部に回り、深く口付けされる。

 「ん・・・ロイ義兄さ・・・んぁ・・・ふっ・・・んんっ」

 もー、転移して早々気持ち良すぎる。
 最後にチュッと軽く口付けて離れていく。

 「今日は一日ずっとリアが来るのが待ち遠しかったよ。」

 髪を一房掬い、「愛しているよ」と言いながら、口付けを落とす。いつもの儀式。

 「ロイ義兄様・・・転移して早々熱烈な歓迎ですね。お茶淹れますか?それともお酒を?」

 「今か今かと待っていたからね。つい気が急いてしまった。丁度一杯やっていた所でね。お酒はもう良いかな。リアを味わいたい。」

 頬を指でスリッとなぞり、妖艶に微笑んでくるロイ義兄様。
 んんんっ、早速ですか。そうですか。良いですとも。

 同意を示す様に頬に寄せられた手を握り、掌に口付けを落とし、チラリとロイ義兄様を仰ぎ見る。
 ロイ義兄様の瞳は、ギラギラと熱を帯び、今にも食べられそうな雰囲気だ。

 「リア・・・」

 再度深く口付けをされて、抱き上げられる。
 鍛えられた体躯、グラつくこともなく、安定して抱いたままベッドまで歩く。
 ゆっくりと丁寧にベッドに落とされた、髪を梳かれる。
 本当にロイ義兄様は、私の髪好きだなーと、惚けながら思う。
 イケメンは、正義だな。私こんなにイケメン好きだったっけ?

 ロイ義兄様は、いつも私を慈しみ、愛を何度も囁きながら、抱いてくれる。優しく抱きながらも時折欲望のままに激しく。
 私は、どちらの抱かれ方も好きだった。
 我慢出来ずに、激しく求められるのも可愛いと思ってしまう。
 愛され、求められて、肌の温もりを感じる事に、幸せを感じる。
 素肌で触れ合い抱きしめて眠るだけでも、満足出来る不思議。私、前世で人肌が恋しかったのかな。

 ◇◇◇

 ロイ義兄様が満足して、水分補給の為に、果実水を口移しで飲まされ、微睡む。
 今何時だろう。

 ・・・0時過ぎ。
 約4時間やりまくってたわけね。
 相変わらず、その見た目で、その性欲は何処から来るんだ?と、思わずにはいられない。

 「リア、体は大丈夫かい?」

 私の腰を優しく摩りながら、こめかみに口付けを落とし、ロイ義兄様が声を掛けてくる。

 「んー、少し怠いですが、大丈夫です。」

 ベッドに腰を掛けているロイ義兄様の腰に抱きつき返事をする。

 「ふふっ。リアは本当に可愛いね。ちゅっ。あー、もういっか「ダメです!」」

 まだヤル気なの!?冗談でしょ!?無理無理!!

 「仕方無いね。今はもうやめとくよ。もう深夜だ。リアも疲れただろうし、そろそろ寝ようか。」

 「はい。ロイ義兄様、お休みなさい。」
 
 「お休み。私のリア。ちゅっ。」

 ロイ義兄様に後ろから抱き込まれ、温かな体温に包まれ、すぐ眠りに落ちた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

【完結】番が見つかった恋人に今日も溺愛されてますっ…何故っ!?

ハリエニシダ・レン
恋愛
大好きな恋人に番が見つかった。 当然のごとく別れて、彼は私の事など綺麗さっぱり忘れて番といちゃいちゃ幸せに暮らし始める…… と思っていたのに…!?? 狼獣人×ウサギ獣人。 ※安心のR15仕様。 ----- 主人公サイドは切なくないのですが、番サイドがちょっと切なくなりました。予定外!

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...