39 / 46
四章 結実
4−9
しおりを挟む
『ごめん。今のやっぱりなしで。今日はそろそろ切ろうか』
居た堪れなくなり、今日はもう終わりにしようと思った。
奏くんからなんて言われるのか聞くのが怖かったから。
『え? ちょっと待って、なんで急に……』
『奏くんを困らせたくて言ったわけじゃないから、ごめんね』
『いや、謝ることじゃ……、あー、俺がごめんだ。俺の態度が悪かった』
『……』
『勘違いするなよ? 告白されて嫌だったわけじゃないんだ。ただ……』
『ただ?』
『俺から言いたかったんだよな……』
『え……?』
『いつ言おうってタイミングはかってたら、茉莉絵に先に言われて、うわーってなった』
『うそ……』
『嘘じゃねーよ。……じゃ、改めて俺からも……茉莉絵、好きだよ。付き合ってくれるか?』
やだ、泣きそう。この数ヶ月ずっと聴きたかった言葉。
まだ試験の結果が出てないのに、何故か今までの頑張りが報われたような気がした。
『もし……私が落ちて高校別になっちゃったとしても付き合ってくれる?』
『落ちるとか考えるなよ。それに、高校別になったとしても、放課後待ち合わせしてデートとかすればいいだろ』
『うん……』
『泣くなよ。スマホ越しじゃ拭いてやれないだろ?』
『だってー、嬉しい』
『じゃ、返事は?』
『私も大好きです。よろしくお願いします』
『宜しくな』
それから寝るまでたくさん話をした。
大変だった試験も終わり、奏くんとも付き合うことが出来て最高の一日になった。
◆ ◆ ◆
「茉莉絵ちゃん、そろそろ九時になるわよ」
「もードキドキする。やばい」
「もう、結果は決まってるんだから、心配してもしょうがないでしょ」
「そうなんだけど……」
もうすぐで結果が分かっちゃうな。どうしよう。大丈夫かなと頭の中をぐるぐると回る。
鞄からお守りを取り出し、両手で握り締め「受かっていますように」と祈る。
お願い! 奏くんと一緒に高校通いたい! お願いします!どうかどうか受かっていますように!
心の中でこれでもかと神頼みをしていると九時に設置していたアラームが鳴り響く。
あぁ……とうとう結果が分かるのか。
受験の合否確認サイトにログインをするとそこには、『合格』の文字が。
え、本当に? 見間違いじゃないよね?
「ねね、お母さん。これ合格って書いてあるように見えるんだけど、見間違いじゃないよね?」
「あら、合格って書いてあるわね。おめでとう」
「うそうそ、本当に⁉︎ 頑張ってよかった……」
「だから、大丈夫って言ったでしょ?」
「うん……」
「よーし、今日は外食しましょう! なに食べたい? 今日はお父さんも早く帰るって言ってたわよ」
「えっ、えーっと、じゃあ久しぶりに焼肉とか行きたいかも」
「いいわね。じゃ、予約しておくわね。お兄ちゃんとお父さんにもメッセージ送っておくから、現地集合になるかもしれないわね」
「はーい。って、その前に高校に合格通知書を取りに行かないと」
「そうだったわね。忘れるところだったわ」
Web上で合否の確認は出来ても、結局のところ高校に行って書類はもらわないといけないんだよね。
結局、手続きやら制服の手配やらなにやら全てお母さんがやってくれたので、私は任せているだけだった。
お母さんに甘えすぎているから、高校生になったらもう少し親離れしないといけないなと思った。
奏くんに結果どうだったか連絡してもいいかな。
結構デリケートな質問になっちゃうから聞きにくいんだけど、奏くんならきっと受かってるはず。
でも、これで万が一のことがあったら……うーん、どうしよう。
ソファーでゴロゴロしながら、スマホの画面を眺めるだけで、なにもメッセージを打つことができないでいると、新着メッセージの通知が届く。
