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一章 初恋

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 「茉莉絵ちゃん、おかえりー。キーホルダー今日発送したってメール来てたから、明日には届くみたいよ。楽しみね」

 「意外と早かったね」

 「ね、お母さんももう少しかかると思ってたわ」

 キーホルダーを注文してから1週間で発送の連絡が届いたようで、少し驚いた。
 注文が殺到しているので、1週間から2週間程掛かると書いてあったからだ。

 「シャワー浴びてくるー」

 「はーい」

 まだ夏前だというのに、最近暑くて困る。暑いの苦手なのにな……
 とりあえず、シャワーで汗を流してさっぱりしよう。

 綺麗さっぱりしたところで、クッキーにおやつをあげてまったり過ごす。
 30分ほど休んだら、勉強しよう。
 出来るだけ過去問を沢山解いて傾向を掴んでおきたいしね。

 わからないところは、お兄ちゃんに教えて貰おっと。
 頭の良い兄を持って助かったー。

 学区で一番偏差値の高い高校の為、いくら勉強しても受かる自信が持てない。
 学校の勉強は出来ていると思う。
 でも、受験では? 本番でしっかりと力を発揮出来る? 覚えたことがちゃんと出てくる? と、今から不安になってしまう。

 どうしてここを志望校に選んだのかは……制服が可愛いから!
 これ、めっちゃ重要‼︎
 せっかくなら、可愛い制服を着て青春を満喫したい!

 だって、この高校だから何がしたいとかあるわけじゃないから……
 スポーツとかやってる人は、部活動の強さで高校とか選んだりとかあるとは思うけど、それ以外の女子は私と同じ考えの人多いはずっ!

 なんせお兄ちゃんでさえ「この高校が一番制服のデザインが良いだろ?」と言っていたから……

 まぁ、偏差値が高いっていうので、行きたくても行けないっていう人が多いんだけどね。
 
 「さてと、勉強しますかねー」

 「ちゃんと休憩しながら勉強しなさいね。ほら、おやつ持っていきなさい」

 そう言って、チョコとフィナンシェを渡された。
 頭を使うから糖分取れってことかな。

 「ありがとう。それじゃ、クッキーまた後でね」

 「クッキーは、お母さんとお散歩に行きましょうね」

 朝は私と散歩をして、お昼と夕方はお母さんが散歩に連れてってくれている。
 クッキーはお散歩が大好きだから良かったね。

 勉強はとりあえず得意な英語から始める。
 勉強始める時に、サクサクと解いていける問題から始めた方がやる気が出てくるから。
 前に、苦手な科目から片付けようと思って先にやったら、進みが悪くてどんどんモチベーションが低下していったので、やり方を変えた。

 英語は、母がハーフということもあり、小さい頃から英語に触れる機会が多く、自然と得意になっていった。
 今では、食事するときは英語で会話したりと、英語と日本語の両方を日頃から使うようにしている。
 そのお陰で、英語の勉強にはあまり時間を割かなくて良いので助かっている。

 問題は、社会だ……
 ただ暗記するだけ。興味がないことを暗記することの大変さよ……
 全然、頭に入ってこない……
 
 兄は、「リズムで覚えろ。テンポよく覚えていけるはずだ」っていうけど……
 え……頭がいい人ってそういう覚え方なの?
 語呂合わせでの覚え方もあまり得意じゃないから、兄のいうリズムで覚えろも中々難しい。

 ひたすら参考書を読み込んで、問題を解いての繰り返しで、数をこなして覚えていく方法を取っている。
 本当に、苦痛ー‼︎
 
 「おい、そろそろ降りてこい」

 「あ、お兄ちゃん。おかえり」

 「ただいま。飯、出来たってよ」

 「はーい、今行く」

 この時間にいるってことは、バイトがない日なのか。
 兄は、駅の近くにあるカフェで週3回バイトをしている。
 裏方のキッチンを希望していたのに、その見た目を買われてホールに回されてしまったそう。

 いや、まぁ、あの顔だしね? 女性客のウケは良いでしょうよ。
 初めは兄も嫌がっていたが、時給を少し上げると言われて、それならまぁ……ということで、引き受けたらしい。
 兄がバイトの日は、お客さんも増えるらしく、店長からバイトの日を増やせないかって言われているんだとか。
 友達と遊ぶ時間が減るから増やせないって断ってるみたいだけどね。

 私も高校生になったらバイトしよっと。
 お兄ちゃんのとこお店オシャレだし、みんな良い人って言ってたから、募集してたら受けてみようかな。
 流石に、バイト先までお兄ちゃんと同じはブラコンが過ぎる……かな?

 お兄ちゃんは、ぶっきら棒な言い方だけど優しいし、イケメン。
 私が恋できないのって、イケメンな兄がいるせいでハードルが上がってしまっているのでは⁉︎
 あり得そう……

 まっ、今は受験生。
 恋なんてしてる暇ないから、今はこれでいいのかもしれない。
 恋愛は高校に入ってから存分にしよう‼︎
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