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四章 結実
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奏くんと会えない日々が続いていたけど、毎日勉強終わりのメッセージは続けていた。
夏期講習の間はそちらに集中したいみたいだったから、まだビデオ通話は出来ていない。
夏休みが終わる少し前に夏期講習が終わるから、そのタイミングかなと思ってたりするんだけど、奏くんはどう思ってるかな。
「おい、聞いてるのか?」
「あっ、ごめん」
お兄ちゃんに勉強教えてもらってたのに、つい羊が目に止まって奏くんを思い出してしまった……
集中しないと。こう言うのがあるから受験生に恋愛は無理なんだよね。
そんなこと言っても、心は思うようにはいかないもので、大事な時期に奏くんに恋に落ちてしまったわけなんだけど。
「休憩するか。流石に、何時間も勉強してたら、集中力も切れるだろ」
「うん……ごめんね」
「いや、いい。飲み物となんか持ってきてやるから休んでろ」
「はーい」
お兄ちゃんが出ていくと、ベッドにゴロリと寝転がる。
はぁ、疲れたな。ちょっと棍を詰めすぎてるのかな。
でも、勉強してない方が不安になって、精神的に良くなさそうだしな。
バランス取るの難しいな。
目を閉じて休んでいるといつの間にか眠ってしまったようで、スマホを見ると一時間経っていた。
ヤバっと、起き上がると、お兄ちゃんが部屋で漫画を読んでいた。
「起こしてくれても良かったのに」
「いや、それだけ疲れてるってことだろ。休むのも大事だからな」
「……お兄ちゃん、それ面白い?」
「いや……、どうだろな。流石に少女漫画は俺にはちょっと……。試しに読んでみたけど、もういいかな」
「だよね」
私が読んでる少女漫画なんて、恋愛系ばっかりだから、彼女なんて要らないって言ってるお兄ちゃんには向かない。
でも、女の子の気持ちを理解するには良いのでは? とか思ったけど、強要するのも良くないので、やめておいた。
「飲み物ぬるくなっちゃったな。新しく持ってくるか」
そういうと、立ちあがろうとした兄を引き止める。
そんなことまでしなくて良いのに。
「ううん。大丈夫、ありがとう」
エアコンも効いてるし、ぬるいくらいでちょうど良かったかもしれない。
体の冷やしすぎも良くないしね。
十五分ほどおやつタイムを取り、勉強を再開する。
お兄ちゃんが時間がある時にじゃないと勉強見てもらえないから、無駄にしないようにしないと。
お兄ちゃん、大学に行ったら家庭教師のバイトとか良さそう。
教えるの上手だし、私によく勉強教えてくれてたから、慣れてるだろうし。
あー、でも生徒が女の子だと好きになられたりと厄介なことになりそうだから無理かな。
男子だけ限定するとか出来るのかな。
十五時半になり、スマホにセットしたアラームが鳴る。
夏休み中は、学校にいる時と同じように六限を目安に勉強していた。
学校みたいに、一限ごとに五分休憩が入ったりとかそういうことはしていないけれど。
そして、夕食を食べて少し休んでから、0時まで勉強をしてる。
だけど、流石に夏休みなので、おばあちゃんの家に遊びに行ったり、美香とプールに遊びに行ったりと中学最後の夏をそれなりに満喫した。
遊ぶ時は思いっきり遊び、勉強するときは集中する。メリハリが大事だよね。
美香とは高校が別になっちゃうから、卒業したら寂しくなるな。
学校帰りに待ち合わせして、一緒に遊んだりはもちろんするけど、今みたいに休み時間におしゃべりしたり出来なくなるな。
「あら、茉莉絵ちゃん、お風呂上がったのに色つきリップしてるの?」
「あー……そうだね」
奏くんからいつビデオ通話しようって言われるか分からないから……最近はお風呂上がりも少し髪を巻いてみたり、色つきリップをつけたりしている。
「出かける訳じゃないのに?」
「えーっと、もしかしたら奏くんとビデオ通話するかもしれないから、念の為つけてるだけ!」
どんな言い訳も誤魔化せるようなものが思い浮かばなかったので、正直に話すことにした。
別に悪いことする訳じゃないしね。
「ビデオ通話? 顔見ながらお話しするの? 仲良しね」
「いや、まだしたことないんだけどね。今度しようねってお祭りの時約束したんだよね。でも、今は夏期講習で忙しそうだから、無理かなって。でも、今からビデオ通話しない? って急に言われても対応できるようにと思って……」
「茉莉絵ちゃん、健気ね。女の子は誰しも好きな男の子には可愛いって思ってもらいたいものね」
「うん……」
「本当に、これで付き合ってないっていうんだから、最近の子はお母さん分からないわー」
それは……きっとお母さんだけじゃなくて、みんな思ってそう。
でも、付き合ったら、構ってあげなくちゃとかデートしなくちゃとか奏くん気にしそうだし。
そうなると勉強の邪魔になっちゃうからね。
それを奏くんも分かっているから受験が終わるまでは、誰とも付き合うつもりないって言ってるんだと思うんだよね。
明日で奏くんの夏期講習が終わる。
もしかしたら、明日かな。それとも最終日で疲れてるから翌日とかになるのかな。
一応、明日と明後日は、私のお気に入りの部屋着で準備しておこうっと。
夏期講習の間はそちらに集中したいみたいだったから、まだビデオ通話は出来ていない。
夏休みが終わる少し前に夏期講習が終わるから、そのタイミングかなと思ってたりするんだけど、奏くんはどう思ってるかな。
「おい、聞いてるのか?」
「あっ、ごめん」
お兄ちゃんに勉強教えてもらってたのに、つい羊が目に止まって奏くんを思い出してしまった……
集中しないと。こう言うのがあるから受験生に恋愛は無理なんだよね。
そんなこと言っても、心は思うようにはいかないもので、大事な時期に奏くんに恋に落ちてしまったわけなんだけど。
「休憩するか。流石に、何時間も勉強してたら、集中力も切れるだろ」
「うん……ごめんね」
「いや、いい。飲み物となんか持ってきてやるから休んでろ」
「はーい」
お兄ちゃんが出ていくと、ベッドにゴロリと寝転がる。
はぁ、疲れたな。ちょっと棍を詰めすぎてるのかな。
でも、勉強してない方が不安になって、精神的に良くなさそうだしな。
バランス取るの難しいな。
目を閉じて休んでいるといつの間にか眠ってしまったようで、スマホを見ると一時間経っていた。
ヤバっと、起き上がると、お兄ちゃんが部屋で漫画を読んでいた。
「起こしてくれても良かったのに」
「いや、それだけ疲れてるってことだろ。休むのも大事だからな」
「……お兄ちゃん、それ面白い?」
「いや……、どうだろな。流石に少女漫画は俺にはちょっと……。試しに読んでみたけど、もういいかな」
「だよね」
私が読んでる少女漫画なんて、恋愛系ばっかりだから、彼女なんて要らないって言ってるお兄ちゃんには向かない。
でも、女の子の気持ちを理解するには良いのでは? とか思ったけど、強要するのも良くないので、やめておいた。
「飲み物ぬるくなっちゃったな。新しく持ってくるか」
そういうと、立ちあがろうとした兄を引き止める。
そんなことまでしなくて良いのに。
「ううん。大丈夫、ありがとう」
エアコンも効いてるし、ぬるいくらいでちょうど良かったかもしれない。
体の冷やしすぎも良くないしね。
十五分ほどおやつタイムを取り、勉強を再開する。
お兄ちゃんが時間がある時にじゃないと勉強見てもらえないから、無駄にしないようにしないと。
お兄ちゃん、大学に行ったら家庭教師のバイトとか良さそう。
教えるの上手だし、私によく勉強教えてくれてたから、慣れてるだろうし。
あー、でも生徒が女の子だと好きになられたりと厄介なことになりそうだから無理かな。
男子だけ限定するとか出来るのかな。
十五時半になり、スマホにセットしたアラームが鳴る。
夏休み中は、学校にいる時と同じように六限を目安に勉強していた。
学校みたいに、一限ごとに五分休憩が入ったりとかそういうことはしていないけれど。
そして、夕食を食べて少し休んでから、0時まで勉強をしてる。
だけど、流石に夏休みなので、おばあちゃんの家に遊びに行ったり、美香とプールに遊びに行ったりと中学最後の夏をそれなりに満喫した。
遊ぶ時は思いっきり遊び、勉強するときは集中する。メリハリが大事だよね。
美香とは高校が別になっちゃうから、卒業したら寂しくなるな。
学校帰りに待ち合わせして、一緒に遊んだりはもちろんするけど、今みたいに休み時間におしゃべりしたり出来なくなるな。
「あら、茉莉絵ちゃん、お風呂上がったのに色つきリップしてるの?」
「あー……そうだね」
奏くんからいつビデオ通話しようって言われるか分からないから……最近はお風呂上がりも少し髪を巻いてみたり、色つきリップをつけたりしている。
「出かける訳じゃないのに?」
「えーっと、もしかしたら奏くんとビデオ通話するかもしれないから、念の為つけてるだけ!」
どんな言い訳も誤魔化せるようなものが思い浮かばなかったので、正直に話すことにした。
別に悪いことする訳じゃないしね。
「ビデオ通話? 顔見ながらお話しするの? 仲良しね」
「いや、まだしたことないんだけどね。今度しようねってお祭りの時約束したんだよね。でも、今は夏期講習で忙しそうだから、無理かなって。でも、今からビデオ通話しない? って急に言われても対応できるようにと思って……」
「茉莉絵ちゃん、健気ね。女の子は誰しも好きな男の子には可愛いって思ってもらいたいものね」
「うん……」
「本当に、これで付き合ってないっていうんだから、最近の子はお母さん分からないわー」
それは……きっとお母さんだけじゃなくて、みんな思ってそう。
でも、付き合ったら、構ってあげなくちゃとかデートしなくちゃとか奏くん気にしそうだし。
そうなると勉強の邪魔になっちゃうからね。
それを奏くんも分かっているから受験が終わるまでは、誰とも付き合うつもりないって言ってるんだと思うんだよね。
明日で奏くんの夏期講習が終わる。
もしかしたら、明日かな。それとも最終日で疲れてるから翌日とかになるのかな。
一応、明日と明後日は、私のお気に入りの部屋着で準備しておこうっと。
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