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四章 結実

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 公園で一時間ほど遊んだところで奏くんからメッセージが届く。
 用があるっていってたから今日は連絡来ないと思ってたけど、どうしたんだろう。
 
 『今って、紅葉公園でクッキーと遊んでる?』

 『うん、そうだよ。丁度一時間ほど遊んだところだね』

 『わかった。今から行くから待ってて』

 えっ⁉︎  奏くんくるの⁉︎   何で⁉︎  用事は??
 どうしよう……奏くんと会うと思ってなかったから適当な格好で来ちゃった。
 寒さ対策だけしたもこもこした格好なのに……奏くんに会えるのは嬉しいけど、あー、もう困ったな。

 「クッキーどうしよう……今から奏くん来るって」

 「わふ?」

 分からないよねー。獅子丸くんも連れてくるのかな。

 それから十分ほど待っていると、奏くんが一人で現れた。
 今日は獅子丸くんは一緒じゃないんだ。
 クッキーたちを遊ばせにきたんじゃなくて、単純に私に用があるってことかな。

 「急にごめんな」

 「ううん。大丈夫だけど、どうしたの?」

 「あー……、その、俺、気付いてなくて」

 「ん? なにに?」

 「その……今日、あれだろ。ほら、クリスマス……」

 「え、あ、えっと、そうだね?」

 もしかして、クリスマスだって気付いたから会いにきてくれたの?
 用事は大丈夫だったのかな。

 「その……こんなものしか用意出来なかったんだけど……茉莉絵に似合いそうだなって思ったから、貰ってくれるか?」

 「え……いいの? 嬉しい。ありがとう」

 ラッピングを解いて中を開けると……白と水色の石があしらわれたブレスレットが入っていた。
 可愛い……私が水色好きだって覚えててくれたんだね。
 その場ですぐに腕につけて見せると「似合ってる」と照れながら言ってくれた。

 「奏くん、実はね。私もプレゼント用意してるの」

 「え?」

 「だから、良かったら、このあと家に寄ってくれると嬉しいんだけど……」

 「送っていこうと思ってたからそれは大丈夫だけど。プレゼント用意してくれてたのに、今日予定があるって行けなくてごめんな」

 「ううん。クリスマス一緒に過ごそうって約束してたわけじゃないし大丈夫だよ。今日会えなくても来週渡そうかなって思ってたから」

 「そっか……ありがとう」

 公園で一時間ほど遊んでから家に帰宅し、外で待ってて貰うのは寒いので、家の中で待っててもらおうと思ったんだけど、断られてしまった。
 それならと、玄関の中で待ってもらうことにした。外よりは暖かいし……マシかなと。

 急いで部屋に向かい、引き出しからプレゼントを取り出すと階段を駆け降りる。

 「そんなに急がなくても大丈夫だよ」

 「えっと、早く渡したくて……」

 「開けてもいい?」

 「うん」

 思いっきり破いてもいいのに、綺麗に包装紙を解いていく。
 ネックウォーマーを手に取ると触り心地を確認し、巻いているマフラーを外して、つけてくれた。

 「色もいいし、肌触りも良くて気に入ったよ。それにめっちゃ暖かいし、ありがとな」

 「一応、奏くんの好きそうな色を選んだから、気に入って貰えて良かった」

 「来年のクリスマスは、プレゼント頑張るな」

 来年のクリスマス……自然と来年も一緒にいると思ってくれてるのが嬉しい。

 「え、いいよ。無理して欲しくないし、奏くんが選んでくれたものならなんでも嬉しいから」

 「まぁ……バイトするつもりでいるし、今日のよりは良いの渡せると思うから」

 私はお兄ちゃんのところのカフェでバイトしたいなって思ってるけど、奏くんと一緒にバイトするのも楽しそう。

 「ふふっ、わかった。楽しみにしてるね」

 「おう。それじゃ、帰るな」

 「うん、今日は来てくれてありがとう」

 今日は会えないと思ってたのに、プレゼントまで貰っちゃった。
 これも羊ちゃんの隣に飾っていつでも鑑賞できるようにしよう。
 ミルククラウンの小物入れに入れてるのを別のに入れて、奏くんから貰ったブレスレット専用にしようかな。
 
 「今日は……一日つけてようかな」

 ソファーに寝転がりながら、腕を掲げてブレスレットを何度も眺めてしまう。
 白と水色で爽やかなカラーリングが私好みだし、石も可愛らしい。

 「あれ、茉莉絵ちゃん、そんなの持ってたっけ?」

 買い物から帰ってきたお母さんが目ざとくブレスレットに気付く。

 「実は、さっき奏くんに貰ったの。会えないと思ってたんだけど、クリスマスだって気付いて、会いに来てくれたんだよ」

 「そうだったの。それでそんなに眺めてたのね」

 「だって、嬉しすぎて……」

 「奏くんにはプレゼント渡したの?」

 「さっき家まで送ってくれたから、その時に渡したよ」

 「え? さっき来てたの?」

 「うん」

 「えー、お母さん買い物行かなければ良かった。奏くんに会いたかったわー」

 「まぁ、それは……ちゃんとお付き合いしたらかな」

 「はいはい、楽しみにしてるわね」

 「うん」

 今の中途半端な関係のままで、お母さんに紹介はするのはなんかなって思うから、ちゃんとお付き合いしたら紹介したいな。
 奏くんもそう思ったから、家に上がるの断ったのかな。
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