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二章 精霊姫 人間界に降りる

辺境伯とお茶をする

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 「スティーリア様、宜しければ我が家の庭園にてお茶をしながら、お話させて頂ければと思うのですが、如何でしょう?」

 「是非ご一緒させて下さい」

 「では、参りましょう」

 すっと手を差し出すレオナルド様。
 ん?・・・あ、エスコートというやつか。

 ちょっと慣れないので、恥ずかしいなー。
 おずおずとレオナルド様の手に乗せ、微笑んでみたが、ぎこちない笑顔になってしまった。

 慣れない仕草に慈悲深い微笑みで見られてしまって、余計に恥ずかしい!
 あー、耳まで真っ赤になってないと良いな・・・。

 「スティーリア様は、いつお目覚めになられたのかお聞きしても宜しいでしょうか?」

 「実は、7日前に精霊界で誕生したばかりでして、世界樹に触れて、目覚めたのが今日となります。此方の世界の知識が殆どない状態なのです。お力添え頂ければと思い、此方に伺わせて頂きました」

 「そうでしたか。誕生されて間もなく、心細い思いをされたことでしょう。この世界での常識や礼儀作法など、教師を手配させて頂きますので、ご安心下さい。客室もご用意致しますので、自由にご滞在下さい」

 「有難う御座います。実は、早速ご相談がありまして・・・。こちらを」

 「これは、貴重な実をお持ち頂き、有難うございます。責任を持ちまして、商会と取引致します。スティーリア様の口座を作らなければなりませんね」

 「口座ですか。今までの精霊姫達は、どの様にされていたのでしょうか?」

 「前の精霊姫様は、薬師ギルドに登録して、其方で口座を作って居られました。その前の方は、冒険者ギルドに登録をされて口座を作られたと伝え聞いております」

 「成程。実は、商会を立ち上げるか悩んでいるのです。今は、元手も信用も無い状態なので、いきなり商会を立ち上げても、難しいかなと思っていまして」

 「そうですね・・・もし宜しければ、我が辺境伯家で商会を立ち上げて、スティーリア様の商品を販売させて頂くと言うのは、どうでしょうか?人の手配や、売買などお任せ頂き、スティーリア様は思うままに、造りたいものをお造り頂く。如何でしょう?」

 「そんなに甘えてしまって良いのでしょうか?私はとても助かりますが、其方の負担になってしまいませんか?勿論、運営費や人件費は、売上からしっかり払います!マグニート家にも純利益の10%を手数料としてお支払したいです。お世話になりっぱなしなのは嫌なので」

 純利益の10%あげても問題ないでしょ。
 精霊樹の実やマジックバッグの中の物売るだけでも相当な額になるし、お金には苦労しなさそうだ。

 「気にしないで下さいと言っても無理そうですので、そのお話でお受け致します。そこで、一つご提案なのですが、遠縁の魔法の才がある娘と言う事にし、私の養子になりませんか?私には、息子が一人と12才の娘が一人居りますので、14才のスティーリア様は、長女と言うことになります。マグニート家の娘として口座を作りませんか?」

 「此方の世界での身分ですか。確かに、平民としてよりは、貴族として身分があった方が、出来ることも多いかもしれないですね。今は、そのご提案を受けたいと思います。ただ、冒険者として活動したいとなった場合は、籍を抜いて、平民として活動したいと思います」

 「では、それですぐに手配させて頂きます。後程、息子達を紹介させて頂きます。息子は、15歳でして婚約者との結婚を控えております。今は婚約者との定期交流の為、相手の邸に行っております。娘は、まだ12歳になったばかりで、母親と観劇に出ております。10才の時に、隣の領地の嫡男と婚約しております。夕食の席で、スティーリア様をご紹介させて頂ければと思います」

 「ご家族は、精霊姫については、ご存知なのでしょうか?」

 「妻には、我が家に嫁ぐ時に、制約魔法の上で、話をしております。息子と娘にはまだ何も話しておりません。息子には、翌年成人してから、話をしようと思っておりました。ですが、本日よりスティーリア様が我が家に滞在されるので、息子には戻り次第、話をする予定です」

 「分かりました。表向きは、養子として入り、貴族になるわけですが・・・、社交とかはしなくても宜しいのでしょうか?」

 「スティーリア様の身分を用意するのに、養子として迎え入れるだけですので、何も気にせず、自由にお過ごし下さい。貴族の付き合いなど、精霊姫様が気にする必要はありません。希望がありましたら、是非お申し付け下さい。お助けできる事も多々あると思いますので」

 「では、お言葉に甘えて・・・実は、果樹を植えたいので、広い土地を探しております。土地は、干からびていて状態が悪くても問題ありません。私が、直接土地を耕し、養分たっぷりな土壌を作ります」

 「果樹ですか?そうですね・・・我が領地内に、此処からは少し遠くなりますが、何も無い平地が御座います。宜しければ、明日ご案内致しますので、好きに使って頂いて構いません」

 「まぁ、それは有難う御座います」

 「客室の準備が整った様ですので、ご案内致します。ゆっくり休んで頂ければと思います」

 「はい。あ、あの・・・養子に入るとの事なので、お義父様とお呼びした方が良いですよね?」

 「・・・っ、そ、そうですね。親子になる訳ですから、その方が対外的にも良いでしょう。それでは・・・恐れながら、スティーリアと呼ばせて頂きます」

 「はい、よろしくお願い致しますわ。お義父様」
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