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一章 告知
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香織と別れ廊下に出るとすでに柊真が待っていた。
「柊真のクラスの方が終わるの早かったんだね。」
「なんか、美月のクラス盛り上がってたな」
「クラスTシャツどんな感じにするか話し合ってたからかな」
「あー、うちも作るらしいけど、まだどんなのにするかは話し合ってないな。もう決まったのか?」
「うん。うちのクラス何するにも決めるのが早くてびっくりしたよ。それでね、なんとっ! クラスTシャツは私が描くことになったんだよ」
「え、まじか。すごいじゃん! いいなー、俺も美月と同じクラスが良かったな。美月が描いたTシャツ欲しかった……」
それなら……LサイズのTシャツを一枚余分で注文してもらって後で柊真にあげようかな。
それくらい許されるよね?
外では着れなくても寝る時とかに着てくれるかもしれない。
「予約の時間まで少しあるから軽くぶらつくか」
「うん」
学校の中では手を繋いだりしないのに、校門を出たところで、恥ずかしそうにそっと手を握ってくる柊真。
耳真っ赤で可愛いなと見ていると……
「なんだよっ、別に手ぐらい繋ぐだろ。その、付き合ってるんだから……」
「ふふっ、そうだね。嬉しいよっ」
ぎゅっと腕に抱きつくと、柊真は目を見開き驚いていた。
見た目は、無愛想に見えるのに、こういう反応を見ると可愛いなと思う。
それから雑貨屋さんなどを見て周り、予約したカフェへと向かった。
ここって、みんなが新しく出来たって言ってたお店だ。
お客さんは女性ばかりなのに、よく来ようと思えたなと柊真の顔を覗き込む。
「どうした?」
「いや、可愛くて素敵なお店だけど、柊真は居心地悪くないのかなって思って」
「……いや、まぁ、場違いな感じは否めないが……今日は美月の誕生日を祝うためだから、俺の好みじゃなくて、美月に合わせないと意味ないだろ」
「ふふっ、ありがとう」
「あと……もうデザートも頼んであるから、とりあえず飲み物だけ選んで」
「え? うん」
すでにデザート選んでくれてたんだ。私が何が好きなのかって長い付き合いでわかってるからこそだよね。
メニューをさらっと見た感じだと……私ならパンケーキにフルーツが添えられたものを選ぶかなーと思っていると、店員さんが注文をとりにきた。
「俺は、コーラ。美月は、オレンジジュースか?」
「うん。オレンジジュースにする」
流石に、飲み物も言わなくてもわかってるか。
まぁ、大体いつもオレンジジュースかリンゴジュースって感じだから、どちらか言えば当たるけど。
店員さんが飲み物とデザートを持ってくると「お誕生日おめでとうございます」と一言言って去っていった。
予想通りテーブルに並べられたデザートはパンケーキだった。プレートには、チョコソースでHappy Birthdayの文字が……
ちゃんと誕生日だってお店の人に伝えてくれてたんだなー。
「流石に誕生日の歌とか歌われるのは恥ずかしいだろって思って遠慮したんだが、大丈夫だったか?」
「え、うん。私もそれはちょっと恥ずかしいから、これくらいでちょうど良いよ。店員さんもおめでとうって言ってくれたしね」
「あー……俺、まだ言えてなかったのに、先越されたな。会ってすぐに言えばよかった……。美月、お誕生日おめでとう」
「ありがとう。素敵なお店に連れてきてくれて、嬉しいよ」
「それで……まぁ、これプレゼント」
そうして、鞄から取り出したのは有名店のチョコレートだった。
あー……そうか。ちょっと今年はいつもと違うんじゃって期待しちゃってたけど……うん、まぁ、柊真だしね。
「ありがとう。家に帰ったら食べるね」
「ふっ、おまっ、顔に出過ぎだろ。チョコ貰ってがっかりしすぎ」
「えっ、嘘! ごめん……そのお菓子が嫌なわけじゃなかったんだけど、その……」
「付き合って初めての誕生日だったからだよな。分かってるよ。ほら、これ。こっちが本当のプレゼントな?」
「え……?」
そうして、また鞄から何か取り出した。
テーブルに置かれた箱を開けると、手帳や万年筆などが入っていた。
「アクセサリーにするか悩んだんだけど、俺が変に選ぶよりそういうのは一緒に買いに行ったほうがいいよなって思ってさ。美月は昔からよく手帳に色々書き込んだりするのが好きだっただろ? だから、ちょっと大きめの自由に書き込めるタイプの手帳と万年筆とインクのセットにしてみたんだよな」
「嬉しい……すごい嬉しい! 私のことを考えてくれたっていうのが伝わるプレゼントだよ。本当に……ありがとう」
「そんなに喜んでくれるなら、頭を悩ませた甲斐があるな」
定番のプレゼントを選ぶわけでもなく、私の好きそうなものをちゃんと考えて選んでくれた……
こんなに想われてて私は幸せ者だよ。
「柊真のクラスの方が終わるの早かったんだね。」
「なんか、美月のクラス盛り上がってたな」
「クラスTシャツどんな感じにするか話し合ってたからかな」
「あー、うちも作るらしいけど、まだどんなのにするかは話し合ってないな。もう決まったのか?」
「うん。うちのクラス何するにも決めるのが早くてびっくりしたよ。それでね、なんとっ! クラスTシャツは私が描くことになったんだよ」
「え、まじか。すごいじゃん! いいなー、俺も美月と同じクラスが良かったな。美月が描いたTシャツ欲しかった……」
それなら……LサイズのTシャツを一枚余分で注文してもらって後で柊真にあげようかな。
それくらい許されるよね?
