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三章 精霊姫 側妃になる

ダブルでお祝い

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 実は、本日正妃様も体調を崩されたという事で、侍医の診察を受けた。

 はい。皆さまお分かりだろうか?

 そう!そうなのです!!

 なんと!正妃様もご懐妊!!!!!!!!!!

 正妃様の懇願により、私を王宮へ迎える前日に閨を共にし、その時に出来た子だったそうだ。

 これね。もうちょっと早ければ、側妃娶らずに済んだという、なんとも言えない状況。
 正妃様は、もう少し早ければ!と悔しい思いをしているとの事。
 そうだよねー・・・もう少し早く子を授かっていれば、側妃の話は断ち消えて、ヴァン様を独り占めできたんだもんね。
 タイミングがなー。

 ここで肝心の性別。
 正妃様のお子が男児だった場合、我が子の立場が宜しくない。
 侍女が仕入れた情報では、正妃様のお子は女児だったとの事!

 (良かった!性別が被ってなくて本当に良かった!)

 正妃様は王女を産む。
 成人したら、同盟国などに嫁ぐ感じになるだろう。
 同盟国の王族相手の婚姻となると、側妃の王女より、正妃様から生まれた王女が血筋的に好まれる。私が王女を産んだ場合は、国内の貴族に嫁がせるのが妥当。

 正妃様は、悪阻で体調を崩されてるとの事で、正妃様の仕事はヴァンと側近たちで、分けているそう。
 ヴァンは、仕事が増えて、水晶宮に訪れる時間も遅くなってきて、疲れが目に見えて分かる。
 私は、政務に携われない身なので、話を聞く事しか出来ない。

 ヴァンが倒れたら大変なので、精霊樹の実やリンゴ、オレンジなどを使った焼き菓子を差し入れたり、疲労回復効果のあるライチ酒を毎日寝る前に1杯飲んで貰っている。

 朝食もヴァンの物には、ドラゴンの肉を食事やシチューなどといった、栄養満点な食事を出して貰っている。

 因みに、このドラゴンの肉は、私のマジックバッグから出して提供している。
 ドラゴンの肉も希少で中々市場に出回らない高価なお肉だ。

 私は、歴代の精霊姫から引き継いだマジックバッグから、有り難く頂いている。

 仕事量が増えた頃は、顔に疲労が滲んで居たが、今では顔色も良く、夜もぐっすり眠り、朝には疲れも取れ、スッキリ目覚められてる様で、調子が良さそうです良かった!

 ◇ ◇ ◇

 妊娠が発覚してから、すぐに王家御用達の被服店ウォーター・リリーにベビーグッズを発注。

 ・・・お分かりだろうか?

 そう!店名!・・・『睡蓮』だよね?

 この世界に、睡蓮が無い事は精霊達に確認済み。
 もしかしなくとも、歴代の精霊姫が関わっているのでは!?
 もしくは、精霊姫以外の転生者かな?

 肌着とお包を発注し、2ヶ月経った頃に、納品された。
 既に性別も分かっている状態なので、名前も決まっている。

 『レオンハルト・オニキス・ライオネル』

 名前の刺繍が入った状態で納品して貰っているので、私がそれに刺繍図面を参考にしながら、刺繍を入れていく。
 私の色の糸を使って刺繍した肌着と、ヴァン様の色の糸を使って刺繍した肌着やお包みを用意した。

 『姫さまー!姫様ひめさまー!!!!!これ赤ちゃんの?可愛いねー!』
 『本当だー!赤ちゃんのだね!姫様の赤ちゃん、父親にそっくりだねー。』
 『うんうん。そっくりだー!』

 (ん!?今なんて言った!?)

 「・・・今、ヴァン様に似ているって言ったのかな?あなた達には、赤ちゃんが見えてるのかな?」

 『見えるよー。父親と同じ黒髪に、黄金色の瞳だよ。』
 『うんうん。目鼻立ちも父親の赤ちゃんの頃によく似ている筈だよー。』

 (今、妊娠5ヶ月程だけど、そこまで分かっちゃうの?精霊恐るべし!)

 もしかしなくても、私が『ヴァン様に似た可愛い赤ちゃんが欲しい』って思っちゃったからだったりするのかな?
 精霊姫特典恐ろしいからなー。

 よし、ベビー服は、ヴァン様が着ていた物を参考にして注文しよう。
 後、4~5ヶ月で赤ちゃんに会える!
 産まれる前に、私は16歳から17歳になる。
 17歳で母親になるなんて、前世では考えたことも無かった。

 ヴァン様は、一月前に、21歳になられた。
 国を挙げて盛大に祝われ、夜会が終わり、遅い時間に後宮に来られたが、とても疲れていた。
 私は、朝食の席でお祝いを渡したので、誰よりも早くお祝いを渡せて満足!

 プレゼントは、私の手料理と、疲労回復効果のある手作り飴。これは、最近作業部屋で、試行錯誤して作った物。
 執務中に、気軽に糖分も取れ、疲労も軽減出来たら良いなと思って作った物。
 これから、味のバリエーションを増やして、商会で販売しても良いかもしれない。

 最後は、取っておきの魔道具をプレゼント!
 私とヴァン様お揃いのリングになっていて、魔法陣が組み込まれた魔石が付いている。
 ヴァン様のリングには私の瞳の色の魔石。私のリングには、ヴァン様の瞳の色の魔石が嵌められている。

 リングに魔力を流す事で、対になってるリングを持っている相手と、念話が出来ると言う代物。
 私とロイ義兄様はピアスで、ヴァンとは指輪と言う様に分けてみた。

 これは、販売予定なし。
 ヴァン様とロイ義兄様と専属侍女のサラだけの特別な魔道具。

 これを応用して、念話ではなく、リモートで会議ができる様な物を作って、王侯貴族に高値で売り付けるのも有りかもしれない。

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