上 下
79 / 106
三章 精霊姫 側妃になる

王太子殿下とティータイム

しおりを挟む

 「スティーリア様、王太子殿下がいらっしゃいました」

 「分かったわ」

 遠目から見ても、イケメンオーラを放ってるわー。
 手足が長いってだけで、イケメン度増し増しだわ。

 サラサラ艶々黒髪が、短く整えられてて、決まってるなー。
 凛々しい目元が・・・今!微笑みましたけどー!!え?微笑んだよね!?
 あれ?親しい間柄の人にしか見せないんじゃ・・・1日でもう親しくなったのかな?私たち。

 「やあ、スティーリア。今日は、誘いを受けてくれて有難う」

 「此方こそ、お誘い有難うございます。本日は、私のおすすめのお茶菓子を用意させたので、楽しんで頂ければと思います。さぁ、殿下お掛けください」

 「スティーリア・・・」

 腰を引き寄せられ、額に口付けを落とす・・・。

 (え!?なに?なに?なにーーーーーーーーー!?)

 「で、殿下?」

 「スティーリア。私の事は、ヴァンと呼んで欲しい。昨夜は無理をさせたが、体は大丈夫か?」

 甘い!雰囲気があまーい!

 「あの、えっと・・・体の方は、ゆっくり湯に浸かり、侍女達が体を解してくれたお陰で、大丈夫です。ご心配ありがとうございます。殿下」

 「ヴァンだ」

 「え?」

 「ヴァンと呼んで欲しい」

 「・・・ヴァン様?」

 「いい子だ」

 ちゅっ。

 こんな所で何してくれてるんですかー!ヴァン様ー!
 恥ずかしすぎる。せめて人目を気にして欲しい・・・。
 あー、王族や貴族は、使用人は人の目に入らないんだったか・・・。

 「あの、ヴァン様、恥ずかしいので、外では、そういう事は控えて頂けると嬉しいですわ。あと、私の事は、リアとお呼び下さい」

 殿下だけ愛称と言うのもなんなので、私も愛称で呼んで貰おう!
 でも、なんでレオニードの愛称である、レオじゃなくて、ミドルネームのヴァン呼びなんだろう。

 「ふっ、リアは恥ずかしがり屋なんだな。使用人達は、こう言う時は目を逸らすものだ。気にする必要はない」

 「え、いや、それはちょっっっっ!んー!ふぁ、ヴァン、まって、ムーーー!!!」

 (こんな所で、閨の時のような口付けをするなんてー!!)

 ヴァン様が満足するまで、ひたすら口の中を貪られ、お茶会前にグッタリ。

 「リア、すまない。頬を染めて、恥ずかしがるお前が愛らしくて、触れずには居られない」

 (あれ、ヴァン様って溺愛系王子なの?あれー?予想と違いすぎてビックリなんですが。取り敢えず、お茶会を始めたい・・・料理人が頑張ってくれた、スイーツが食べたい)

 「ヴァン様・・・少し我慢して頂けると嬉しいです。ヴァン様とのお茶会を楽しみに待っておりましたので、そろそろ席に着いても宜しいですか?」

 「あぁ、すまない。私も楽しみにしていた。座ろうか」

 「はい。・・・あの、ヴァン様?」

 「ん?どうした?」

 (「ん?」じゃないわー!何でそんなに引っ付いて座るのー!)

 「あの、少し近い様な気が致します。ヴァン様も狭いと、思いますので、私はそちらの席へ移動・・・」

 「いや、問題ない。このままで良いだろう。さぁ、リアのおすすめを頂こうか」

 (3人がけのソファーに、私の腰を抱き寄せて、ピッタリと座るって・・・諦めよう)

 「ヴァン様、こちらは、我が辺境伯領にて収穫した、オレンジと精霊樹の実を使った焼き菓子でございます。甘さ控えめで食べやすく、栄養価もあるので、忙しくて食事を抜いてしまった時などに、摘むのにも丁度良いのです」

 「それは、楽しみだ。どれ。・・・この実は塩気があり、食感も楽しめて、オレンジとも相性が良い様だ。これは美味しいな。是非王宮の料理長にも作り方を教えてほしい。公務の合間に摘むのに、良さそうだ」

 「お気に召して頂けて良かったです。料理人も喜ぶ事でしょう。後程、王太子宮に伺う様に申し伝えておきますわ」

 「助かる。ほら、リアの好きな焼き菓子なのであろう?お食べ」

 (・・・これは、所謂あーんですよね?もう今更だよね。食べちゃえ!)

 「ふふっ。やっぱり美味しいです。うちの料理人は素晴らしいですわ」

 (な・・・なに?めっちゃ見つめてくるんですけど。今度は何!?)

 「ヴァン様?どうしまし・・・っっっ!ふっ、あっ!」

 (またなのー!?お茶会って何ー!?お茶飲んでないし、お菓子も一口しか食べてないよー!)

 先程とは違い、ソファーの上なので、私はクッションの上に押し付けられ、ヴァン様に覆いかぶさる様に、深く深く口付けをされる。
 仕方なしに、されるがままに流されていると、ヴァン様の手がスカートの中に!

 「~~~~~~っ!!んーーーー!!んんんーーーーー!!!」

 (こんな所で、盛らないでー!せめてベッドでー!ここ外ー!庭園!周りに使用人もいるのよー!)

 「はぁはぁはぁ。ヴァン様・・・」

 「そんな目を潤ませて、可愛い顔を見せられたら、やめられないよ?」
 
 ちゅっ。ちゅっ。

 (こんなところで、そんな事するから、生理的な涙が出てしまったんじゃないかー!もー、カイン様ー!この人の何処が淡白なのよー!)

 「ヴァン様!こんな外でこの様な事はいけませんわ。あの、せめて二人っきりでベッドの上にいる時にして頂けると、嬉しいです」

 あー、もう!私ったら何言ってるの。恥ずかしい!
 両手で顔を隠し、羞恥に耐えるしかない。

 「あー、可愛いな。ちゅっ。ちゅっ。今夜もたっぷり可愛がってやろう。残念だが、そろそろ行かねばならない。ちゅっ」

 「あ、ヴァン様。まだ食べて頂いてないお菓子がありますので、是非お持ち下さい。休憩時間にでも食べて下さい」

 「あぁ、頂いて行こう。ありがとう。また夜に。ちゅっ」

 はぁー・・・疲れた。
 あれ?子作りにここ来たんだったよね?
 溺愛されにきたんだったっけ?

 「スティーリア様・・・お茶のご用意をしておりますので、少し此方で休まれてから部屋に戻られますか?」

 「そうね。そうするわ。なんか疲れちゃったし・・・」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

碓氷唯
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

処理中です...