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二章 精霊姫 人間界に降りる

ロイ義兄様と過ごす夜

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 多数のお店と打ち合わせをした結果、とても時間が掛かってしまったので、夕食には間に合わず、部屋で取ることにした。

 マグニート辺境伯領とは味付けが違うが、此方の味付けも美味しい。食事が美味しいって大事。
 帰る前に、料理長に沢山作って貰って、マジックバッグ に入れて持って帰ろう。
 なんか食い意地張ってるみたいで、言い難いけど・・・。
 とは言っても、私は聖霊姫。人間ではない。主食は基本的に果物と木の実。
 人間達が食べる食事は少し摘む程度で、量は食べれない。
 それでも、美味しいものは少しでも良いので口にしたい。なので、沢山作って貰ったら、ちょこっとずつ食べるので、下手すると1年は持つかもしれない。

 私の今のお気に入りは、木の実入りのパン。歯ごたえといい味といい、美味。
 これは、常に持っておきたいので、沢山焼いて貰おう。
 味付けは、料理長にお任せしているけど、木の実については、聖霊樹に実っていたのを提供して私専用に作って貰っている。ただ、滞在中は、リッドラン辺境伯家の人達にも味わって欲しいので、多めに提供している。

 マグニート辺境伯領に戻ったら、そっちの料理長にもお願いして、違う味の木の実パン作って貰おう。楽しみー!

 聖霊姫達のマジックバッグ の中って、もーそれはそれは色んなものが大量に入ってるんだよね。
 これ、入れっぱなしなのは勿体無いので、中身を空っぽにする勢いで色々使ったり、売り払ったりして、経済を回していきたいな。
 また大金が手に入りそうだから、何に使うかも考えなくちゃ。

 さて、今何時かなー?
 ほむ。20時かー。んー、どうしようかな。そろそろロイ義兄様の所行くか。22時位まで待つか。
 20時だから、流石に行ってすぐベッドに・・・なんて事はないかな。
 ちょっとお茶をしながらお話しして夜も更けてきてーかな。

 んー、もう行こっかな。
 ロイ義兄様には加護を与えてるので、ピンポイントでロイ義兄様の所に転移が出来る。

 【転移】

 ふわりと降り立てば、ロイ義兄様に抱き締められる。

 「私の愛しい子。待っていたよ。」

 頭、目元、頬と口付けを落としていき、手が後頭部に回り、深く口付けされる。

 「ん・・・ロイ義兄さ・・・んぁ・・・ふっ・・・んんっ」

 もー、転移して早々気持ち良すぎる。
 最後にチュッと軽く口付けて離れていく。

 「今日は一日ずっとリアが来るのが待ち遠しかったよ。」

 髪を一房掬い、「愛しているよ」と言いながら、口付けを落とす。いつもの儀式。

 「ロイ義兄様・・・転移して早々熱烈な歓迎ですね。お茶淹れますか?それともお酒を?」

 「今か今かと待っていたからね。つい気が急いてしまった。丁度一杯やっていた所でね。お酒はもう良いかな。リアを味わいたい。」

 頬を指でスリッとなぞり、妖艶に微笑んでくるロイ義兄様。
 んんんっ、早速ですか。そうですか。良いですとも。

 同意を示す様に頬に寄せられた手を握り、掌に口付けを落とし、チラリとロイ義兄様を仰ぎ見る。
 ロイ義兄様の瞳は、ギラギラと熱を帯び、今にも食べられそうな雰囲気だ。

 「リア・・・」

 再度深く口付けをされて、抱き上げられる。
 鍛えられた体躯、グラつくこともなく、安定して抱いたままベッドまで歩く。
 ゆっくりと丁寧にベッドに落とされた、髪を梳かれる。
 本当にロイ義兄様は、私の髪好きだなーと、惚けながら思う。
 イケメンは、正義だな。私こんなにイケメン好きだったっけ?

 ロイ義兄様は、いつも私を慈しみ、愛を何度も囁きながら、抱いてくれる。優しく抱きながらも時折欲望のままに激しく。
 私は、どちらの抱かれ方も好きだった。
 我慢出来ずに、激しく求められるのも可愛いと思ってしまう。
 愛され、求められて、肌の温もりを感じる事に、幸せを感じる。
 素肌で触れ合い抱きしめて眠るだけでも、満足出来る不思議。私、前世で人肌が恋しかったのかな。

 ◇◇◇

 ロイ義兄様が満足して、水分補給の為に、果実水を口移しで飲まされ、微睡む。
 今何時だろう。

 ・・・0時過ぎ。
 約4時間やりまくってたわけね。
 相変わらず、その見た目で、その性欲は何処から来るんだ?と、思わずにはいられない。

 「リア、体は大丈夫かい?」

 私の腰を優しく摩りながら、こめかみに口付けを落とし、ロイ義兄様が声を掛けてくる。

 「んー、少し怠いですが、大丈夫です。」

 ベッドに腰を掛けているロイ義兄様の腰に抱きつき返事をする。

 「ふふっ。リアは本当に可愛いね。ちゅっ。あー、もういっか「ダメです!」」

 まだヤル気なの!?冗談でしょ!?無理無理!!

 「仕方無いね。今はもうやめとくよ。もう深夜だ。リアも疲れただろうし、そろそろ寝ようか。」

 「はい。ロイ義兄様、お休みなさい。」
 
 「お休み。私のリア。ちゅっ。」

 ロイ義兄様に後ろから抱き込まれ、温かな体温に包まれ、すぐ眠りに落ちた。
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