外では着れなくても寝る時とかに着てくれるかもしれない。
「予約の時間まで少しあるから軽くぶらつくか」
「うん」
学校の中では手を繋いだりしないのに、校門を出たところで、恥ずかしそうにそっと手を握ってくる柊真。
耳真っ赤で可愛いなと見ていると……
「なんだよっ、別に手ぐらい繋ぐだろ。その、付き合ってるんだから……」
「ふふっ、そうだね。嬉しいよっ」
ぎゅっと腕に抱きつくと、柊真は目を見開き驚いていた。
見た目は、無愛想に見えるのに、こういう反応を見ると可愛いなと思う。
それから雑貨屋さんなどを見て周り、予約したカフェへと向かった。
ここって、みんなが新しく出来たって言ってたお店だ。
お客さんは女性ばかりなのに、よく来ようと思えたなと柊真の顔を覗き込む。
「どうした?」
「いや、可愛くて素敵なお店だけど、柊真は居心地悪くないのかなって思って」
「……いや、まぁ、場違いな感じは否めないが……今日は美月の誕生日を祝うためだから、俺の好みじゃなくて、美月に合わせないと意味ないだろ」
「ふふっ、ありがとう」
「あと……もうデザートも頼んであるから、とりあえず飲み物だけ選んで」
「え? うん」
すでにデザート選んでくれてたんだ。私が何が好きなのかって長い付き合いでわかってるからこそだよね。
メニューをさらっと見た感じだと……私ならパンケーキにフルーツが添えられたものを選ぶかなーと思っていると、店員さんが注文をとりにきた。
「俺は、コーラ。美月は、オレンジジュースか?」
「うん。オレンジジュースにする」
流石に、飲み物も言わなくてもわかってるか。
まぁ、大体いつもオレンジジュースかリンゴジュースって感じだから、どちらか言えば当たるけど。
店員さんが飲み物とデザートを持ってくると「お誕生日おめでとうございます」と一言言って去っていった。
予想通りテーブルに並べられたデザートはパンケーキだった。プレートには、チョコソースでHappy Birthdayの文字が……
ちゃんと誕生日だってお店の人に伝えてくれてたんだなー。
「流石に誕生日の歌とか歌われるのは恥ずかしいだろって思って遠慮したんだが、大丈夫だったか?」
「え、うん。私もそれはちょっと恥ずかしいから、これくらいでちょうど良いよ。店員さんもおめでとうって言ってくれたしね」
「あー……俺、まだ言えてなかったのに、先越されたな。会ってすぐに言えばよかった……。美月、お誕生日おめでとう」
「ありがとう。素敵なお店に連れてきてくれて、嬉しいよ」
「それで……まぁ、これプレゼント」
そうして、鞄から取り出したのは有名店のチョコレートだった。
あー……そうか。ちょっと今年はいつもと違うんじゃって期待しちゃってたけど……うん、まぁ、柊真だしね。
「ありがとう。家に帰ったら食べるね」
「ふっ、おまっ、顔に出過ぎだろ。チョコ貰ってがっかりしすぎ」
「えっ、嘘! ごめん……そのお菓子が嫌なわけじゃなかったんだけど、その……」
「付き合って初めての誕生日だったからだよな。分かってるよ。ほら、これ。こっちが本当のプレゼントな?」
「え……?」
そうして、また鞄から何か取り出した。
テーブルに置かれた箱を開けると、手帳や万年筆などが入っていた。
「アクセサリーにするか悩んだんだけど、俺が変に選ぶよりそういうのは一緒に買いに行ったほうがいいよなって思ってさ。美月は昔からよく手帳に色々書き込んだりするのが好きだっただろ? だから、ちょっと大きめの自由に書き込めるタイプの手帳と万年筆とインクのセットにしてみたんだよな」
「嬉しい……すごい嬉しい! 私のことを考えてくれたっていうのが伝わるプレゼントだよ。本当に……ありがとう」
「そんなに喜んでくれるなら、頭を悩ませた甲斐があるな」
定番のプレゼントを選ぶわけでもなく、私の好きそうなものをちゃんと考えて選んでくれた……
こんなに想われてて私は幸せ者だよ。
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