「あ……奏くん」
いつも私が彼にメッセージを送ろうか悩んでいるタイミングで送られてくることに驚かされる。
『受かった。茉莉絵はどうだった?』
とても簡潔なメッセージに、奏くんらしいなと思わず笑みが溢れる。
聞こうか悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなるくらいストレートに聞いてくるなとくすくすと笑ってしまう。
『おめでとう。私も受かったよ』
『茉莉絵もおめでとう。一緒に高校行けるな』
『うん! 今から通うのが楽しみだよ。制服デートとかしてみたかったの』
『制服デートか……まぁ、あの高校の制服似合いそうだもんな。見るの楽しみにしてる』
『奏くんも似合うと思う! 早くみたいー! 入学式のあと会える?』
『昼間なら会えるな』
『やった! 楽しみだなー。その前に、今週末はバレンタインですが、大丈夫かな?』
『付き合って初デートな。大丈夫だよ』
『楽しみにしてるね』
『俺も楽しみにしてる』
バレンタインデーが付き合って初デートなんてめっちゃ記念日になる。覚えやすいしいいね。
どこに行くか悩んだけど、中学生なのであまりお金のかかるところには行けない。
と言うことで、前から一緒に行きたいと思っていたドッグカフェに行くことにした。
冬のテラス席は、こたつ仕様に変わり、ペット用のもこもこハウスまで用意されていると聞いて、これは是非とも行ってみたいと思った。
クッキーと獅子丸くんが居たから、奏くんと知り合えたわけだし、記念すべき初デートは二匹も一緒にと思っていた。
居た堪れなくなり、今日はもう終わりにしようと思った。
奏くんからなんて言われるのか聞くのが怖かったから。
『え? ちょっと待って、なんで急に……』
『奏くんを困らせたくて言ったわけじゃないから、ごめんね』
『いや、謝ることじゃ……、あー、俺がごめんだ。俺の態度が悪かった』
『……』
『勘違いするなよ? 告白されて嫌だったわけじゃないんだ。ただ……』
『ただ?』
『俺から言いたかったんだよな……』
『え……?』
『いつ言おうってタイミングはかってたら、茉莉絵に先に言われて、うわーってなった』
『うそ……』
『嘘じゃねーよ。……じゃ、改めて俺からも……茉莉絵、好きだよ。付き合ってくれるか?』
やだ、泣きそう。この数ヶ月ずっと聴きたかった言葉。
まだ試験の結果が出てないのに、何故か今までの頑張りが報われたような気がした。
『もし……私が落ちて高校別になっちゃったとしても付き合ってくれる?』
『落ちるとか考えるなよ。それに、高校別になったとしても、放課後待ち合わせしてデートとかすればいいだろ』
『うん……』
『泣くなよ。スマホ越しじゃ拭いてやれないだろ?』
『だってー、嬉しい』
『じゃ、返事は?』
『私も大好きです。よろしくお願いします』
『宜しくな』
それから寝るまでたくさん話をした。
大変だった試験も終わり、奏くんとも付き合うことが出来て最高の一日になった。
◆ ◆ ◆
「茉莉絵ちゃん、そろそろ九時になるわよ」
「もードキドキする。やばい」
「もう、結果は決まってるんだから、心配してもしょうがないでしょ」
「そうなんだけど……」
もうすぐで結果が分かっちゃうな。どうしよう。大丈夫かなと頭の中をぐるぐると回る。
鞄からお守りを取り出し、両手で握り締め「受かっていますように」と祈る。
お願い! 奏くんと一緒に高校通いたい! お願いします!どうかどうか受かっていますように!
心の中でこれでもかと神頼みをしていると九時に設置していたアラームが鳴り響く。
あぁ……とうとう結果が分かるのか。
受験の合否確認サイトにログインをするとそこには、『合格』の文字が。
え、本当に? 見間違いじゃないよね?
「ねね、お母さん。これ合格って書いてあるように見えるんだけど、見間違いじゃないよね?」
「あら、合格って書いてあるわね。おめでとう」
「うそうそ、本当に⁉︎ 頑張ってよかった……」
「だから、大丈夫って言ったでしょ?」
「うん……」
「よーし、今日は外食しましょう! なに食べたい? 今日はお父さんも早く帰るって言ってたわよ」
「えっ、えーっと、じゃあ久しぶりに焼肉とか行きたいかも」
「いいわね。じゃ、予約しておくわね。お兄ちゃんとお父さんにもメッセージ送っておくから、現地集合になるかもしれないわね」
「はーい。って、その前に高校に合格通知書を取りに行かないと」
「そうだったわね。忘れるところだったわ」
Web上で合否の確認は出来ても、結局のところ高校に行って書類はもらわないといけないんだよね。
結局、手続きやら制服の手配やらなにやら全てお母さんがやってくれたので、私は任せているだけだった。
お母さんに甘えすぎているから、高校生になったらもう少し親離れしないといけないなと思った。
奏くんに結果どうだったか連絡してもいいかな。
結構デリケートな質問になっちゃうから聞きにくいんだけど、奏くんならきっと受かってるはず。
でも、これで万が一のことがあったら……うーん、どうしよう。
ソファーでゴロゴロしながら、スマホの画面を眺めるだけで、なにもメッセージを打つことができないでいると、新着メッセージの通知が届く。
「あ……奏くん」
いつも私が彼にメッセージを送ろうか悩んでいるタイミングで送られてくることに驚かされる。
『受かった。茉莉絵はどうだった?』
とても簡潔なメッセージに、奏くんらしいなと思わず笑みが溢れる。
聞こうか悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなるくらいストレートに聞いてくるなとくすくすと笑ってしまう。
『おめでとう。私も受かったよ』
『茉莉絵もおめでとう。一緒に高校行けるな』
『うん! 今から通うのが楽しみだよ。制服デートとかしてみたかったの』
『制服デートか……まぁ、あの高校の制服似合いそうだもんな。見るの楽しみにしてる』
『奏くんも似合うと思う! 早くみたいー! 入学式のあと会える?』
『昼間なら会えるな』
『やった! 楽しみだなー。その前に、今週末はバレンタインですが、大丈夫かな?』
『付き合って初デートな。大丈夫だよ』
『楽しみにしてるね』
『俺も楽しみにしてる』
バレンタインデーが付き合って初デートなんてめっちゃ記念日になる。覚えやすいしいいね。
どこに行くか悩んだけど、中学生なのであまりお金のかかるところには行けない。
と言うことで、前から一緒に行きたいと思っていたドッグカフェに行くことにした。
冬のテラス席は、こたつ仕様に変わり、ペット用のもこもこハウスまで用意されていると聞いて、これは是非とも行ってみたいと思った。
クッキーと獅子丸くんが居たから、奏くんと知り合えたわけだし、記念すべき初デートは二匹も一緒にと思っていた。
41
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
きんのさじ 上巻
かつたけい
青春
時は西暦2023年。
佐治ケ江優(さじがえゆう)は、ベルメッカ札幌に所属し、現役日本代表の女子フットサル選手である。
FWリーグで優勝を果たした彼女は、マイクを突き付けられ頭を真っ白にしながらも過去を回想する。
内気で、陰湿ないじめを受け続け、人間を信じられなかった彼女が、
木村梨乃、
山野裕子、
遠山美奈子、
素晴らしい仲間たちと出会い、心のつぼみを開かせ、強くなっていく。
これは、そんな物語である。
歌にかける思い~Nコン最後の夏~
ユキウサギ
青春
学校の中でも特に人気のない部活、合唱部。
副部長の時田 優良(ときた ゆら)は合唱部がバカにされるのが嫌だった。
気がつけばもう3年生。
毎年出てたNコンに参加するのも、もう今年で最後。
全部員11名、皆仲がいい以外に取得はない。
そんな合唱部の3年生を中心に描いた、Nコンにかける最後の夏の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる