74 / 106
三章 精霊姫 側妃になる
結婚式
しおりを挟む
正妃の結婚式とは違い、国民へのお披露目もなく、王宮内にある教会で、重要ポストにいる臣下と王家と辺境伯という限られた人数で式が行われた。
これについては、特に不満はない。
国民へのお披露目パレードなんて見せ物みたいで嫌だし、窮屈なドレスを何時間も着ていたくないので、ささっと式が済ませられるならば、それに越したことはない。
ただ、精霊達が、キャッキャと興奮して、式の間教会内がキラキラ輝き、精霊達の祝福が凄かったので、参列者達が絶句していた。
・・・まぁ、これもしょうがないかな。
王太子殿下とは、教会で、ヴェールをあげた時に2度目の顔合わせになったが・・・精悍な顔立ち、切長の目元がセクシーなイケメン。
これなら、産まれてくる子は美形だわ!
ヴェールを上げた王太子殿下は、嬉しそうに目を細めて、優しく唇に口付けを落とした。
・・・ん?唇?
そう!『唇に口付け』をしたの!
普通でしょ?って思う?思うよね?
でもね。事前に『式では、額に口付けをします』って、殿下の側近から説明があったのよー!
アレかな?殿下も緊張して間違えちゃった感じかな。
私に説明した側近の彼、殿下が唇に口付けしたのを見て、驚愕してたよ。
殿下のエスコートで、教会から出て行く時は、臣下の人達が、私を値踏みする様に見てきて辟易したな。
まぁ、夜会には一度だけ出ただけで、お茶会とか社交を一切してこなかったから、初めて見る顔で、こんなの居たか?ってなるのも、しょうがないかな。
教会から出て、扉が閉まって少し緊張が緩む。
静かに息を吐き出し、心を落ち着ける。
・・・斜め上から視線を感じる。
話したことないから、もう一度挨拶しておこう。
「王太子殿下。スティーリア・マグニートでございます。」
さっとドレスを掴み、カーテシーをする。
辺境伯滞在中に、しっかり礼儀作法を身に付けたので、完璧でしょ!
静まり返った廊下で、息を飲む音が聞こえる。
えーっと、早くなんとか言って欲しいのですけどー。
「・・・王太子のレオニード・ヴァン・ライオネルだ。此度は、まだ年若いそなたに、側妃として嫁ぐ事になり申し訳ないと思っている。不便がない様、出来るだけ意思を尊重して行こうと思っている。何か希望があればすぐに言ってほしい」
「はい、ありがとうございます」
「疲れただろう。水晶宮でゆっくり過ごすといい。では、先に失礼する。」
黒髪に金色の瞳。すらっと長い手足、剣術に長けてるだけあって、鍛えあげられた体躯。いやー、イケメンだわー。彼に似た子供産んだら、めっちゃ美形だと思う!
元々口数の多い人では無いと聞いていたし、女性を侍らすような好色王子でも無い。
いつも笑顔なキラキラで、なよっとした王子という訳ではなく、精悍で威厳が感じられる王太子。中々好印象だ。
普段は、余り笑顔を見せることはないが、付き合いの長い側近や正妃の前では、笑顔を見せることもあるとか。
中々ガードが堅そう。
今夜は、初夜だけど、大丈夫なのかな。
流石に、私が嫁ぐ意味もわかってるよね?
なんなら、私が身籠るまで、正妃との閨は禁止されてるから、私を避けることは出来ないはず。
まぁ、王家に生まれたものの宿命だよね。
それにしても、あっさりしてたな。
私って見染められて嫁いできたんだったよね?
「姫様。水晶宮へご案内致します」
辺境伯領から連れてきた侍女が声を掛ける。
「ここでは、姫様呼びは駄目よ。側妃様呼びが良いかもしれないわね」
辺境伯領では、精霊姫として、姫様呼びを容認していたが、流石に王宮でその呼び方は不適切だろう。
「畏まりました。では、側妃様参りましょう」
これについては、特に不満はない。
国民へのお披露目パレードなんて見せ物みたいで嫌だし、窮屈なドレスを何時間も着ていたくないので、ささっと式が済ませられるならば、それに越したことはない。
ただ、精霊達が、キャッキャと興奮して、式の間教会内がキラキラ輝き、精霊達の祝福が凄かったので、参列者達が絶句していた。
・・・まぁ、これもしょうがないかな。
王太子殿下とは、教会で、ヴェールをあげた時に2度目の顔合わせになったが・・・精悍な顔立ち、切長の目元がセクシーなイケメン。
これなら、産まれてくる子は美形だわ!
ヴェールを上げた王太子殿下は、嬉しそうに目を細めて、優しく唇に口付けを落とした。
・・・ん?唇?
そう!『唇に口付け』をしたの!
普通でしょ?って思う?思うよね?
でもね。事前に『式では、額に口付けをします』って、殿下の側近から説明があったのよー!
アレかな?殿下も緊張して間違えちゃった感じかな。
私に説明した側近の彼、殿下が唇に口付けしたのを見て、驚愕してたよ。
殿下のエスコートで、教会から出て行く時は、臣下の人達が、私を値踏みする様に見てきて辟易したな。
まぁ、夜会には一度だけ出ただけで、お茶会とか社交を一切してこなかったから、初めて見る顔で、こんなの居たか?ってなるのも、しょうがないかな。
教会から出て、扉が閉まって少し緊張が緩む。
静かに息を吐き出し、心を落ち着ける。
・・・斜め上から視線を感じる。
話したことないから、もう一度挨拶しておこう。
「王太子殿下。スティーリア・マグニートでございます。」
さっとドレスを掴み、カーテシーをする。
辺境伯滞在中に、しっかり礼儀作法を身に付けたので、完璧でしょ!
静まり返った廊下で、息を飲む音が聞こえる。
えーっと、早くなんとか言って欲しいのですけどー。
「・・・王太子のレオニード・ヴァン・ライオネルだ。此度は、まだ年若いそなたに、側妃として嫁ぐ事になり申し訳ないと思っている。不便がない様、出来るだけ意思を尊重して行こうと思っている。何か希望があればすぐに言ってほしい」
「はい、ありがとうございます」
「疲れただろう。水晶宮でゆっくり過ごすといい。では、先に失礼する。」
黒髪に金色の瞳。すらっと長い手足、剣術に長けてるだけあって、鍛えあげられた体躯。いやー、イケメンだわー。彼に似た子供産んだら、めっちゃ美形だと思う!
元々口数の多い人では無いと聞いていたし、女性を侍らすような好色王子でも無い。
いつも笑顔なキラキラで、なよっとした王子という訳ではなく、精悍で威厳が感じられる王太子。中々好印象だ。
普段は、余り笑顔を見せることはないが、付き合いの長い側近や正妃の前では、笑顔を見せることもあるとか。
中々ガードが堅そう。
今夜は、初夜だけど、大丈夫なのかな。
流石に、私が嫁ぐ意味もわかってるよね?
なんなら、私が身籠るまで、正妃との閨は禁止されてるから、私を避けることは出来ないはず。
まぁ、王家に生まれたものの宿命だよね。
それにしても、あっさりしてたな。
私って見染められて嫁いできたんだったよね?
「姫様。水晶宮へご案内致します」
辺境伯領から連れてきた侍女が声を掛ける。
「ここでは、姫様呼びは駄目よ。側妃様呼びが良いかもしれないわね」
辺境伯領では、精霊姫として、姫様呼びを容認していたが、流石に王宮でその呼び方は不適切だろう。
「畏まりました。では、側妃様参りましょう」
21
お気に入りに追加
405
あなたにおすすめの小説
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる