今世は精霊姫 〜チートで異世界を謳歌する。冒険者?薬師?...側妃!?番!?〜

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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二章 精霊姫 人間界に降りる

リッドラン辺境伯とご対面

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 護衛の一人が、先行してリッドラン辺境伯家に向かい、間もなく到着予定である事を伝えていた為か、ご当主自ら出迎え。

 「遠い所、ようこそ。我がリッドラン辺境伯領へ。長旅でお疲れでしょう。」

 菫色の髪を後ろで一つに縛り、柔らかく微笑む美丈夫。
 結婚式の時にも思ったけど、当主って皆美形なの?お義父様といい、リッドラン辺境伯といい。
 国境を守る家柄だから、もっとゴツいと思ってたけど・・・。いや、まぁ、体格は鍛えられてる感じで、良い身体してそうだけど!
 物腰柔らかいなー。騎士というよりは、魔術師っぽい雰囲気なんだよね。

 「ランドール様、結婚式以来ですね。その節は有難うございました。この度はお世話になります。ただ、今回馬車を改造いたしまして、寛いで移動することが出来、疲れていないのです。」

 そこで、チラッと私に目を向けたので、ここは静かに頷く。

 「ですので、宜しければ、早速お話をさせて頂ければと思うのですが、如何でしょうか?」

 「それはそれは。この長旅を快適に過ごせる馬車とは、興味深いですね。是非お話をお伺いしたいですね。応接室へご案内しましょう。」

 夫人のティーナ様は、静かにランドール様に寄り添っておられる。
 夫を立てて、付き従う感じのご夫人だよね。

 ティーナ様とは、庭園の話をするだけだから、後でいいかな。
 先ずは、ランドール様と細かい話を詰めて、業者の手配などをお願いしないと。


 ◇◇◇


 「この度は、我が領地に孤児院を新設して頂けるとか?使用人の服を一新するのと、騎士団の制服なども新調すると聞いてるよ。そこまでして貰うのは、気が引けたんだが、レオナルドが縁を繋いだ事だし、これから宜しくという意味で受け取って欲しいと言うので、心して受けることにしたんだよ。有難う。」

 そう、リッドラン辺境伯領は、冬の寒さも有り、領内で生産できる物が少なく、裕福とは言い難い。貧しい訳ではないが、質素倹約をモットーにしている。

 「いえ、此方こそ、リッドラン家と縁を繋げた事嬉しく思っています。微力ながらお力になれるのであれば嬉しいです。」

 ここでは、次期当主である、ロイ義兄様が話を進めていく。事前にロイ義兄様にプレゼン済みなので、サクサク進めてくれるだろう。

 「レオナルドから手紙で色々聞いていてね。使用人の服をリメイクしてくれる店と、新しい使用人の服を作ってくれる店も手配している。今日は、疲れていると思って、明日邸へ来る様手配しているが、どうだろうか?」
 
 おぉー、お義父様とランドール様、素晴らしい行動力です。
 サクサク進みそう!

 「迅速な対応有難うございます。明日で大丈夫です。後、孤児院を建てるにあたっての業者をご紹介頂きたいです。」

 「あぁ、そうだったね。設計図はもうあるので、建てるだけだと聞いている。今、丁度別のところで仕事をしているので、一週間後になってしまうんだが、構わないだろうか?」

 「はい。構いません。それでは、今日は、備蓄倉庫の設置と騎士団の休憩場所の改築、調理場の改築、鳥籠の設置をしても良いでしょうか?」

 「話には聞いていたが、凄いな。そんなにすぐ出来るものなのかい?」

 「はい。義妹は、魔法に精通しておりますので、お任せ下さい。」

 チラリと私に視線を向けるランドール様。顎に手を置き・・・

 「ほぉ、美しいだけでなく、魔法の才もあるとは、素晴らしい義妹を持ったね。」

 「義妹が家族で誇りです。さぁ、スティーリア。先ずは何をしようか?」

 「はい。義兄様。取り掛かる前に、ティーナ様に鳥籠周辺の庭園の図案を見ていただきたいです。」

 「そうだったね。ティーナ様、此方が図案になります。どうぞ。」

 「有難う。まぁ、可愛らしい図案ね。この囲ってある空白部分は何かしら?」

 「そこなのですが、良ければ、ティーナ様がティータイムを過ごせる場所にしようかなと思いまして。そこまで結界を張るので、冬でも庭園でお花を楽しむ事が出来ます。ただ、結界を庭園全体にかけるわけにはいかないので、このエリアだけでと考えているのですが如何ですか?」

 「まぁまぁまぁ。冬でも花が楽しめますの?いつも冬は雪に覆われて、庭に出る事が出来なかったと言うのに。嬉しいわ。」

 「そう言って貰えて良かったです。では、この部分植えたい花やレイアウトなどを考えて頂きたいのです。その間に、騎士団の方や調理場に行かせて頂こうと思いまして。」

 「分かったわ。早速庭師とも相談して考えてみるわね。それでは、また後で会いましょう。」

 「はい。また後程お会いしましょう。」

 パタンと扉が閉まり、ティーナ様は庭師の元に向かった。

 「妻の事まで考えてくれて有難う。我が領地は、どうしても冬は雪に覆われて、部屋に篭るしか無くてね。今年の冬は、妻の楽しそうな顔が見れそうだ。」

 ふふっ。愛妻家な美丈夫は良いよね。
 推せるわ!ランドール様!
 
 あ、そうだ。これも相談しなくちゃ。

 「ランドール様。冬が寒く、作物が収穫出来ない時期があるとお聞きしております。そこで、温室の様に温度調整できる物を作って、冬でも収穫出来る様にするのはどうかと思ったのですが、いかがでしょう?」

 「冬でも作物が収穫出来る案があると?」

 「はい。畑スペースを特殊素材で覆い、作物を外の寒さから守ってあげるのです。魔道具を使い、室内温度を一定に保ち、空気の循環も行います。後は、定期的に水をやり、お手入れしてあげれば、大丈夫です。ただ、初期投資が必要になるので、全ての畑で出来るわけではありません。」
 
 「成程。それが出来れば、冬も収穫が出来るという訳か。一度、どんな物か試してみたいな。何もない開けた土地があるんだが、そこでいくつか建てて欲しい。秋に入ったら、手の空いてる農民に依頼して、冬でも問題なく育つか試してみたい。」

 「分かりました。では、後程、その場所にご案内頂きたいです。ついでに、その場所に果樹を植えて見ても宜しいですか?レモンという果物なのですが。」

 「レモンですか?初めて耳にしますね。どの様な物なのですか?」

 「黄色くて、酸っぱくて、爽やかな香りがする果物です。疲れてる時にオススメの果物ですね。そのまま食べると酸っぱいので、砂糖漬けにしたり、蜂蜜に漬けたり、食べ物に掛けたりして使います。レモンが育ったら、是非売って頂きたいです。蜂蜜レモンは、体に良くて美味しいのでおススメです。」

 「それは、食べるのが楽しみだ。自由に植えてくれて構わない。」

 「有難うございます。では、先ずは調理場から行きたいと思います。私は執事の方にご案内頂きますので、義兄様と義姉様は、ゆっくりしててください。それでは、失礼致します。」
 
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