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二章 嫉妬
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「茉莉絵ちゃん、少し冷やす?」
「そうしようかな。なんか目が腫れぼったい感じがするのが気になるかな」
タオルを氷水につけて、しっかりと絞るをソファーに横になり、目元を覆う。
「そのままでいいから、何があったか聞いても大丈夫かな? 話したくなければ、無理には聞かないけど……」
「うん……。まず、奏くんは何も悪くないからってことは言っておくね」
「分かったわ」
奏くんと会った帰りだから、彼のせいで泣いたと、印象が悪くなるのは避けたかった。
家族には、私の好きな人のことを嫌いになって欲しくなかったから。
「先週の日曜日は奏くん用があるからいけないって言ってたでしょ? その日……クラスの女の子と遊んだって聞いて、ショックで……泣いちゃったの。泣くつもりなんてなかったんだけど、気付いたら涙が止まらなくて……」
「そう……奏くんは、その子と……二人で遊んでいたの?」
「ううん。もう一人のお友達も一緒にいて、その子の家に遊びに行ったら、彼女が居て驚いたって言ってた。彼女がいること知らなかったみたいで」
「もともと約束して居たわけじゃないのね」
「そうみたい」
私も初めは、会う約束していたと思ったから、二人はそんなに仲が良かったのかと勘違いしてしまった。
けれど、それも私の勘違いだと、すぐに誤解を解いてくれた。
「お母さん的には、茉莉絵ちゃんを弄ぶようなことはして欲しくないから聞くんだけど、奏くんは、その子とどういう関係なの?」
「えっと……同じクラスで、彼女は奏くんのことが好きでアピールしてるみたい。でも、奏くんは相手にしていないって言ってたかな」
「その子にも良い顔してるとかじゃないのね?」
「うん、それはないよ。今日も私を優先して、彼女を帰してたし……あとね。はっきりと言われたわけじゃないんだけど、奏くん私のこと好きみたいだから……」
なんか自分で言ってて恥ずかしくなってきた……
自意識過剰見たいだよね……
「告白されたわけじゃないのに? お母さんからしたら、奏くん、ちょっと思わせぶりなことしすぎじゃないかなって思うんだけど……」
「ううん。それを言うなら、私も同じだと思う。積極的にデートに誘ったりしてるのに、肝心の言葉は何も伝えてないもん。奏くんもね、今は受験が一番だから誰とも付き合う気はないって言ってた。それは、私もそう思ってるから。だからね、受験が終わるまでお互い誰とも付き合わずにいようってことになったの」
つまりは、受験が終わったら付き合おうと言うことだと思う。
それまでは、お互いに目移りすることなく、フリーでいようねってことだよね。
私は大丈夫。奏くんのことが大好きだから。
奏くんも受験終わるまで好きでいてくれるかな?
あー、また良くないほうに考えていっちゃう。
すぐ後ろ向きな思考になっちゃうのダメだよね。
普段はそんなことないのに、恋愛になると途端に不安になってしまう。
「茉莉絵ちゃんが、それでいいならお母さんは何も言わないけどね。それで、お祭りには誘えたの?」
「誘えたよ。ちょうど夏期講習の日程と被らなかったから、一緒に行ってくれるって」
「良かったわね。とびっきり可愛くしてあげるからね!」
「お母さん……ありがとう。心配かけてごめんね」
「親は心配するのが仕事みたいなものよ。さて、そろそろケーキ頂きましょうか」
「うん」
少し冷やしたおかげか、腫れぼったさがだいぶ良くなり、目が開けやすくなった気がした。
ケーキの甘さがマイナス思考になりそうな気持ちを上向かせてくれる。
甘いものってなんで幸せな気持ちになれるんだろう?
奏くんが私のためにゼリーを作ってくれたから、今度は私も何か作ろう。
難しくないお菓子の作り方を探してみよっと。
「クッキーもケーキ美味しい?」
「わふっ!」
尻尾をブンブンと振り回しながら、鼻にクリームをつけて美味しそうに食べていた。
犬用のケーキも売ってるなんて珍しいと思ったら、ドッグカフェで買ってきたんだとか。
ケーキ屋さんで買ったのだと思っていたから、珍しいと思ったけど、ドッグカフェならありそう。
ケーキ以外にもたくさんおやつを置いていたらしく、あれもこれもと沢山買ってきたらしい。
しばらくは、クッキーはおやつに困らなさそうだね。
お母さんにお店教えてもらって、今度奏くんを誘ってみようかな。
あー……でも、こういうデートは受験が終わったあとがいいかな……?
行きたいけど、まだお付き合いしてないし……会う頻度が増えるのは勉強の邪魔になるかもしれないし……
よしっ! 付き合った時に行きたい場所リストを作るくらいなら良いよね。
調べたりするのは、受験後にするとして、思い浮かんだらメモしていこう。
一つ目は……ドッグカフェだね。
受験が終わったとの楽しみが増えていく。
楽しくデートするために、頑張って受からないとだね。
そう思いながら、机に向かい頭を切り替えて勉強に勤しむ。
私は夏休みも夏期講習など行かずに、いつも通り家で勉強をする予定でいる。
わからないところは、お兄ちゃんに聞けば教えて貰えるから、塾に行く必要もないかな。
奏くんにその話をしたら「勉強教えてくれる兄貴とかまじで羨ましい」と言っていた。
奏くんのところは、小学生の妹ちゃんだから奏くんが勉強を見てあげる側だもんね。
お兄ちゃんに感謝だ。
今日の勉強はこれで終わりっと。
奏くんにメッセージ送ろうと思って、スマホを手にすると通知音が鳴る。
「あ……奏くん」
いつもは私からお疲れ様のメッセージを送っていたが、今日は珍しく奏くんから先に送られてきた。
今日、色々あったから……気にしてメッセージ送ってくれたのかな。
いつもは一言「おやすみ」とかなのに、文章が送られてきたことに、笑みが溢れる。
『お疲れ様。明日も晴れみたいだから、俺は行く予定にしてるから。おやすみ』
明日も奏くんに会える……週末二時間だけのご褒美タイム。
これで、来週も一週間頑張れる。
『明日も会えるの楽しみにしてるね。お疲れ様、おやすみなさい』
「そうしようかな。なんか目が腫れぼったい感じがするのが気になるかな」
タオルを氷水につけて、しっかりと絞るをソファーに横になり、目元を覆う。
「そのままでいいから、何があったか聞いても大丈夫かな? 話したくなければ、無理には聞かないけど……」
「うん……。まず、奏くんは何も悪くないからってことは言っておくね」
「分かったわ」
奏くんと会った帰りだから、彼のせいで泣いたと、印象が悪くなるのは避けたかった。
家族には、私の好きな人のことを嫌いになって欲しくなかったから。
「先週の日曜日は奏くん用があるからいけないって言ってたでしょ? その日……クラスの女の子と遊んだって聞いて、ショックで……泣いちゃったの。泣くつもりなんてなかったんだけど、気付いたら涙が止まらなくて……」
「そう……奏くんは、その子と……二人で遊んでいたの?」
「ううん。もう一人のお友達も一緒にいて、その子の家に遊びに行ったら、彼女が居て驚いたって言ってた。彼女がいること知らなかったみたいで」
「もともと約束して居たわけじゃないのね」
「そうみたい」
私も初めは、会う約束していたと思ったから、二人はそんなに仲が良かったのかと勘違いしてしまった。
けれど、それも私の勘違いだと、すぐに誤解を解いてくれた。
「お母さん的には、茉莉絵ちゃんを弄ぶようなことはして欲しくないから聞くんだけど、奏くんは、その子とどういう関係なの?」
「えっと……同じクラスで、彼女は奏くんのことが好きでアピールしてるみたい。でも、奏くんは相手にしていないって言ってたかな」
「その子にも良い顔してるとかじゃないのね?」
「うん、それはないよ。今日も私を優先して、彼女を帰してたし……あとね。はっきりと言われたわけじゃないんだけど、奏くん私のこと好きみたいだから……」
なんか自分で言ってて恥ずかしくなってきた……
自意識過剰見たいだよね……
「告白されたわけじゃないのに? お母さんからしたら、奏くん、ちょっと思わせぶりなことしすぎじゃないかなって思うんだけど……」
「ううん。それを言うなら、私も同じだと思う。積極的にデートに誘ったりしてるのに、肝心の言葉は何も伝えてないもん。奏くんもね、今は受験が一番だから誰とも付き合う気はないって言ってた。それは、私もそう思ってるから。だからね、受験が終わるまでお互い誰とも付き合わずにいようってことになったの」
つまりは、受験が終わったら付き合おうと言うことだと思う。
それまでは、お互いに目移りすることなく、フリーでいようねってことだよね。
私は大丈夫。奏くんのことが大好きだから。
奏くんも受験終わるまで好きでいてくれるかな?
あー、また良くないほうに考えていっちゃう。
すぐ後ろ向きな思考になっちゃうのダメだよね。
普段はそんなことないのに、恋愛になると途端に不安になってしまう。
「茉莉絵ちゃんが、それでいいならお母さんは何も言わないけどね。それで、お祭りには誘えたの?」
「誘えたよ。ちょうど夏期講習の日程と被らなかったから、一緒に行ってくれるって」
「良かったわね。とびっきり可愛くしてあげるからね!」
「お母さん……ありがとう。心配かけてごめんね」
「親は心配するのが仕事みたいなものよ。さて、そろそろケーキ頂きましょうか」
「うん」
少し冷やしたおかげか、腫れぼったさがだいぶ良くなり、目が開けやすくなった気がした。
ケーキの甘さがマイナス思考になりそうな気持ちを上向かせてくれる。
甘いものってなんで幸せな気持ちになれるんだろう?
奏くんが私のためにゼリーを作ってくれたから、今度は私も何か作ろう。
難しくないお菓子の作り方を探してみよっと。
「クッキーもケーキ美味しい?」
「わふっ!」
尻尾をブンブンと振り回しながら、鼻にクリームをつけて美味しそうに食べていた。
犬用のケーキも売ってるなんて珍しいと思ったら、ドッグカフェで買ってきたんだとか。
ケーキ屋さんで買ったのだと思っていたから、珍しいと思ったけど、ドッグカフェならありそう。
ケーキ以外にもたくさんおやつを置いていたらしく、あれもこれもと沢山買ってきたらしい。
しばらくは、クッキーはおやつに困らなさそうだね。
お母さんにお店教えてもらって、今度奏くんを誘ってみようかな。
あー……でも、こういうデートは受験が終わったあとがいいかな……?
行きたいけど、まだお付き合いしてないし……会う頻度が増えるのは勉強の邪魔になるかもしれないし……
よしっ! 付き合った時に行きたい場所リストを作るくらいなら良いよね。
調べたりするのは、受験後にするとして、思い浮かんだらメモしていこう。
一つ目は……ドッグカフェだね。
受験が終わったとの楽しみが増えていく。
楽しくデートするために、頑張って受からないとだね。
そう思いながら、机に向かい頭を切り替えて勉強に勤しむ。
私は夏休みも夏期講習など行かずに、いつも通り家で勉強をする予定でいる。
わからないところは、お兄ちゃんに聞けば教えて貰えるから、塾に行く必要もないかな。
奏くんにその話をしたら「勉強教えてくれる兄貴とかまじで羨ましい」と言っていた。
奏くんのところは、小学生の妹ちゃんだから奏くんが勉強を見てあげる側だもんね。
お兄ちゃんに感謝だ。
今日の勉強はこれで終わりっと。
奏くんにメッセージ送ろうと思って、スマホを手にすると通知音が鳴る。
「あ……奏くん」
いつもは私からお疲れ様のメッセージを送っていたが、今日は珍しく奏くんから先に送られてきた。
今日、色々あったから……気にしてメッセージ送ってくれたのかな。
いつもは一言「おやすみ」とかなのに、文章が送られてきたことに、笑みが溢れる。
『お疲れ様。明日も晴れみたいだから、俺は行く予定にしてるから。おやすみ』
明日も奏くんに会える……週末二時間だけのご褒美タイム。
これで、来週も一週間頑張れる。
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