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四章 行き着く先は
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「悠くん、お帰りなさい。お腹空いてるだろうから、ゆっくりして言ってねとは言いにくいけど、寛いで行ってね」
「こんな時間にお邪魔してすみません」
「いいのよー。悠くんは息子みたいなものだし、来てくれて嬉しいもの」
「悠、いらっしゃい。今作ってるところだから、座って待っててね」
運動した後だし、アイスのほうがいいんじゃないかなって思ったけど、「温かいほうが落ち着く感じがするし、いろはがラテアートしたのが飲みたい」と言われたため、ホットで準備している。
ラテアートも毎日やっているからだいぶ手慣れてきて、葉っぱ以外の絵柄も描くようになった。
時々、チョコソースも使ってみたりして、楽しく練習が出来ている。
今日のラテアートは、ハートにしちゃったけど……やっぱり葉っぱにすれば良かったかなと少し後悔中だ。
彼女と別れたばかりでつけ込むような真似はしたくないから、まだ気持ちは伝えられないけど、これくらいならいいかなぁ。
「悠、お待たせ」
「ありがとな。今日のラテアートは……可愛い感じだな」
「えっと、いつも葉っぱばかりだとつまらないかなって思って変えてみたんだけど、可愛すぎたかな?」
「いや、大丈夫だ。その……たまにはこういうのもいいな」
そう言いながら、ゆっくりとカフェラテを飲む悠が、とても嬉しそうだったので、私も嬉しくなる。
でも、流石に夏は暑いからアイスのほうが良さそうだけど、それでもホットがいいのかな。
「ねぇ、これからどんどん暑くなってくけど、毎回ホットでいいの?」
「夏はエアコン効いてて涼しいから、ホットでも問題ないな」
「そっか。悠がいいならいいけど」
お母さんは気を利かせてくれたのか、キッチンの方へと下がっていった。
二人にしてくれたのかな。
悠がカフェラテを飲むたびに上下に動く喉仏に目がいってしまう。
そんなところを男らしいと感じるのはおかしいのだろうか。
つい触れたくなってしまい、そっと指を伸ばす。
「いろは……?」
「あっ、いきなりごめん! 喉仏が気になって……ちょっと触りたくなっちゃった」
「こんなのが気になるのか? 触りたかったら、どうぞ」
そういうと、悠は私の手を掴み、喉元へと寄せた。
うわぁー……すごいゴツゴツしてる。こんな風に悠の体に触れるなんて……なんかドキドキしてしまう。
「ありがと、もう十分だよ。女子と男子では、結構違うよね」
「女子は、喉元に凹凸がないよな」
「なんでだろうね」
「気にしたこともないな」
「ふふっ、そうだよね」
こんななんでもないやり取りが楽しい。
ゆったりと流れる時間が心地良くて、もっと一緒にいたいなと思ってしまう。
でも、悠はこれからご飯食べないといけないし、部活で疲れてるから、あまり長く引き止めたら駄目だよね。
短い時間でもこうやって過ごせるんだから十分……あまり欲を出しすぎないようにしないと。
「ご馳走様でした。それじゃ、帰るな。おばさんにもお邪魔しましたって言っといて」
「うん。また明日ね。おやすみ」
「おやすみ」
今日は、悠の夢見れたりするかな? なんて、ちょっと浮かれすぎか。
「悠くん、帰ったの?」
「うん、お母さんにお邪魔しましたって伝えといてって言われたよ」
「気にしなくていいのにね」
「んー、お邪魔する側としてはやっぱり気になるでしょ。私が悠の家にお邪魔する立場なら気にするもん」
「それもそうね」
会話をしながら、お母さんが飲み終えたカップを持って行こうとしたので、カップを取り上げる。
私が誘って悠に来てもらってるからね。後片付けまで私がやらないと。
「あっ、お母さん、カップは私が洗うからいいよ」
「そう? この前買った陶器のカップを使ったのね。いろはのお気に入りだものね」
「うん。私のカップを使うのどうかなって思ったんだけど……このカップ素敵なんだもん。カフェラテ入れたら、めっちゃお店のっぽくなるから、やっぱりこれかなーって思って」
「これから、しょっちゅう悠くん来るみたいだし、悠くん用のカップ買おうか」
「え?」
「この前のお店で、これと同じの買ってくるから、悠くんようにしてあげなさい」
「いいの?」
「いろはと悠くんが昔みたいに仲良くしてるの、お母さん嬉しいんだよね」
「……ありがとう」
私も、離れていた四年がなかったかのように、悠と話せてるのが嬉しい。
