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四章 結実
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朝、目が覚めると奏くんから『今日は頑張ろうな』とメッセージが来ていた。
とうとう受験当日になった。
今日は朝からみぞれ混じりの空模様で、だいぶ冷え込んでいる。
「茉莉絵ちゃん、忘れ物はない? 受験票は持った?」
「何回もチェックしたから大丈夫。お母さん今日は車出してくれてありがとね」
「娘の大事な受験の日だものね。送るといってもバス停五個分だからすぐだけどね」
「混雑したバスに揺られながら行かなくて良いっていうだけで、助かります」
「じゃ、行こうか」
これから雪になるみたいだから、交通の乱れが心配だなって思ったけど、お母さんが車で送ってくれることになったので助かった。
今はまだみぞれだから、バスに遅れとかはないと思うけど、帰りは雪に変わってそうだし、ダイヤの乱れとかありそう。
「帰りも迎えに来るから頑張ってね」
「はーい。送ってくれてありがとう。頑張ってくるからね」
早めに送って貰ったため、教室はまだ三人しか来ていなかった。
奏くんも早く来るタイプっぽいから、今頃別の教室にいるのかな。
ちょっと他の教室見に行きたいと思いつつも遊びに来てるわけじゃないんだからと我慢する。
窓側の席だったため、試験が始まるまで外をのんびり眺め、気持ちを落ち着かせる。
大丈夫。今まで勉強したことを思い出せばきっと受かるはず。落ち着いて問題を解いていこう。
奏くんと色違いの鉛筆を机の上に並べると、初詣に行った時のことが思い出される。
照れながらも私から貰った鉛筆があれば頑張れそうって言ってたな。
私も頑張れそうだよ、奏くん。
チャイムが鳴り、試験監督の人が入ってくると、教室内が静まり返り、一気に緊張が増していく。
注意事項の説明があり試験が開始すると、カリカリと紙に鉛筆が滑る音が聞こえてくる。
一時限目の国語は、得意科目なため、ここで点を稼がなければと集中し、体感九十点くらいは取れたんじゃないかなと予想する。答え合わせをしていない段階だから分からないけど、出来たと思う。
二限目の数学に入ると、奏くんとビデオ通話をしながら勉強したことが思い出された。
奏くんは、数学が得意だから、今頃スラスラと問題を解いてるんだろうなと思いながら進めていく。
あっ、これ奏くんがスマホ越しに教えてくれた問題だ。
綺麗な字をノートに書いて丁寧に説明してくれたから良く記憶に残ってる。
奏くん、ありがとね。
他の教科もそれなりに答えることが出来たが、やはり社会が足を引っ張りそうだと思った。
社会は、こっちだった気がするけど、こっちだったっけ……というように悩むことが多々あり、あまり点数が期待出来ない。
正直自信がないけど……他の教科でどうにかならないかなと神頼みのような感じになってしまった。
「お疲れ様。試験どうだった?」
「ただいま。んー……社会以外は出来たと思う」
迎えに来てくれた車に乗り込みながら今日の報告をする。
受かりそうって自信を持って言えないところが残念だけど……
「そっか。でも、お母さんは大丈夫だと思うな」
「どうしてそう思うの?」
「だって、あんなに勉強頑張ってたじゃない」
「そうだけど……」
頑張った人がみんな大丈夫だったら、みんな受かっちゃうよ。
お母さんって昔から謎の自信があるんだよね。
でも、そのポジティブさが今は救いかもしれない。
「帰りにケーキでも買って帰りましょうよ。頑張ったご褒美に」
「やった! 疲れたから甘いもの食べたかったんだよね」
ケーキ屋さんへ向かう途中で奏くんにメッセージを送る。
『お疲れ様。あとはゆっくり休んで結果を待とうね』
奏くんは、心配することなく受かりそうな気がするんだよね。
私に勉強教えてくれるくらいにちゃんと理解してるし。
『お疲れ。夜、ビデオ通話していいか?』
水曜日じゃないのに……試験終わったから、労おうってことかな。
『もちろん。それじゃ、いつもと同じように二十一時ごろでどうかな?』
『了解』
やっと勉強から解放され、緊張した心も解放された感じがする。
気持ちが軽くなったところで、奏くんとお話し楽しみだな。
「また奏くん? 嬉しそうな顔してるわよ」
「もー、やだ。顔に出過ぎるのどうにかしたいー!」
「それが茉莉絵ちゃんの良いところなんだから、気にしないの」
「うー」
スマホを見ながらにやけてしまってたみたいで、本当に恥ずかしい。
ケーキ屋さんにつくとフルーツタルトとモンブランのどちらにするか悩み、モンブランを買うことにした。
舌触りが滑らかで濃厚な栗の感じが美味しいんだよね。下にあるクッキーと一緒に食べるのが良く合うし。
「私は、苺のショートケーキにするね。お父さんとお兄ちゃんはチーズケーキを買っていきましょう」
「はーい」
「そうそう、今日寒いし疲れてるだろうと思ってお風呂沸かして来たから、帰ったらすぐ入れるからね」
「助かるー! ゆっくり温まりたかったんだよね」
本当に、気がきく家族で感謝しきりだ。
家に帰り、音楽を掛けながらゆっくりと湯船に浸かると眠気に襲われる。
