【完結】余韻を味わう りんご飴

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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四章 行き着く先は

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 八月にインターハイ本選があるため、六月に予選会が行われる。
 もう今週末には大会があると思うと、自分が出るわけじゃないのに、そわそわしてしまう。

 去年負けた高校とは、お互いに勝ち上がっていけば決勝で当たることになる。
 彼らにリベンジを果たし、優勝できれば一番だけど……って私が弱気になっちゃ駄目だよね。
 悠たちが勝つって信じて応援に行かないと。

 神社にお参り行って、お守りも買ってこようかな。
 
 どうせなら、リストバンドを買ってから神社に行こう。
 なんかリストバンドもご利益がつきそうな気がするし。

 学校が終わるとすぐにリストバンドを購入し、神社へと向かった。
 平日の夕方だから私以外にお参りしている人はいなかった。
 お賽銭を投げて、リストバンドを両手で握りしめながら、カランコロンと鳴らし祈った。

 『どうか、今までの努力が報われますように。予選会を勝ち上がり、インターハイに出場できますように。お願いします!』

 ここぞとばかりに、強くお願いをし、必勝守りを買って帰路についた。
 今日は、レモネードと一口チョコを一個だけ添えることにした。
 レモネードは、甘さ控えめですっきりとした味わいだから、チョコとも合うかなって思ったんだよね。
 少しでも疲れが取れるといいなと思ったんだけど……ご飯の前だからやめたほうがいいかな。
 うーん、小さいし一個だけだから良いよね……?

 「悠、おかえり。今日もお疲れ様」

 「ただいま」

 前に、うちで髪を乾かしてから、次からはちゃんと家で乾かしてからくるようになったんだよね。
 流石に、予選会を目前に控えてるから体調管理はしっかりしないといけないもんね。

 「疲れてるかなって思って、一口チョコあるんだけど食べる?」

 「貰おうかな」

 「悠って昔から甘いの好きだよね?」

 「ん……?」

 「ほら、お祭りがあるといつも一緒にりんご飴食べてたよね」

 「あー……あれは……りんご飴が好きだったんじゃなくて、いろはと一緒に食べたかっただけだな」

 「え? あれ、じゃあ甘いの好きじゃないの?」

 「好きってわけじゃないけど、嫌いってわけでもないかな。あれば普通に食べるって感じだから」

 「じゃあ……チョコは……」

 「疲れてるからチョコは食べる」

 「そう? 分かった」

 てっきり悠は甘いの好きだと思ってたから、チョコ食べるかなって思ったんだけど、まさか私に合わせてりんご飴食べてただけだったなんて……

 まだまだ知らないことがたくさんあるんだろうな……これからちゃんと知っていきたいな。
 
 「あっ、そうだ。悠、これ……貰ってくれる? リストバンドとお守りなんだけど」

 「わざわざ買いに行ったのか?」

 「リストバンドは、バイト代が出たら買おうって前から思ってたんだよね。少しでも力になれたら嬉しいなって思って。それで、リストバンド買って、そのまま神社にお参りしてお守りも買ってきたの」

 「いろはがくれたリストバンドつけたら、力がみなぎりそうだな。お守りもありがとう。大事にするな」

 そういうと、リストバンドを腕にはめて、着け心地を確認していた。
 何色にするか悩んだけど、ユニフォームが白と青で爽やかな感じだから、リストバンドも白で青字でロゴが入っているものを選んだ。
 きっと、ユニフォームとマッチして良い感じだと思うな。

 「嬉しすぎて、今日はこれつけたまま寝そう……」

 「えー、寝るときはちゃんと外してよ。喜んでくれるのは嬉しいけど。明日から練習でも使ってね?」

 「なんか使うの勿体無いけど……使わないとくれた意味がないもんな。明日から練習でも大会の時も使うな」

 「うんっ! 土曜日は私もバイトお休みにしたから、ちゃんと応援に行くからね!」

 「去年は準優勝だったから、今年こそ優勝してインターハイ本選に行くから、見ててな」

 「うん。悠ならいけるって信じてるから」

 悠たちは、早いボール回しで、どんどん得点を入れていくスタイルなため、悠へボールが集まりやすい。
 自分がチームを引っ張っていかなきゃって思いも強いと思うし、気負いすぎないといいな。
 悠のシュート率は大体8割ほどとかなり良いため、大会でもいつも通りプレイが出来れば、きっと優勝できる。

 フリースローは静まり返った中でプレッシャーも凄いだろうに、ほとんど外さない。
 精神力と集中力が凄いのと、シューティングガードとしてのプライドもあるんだと思う。
 フリースローって邪魔が入らないから外さないだろうって思われがちだけど、プレッシャーで変に力が入ってしまったりで、割と外しやすいんだよね。
 
 
 
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