今日みたいに、うちにきて一緒にカフェラテ飲んで、お喋りして……こんな日々が続くといいな。
「こんな時間にお邪魔してすみません」
「いいのよー。悠くんは息子みたいなものだし、来てくれて嬉しいもの」
「悠、いらっしゃい。今作ってるところだから、座って待っててね」
運動した後だし、アイスのほうがいいんじゃないかなって思ったけど、「温かいほうが落ち着く感じがするし、いろはがラテアートしたのが飲みたい」と言われたため、ホットで準備している。
ラテアートも毎日やっているからだいぶ手慣れてきて、葉っぱ以外の絵柄も描くようになった。
時々、チョコソースも使ってみたりして、楽しく練習が出来ている。
今日のラテアートは、ハートにしちゃったけど……やっぱり葉っぱにすれば良かったかなと少し後悔中だ。
彼女と別れたばかりでつけ込むような真似はしたくないから、まだ気持ちは伝えられないけど、これくらいならいいかなぁ。
「悠、お待たせ」
「ありがとな。今日のラテアートは……可愛い感じだな」
「えっと、いつも葉っぱばかりだとつまらないかなって思って変えてみたんだけど、可愛すぎたかな?」
「いや、大丈夫だ。その……たまにはこういうのもいいな」
そう言いながら、ゆっくりとカフェラテを飲む悠が、とても嬉しそうだったので、私も嬉しくなる。
でも、流石に夏は暑いからアイスのほうが良さそうだけど、それでもホットがいいのかな。
「ねぇ、これからどんどん暑くなってくけど、毎回ホットでいいの?」
「夏はエアコン効いてて涼しいから、ホットでも問題ないな」
「そっか。悠がいいならいいけど」
お母さんは気を利かせてくれたのか、キッチンの方へと下がっていった。
二人にしてくれたのかな。
悠がカフェラテを飲むたびに上下に動く喉仏に目がいってしまう。
そんなところを男らしいと感じるのはおかしいのだろうか。
つい触れたくなってしまい、そっと指を伸ばす。
「いろは……?」
「あっ、いきなりごめん! 喉仏が気になって……ちょっと触りたくなっちゃった」
「こんなのが気になるのか? 触りたかったら、どうぞ」
そういうと、悠は私の手を掴み、喉元へと寄せた。
うわぁー……すごいゴツゴツしてる。こんな風に悠の体に触れるなんて……なんかドキドキしてしまう。
「ありがと、もう十分だよ。女子と男子では、結構違うよね」
「女子は、喉元に凹凸がないよな」
「なんでだろうね」
「気にしたこともないな」
「ふふっ、そうだよね」
こんななんでもないやり取りが楽しい。
ゆったりと流れる時間が心地良くて、もっと一緒にいたいなと思ってしまう。
でも、悠はこれからご飯食べないといけないし、部活で疲れてるから、あまり長く引き止めたら駄目だよね。
短い時間でもこうやって過ごせるんだから十分……あまり欲を出しすぎないようにしないと。
「ご馳走様でした。それじゃ、帰るな。おばさんにもお邪魔しましたって言っといて」
「うん。また明日ね。おやすみ」
「おやすみ」
今日は、悠の夢見れたりするかな? なんて、ちょっと浮かれすぎか。
「悠くん、帰ったの?」
「うん、お母さんにお邪魔しましたって伝えといてって言われたよ」
「気にしなくていいのにね」
「んー、お邪魔する側としてはやっぱり気になるでしょ。私が悠の家にお邪魔する立場なら気にするもん」
「それもそうね」
会話をしながら、お母さんが飲み終えたカップを持って行こうとしたので、カップを取り上げる。
私が誘って悠に来てもらってるからね。後片付けまで私がやらないと。
「あっ、お母さん、カップは私が洗うからいいよ」
「そう? この前買った陶器のカップを使ったのね。いろはのお気に入りだものね」
「うん。私のカップを使うのどうかなって思ったんだけど……このカップ素敵なんだもん。カフェラテ入れたら、めっちゃお店のっぽくなるから、やっぱりこれかなーって思って」
「これから、しょっちゅう悠くん来るみたいだし、悠くん用のカップ買おうか」
「え?」
「この前のお店で、これと同じの買ってくるから、悠くんようにしてあげなさい」
「いいの?」
「いろはと悠くんが昔みたいに仲良くしてるの、お母さん嬉しいんだよね」
「……ありがとう」
私も、離れていた四年がなかったかのように、悠と話せてるのが嬉しい。
今日みたいに、うちにきて一緒にカフェラテ飲んで、お喋りして……こんな日々が続くといいな。
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