長湯しすぎたかなと上がるとお茶とケーキの準備が整っていた。
甘やかされすぎて良いのかなと心配になる程、至れりつくせりな午後だった。
とうとう受験当日になった。
今日は朝からみぞれ混じりの空模様で、だいぶ冷え込んでいる。
「茉莉絵ちゃん、忘れ物はない? 受験票は持った?」
「何回もチェックしたから大丈夫。お母さん今日は車出してくれてありがとね」
「娘の大事な受験の日だものね。送るといってもバス停五個分だからすぐだけどね」
「混雑したバスに揺られながら行かなくて良いっていうだけで、助かります」
「じゃ、行こうか」
これから雪になるみたいだから、交通の乱れが心配だなって思ったけど、お母さんが車で送ってくれることになったので助かった。
今はまだみぞれだから、バスに遅れとかはないと思うけど、帰りは雪に変わってそうだし、ダイヤの乱れとかありそう。
「帰りも迎えに来るから頑張ってね」
「はーい。送ってくれてありがとう。頑張ってくるからね」
早めに送って貰ったため、教室はまだ三人しか来ていなかった。
奏くんも早く来るタイプっぽいから、今頃別の教室にいるのかな。
ちょっと他の教室見に行きたいと思いつつも遊びに来てるわけじゃないんだからと我慢する。
窓側の席だったため、試験が始まるまで外をのんびり眺め、気持ちを落ち着かせる。
大丈夫。今まで勉強したことを思い出せばきっと受かるはず。落ち着いて問題を解いていこう。
奏くんと色違いの鉛筆を机の上に並べると、初詣に行った時のことが思い出される。
照れながらも私から貰った鉛筆があれば頑張れそうって言ってたな。
私も頑張れそうだよ、奏くん。
チャイムが鳴り、試験監督の人が入ってくると、教室内が静まり返り、一気に緊張が増していく。
注意事項の説明があり試験が開始すると、カリカリと紙に鉛筆が滑る音が聞こえてくる。
一時限目の国語は、得意科目なため、ここで点を稼がなければと集中し、体感九十点くらいは取れたんじゃないかなと予想する。答え合わせをしていない段階だから分からないけど、出来たと思う。
二限目の数学に入ると、奏くんとビデオ通話をしながら勉強したことが思い出された。
奏くんは、数学が得意だから、今頃スラスラと問題を解いてるんだろうなと思いながら進めていく。
あっ、これ奏くんがスマホ越しに教えてくれた問題だ。
綺麗な字をノートに書いて丁寧に説明してくれたから良く記憶に残ってる。
奏くん、ありがとね。
他の教科もそれなりに答えることが出来たが、やはり社会が足を引っ張りそうだと思った。
社会は、こっちだった気がするけど、こっちだったっけ……というように悩むことが多々あり、あまり点数が期待出来ない。
正直自信がないけど……他の教科でどうにかならないかなと神頼みのような感じになってしまった。
「お疲れ様。試験どうだった?」
「ただいま。んー……社会以外は出来たと思う」
迎えに来てくれた車に乗り込みながら今日の報告をする。
受かりそうって自信を持って言えないところが残念だけど……
「そっか。でも、お母さんは大丈夫だと思うな」
「どうしてそう思うの?」
「だって、あんなに勉強頑張ってたじゃない」
「そうだけど……」
頑張った人がみんな大丈夫だったら、みんな受かっちゃうよ。
お母さんって昔から謎の自信があるんだよね。
でも、そのポジティブさが今は救いかもしれない。
「帰りにケーキでも買って帰りましょうよ。頑張ったご褒美に」
「やった! 疲れたから甘いもの食べたかったんだよね」
ケーキ屋さんへ向かう途中で奏くんにメッセージを送る。
『お疲れ様。あとはゆっくり休んで結果を待とうね』
奏くんは、心配することなく受かりそうな気がするんだよね。
私に勉強教えてくれるくらいにちゃんと理解してるし。
『お疲れ。夜、ビデオ通話していいか?』
水曜日じゃないのに……試験終わったから、労おうってことかな。
『もちろん。それじゃ、いつもと同じように二十一時ごろでどうかな?』
『了解』
やっと勉強から解放され、緊張した心も解放された感じがする。
気持ちが軽くなったところで、奏くんとお話し楽しみだな。
「また奏くん? 嬉しそうな顔してるわよ」
「もー、やだ。顔に出過ぎるのどうにかしたいー!」
「それが茉莉絵ちゃんの良いところなんだから、気にしないの」
「うー」
スマホを見ながらにやけてしまってたみたいで、本当に恥ずかしい。
ケーキ屋さんにつくとフルーツタルトとモンブランのどちらにするか悩み、モンブランを買うことにした。
舌触りが滑らかで濃厚な栗の感じが美味しいんだよね。下にあるクッキーと一緒に食べるのが良く合うし。
「私は、苺のショートケーキにするね。お父さんとお兄ちゃんはチーズケーキを買っていきましょう」
「はーい」
「そうそう、今日寒いし疲れてるだろうと思ってお風呂沸かして来たから、帰ったらすぐ入れるからね」
「助かるー! ゆっくり温まりたかったんだよね」
本当に、気がきく家族で感謝しきりだ。
家に帰り、音楽を掛けながらゆっくりと湯船に浸かると眠気に襲われる。
長湯しすぎたかなと上がるとお茶とケーキの準備が整っていた。
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