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四章 行き着く先は
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「お待たせしました。カフェラテとコーラになります」
「お、瓶じゃん。珍しいな」
そういうと、木村くんは、私が栓を抜こうをするよりも先にトレーに乗った栓抜きを手に取り自分で開けていた。
あー……まぁ、いっか。
次は、ラテアートが崩れないように慎重にテーブルに乗せていく。
「えっ⁉︎ これいろはちゃんが描いたの? めっちゃ綺麗なんだけど。お店のカフェラテみたい」
「瑠奈ちゃんったら、お店のカフェラテだよ。碧くんが描くコツみたいなの教えてくれたから、うまくいったんだよね」
「見てた! バイト中にイチャイチャしてるのかと思って、めっちゃ見てたけど、普通にラテアート描いてるっぽかったね」
そんな風に見えてたんだ……碧くんとはそういうんじゃないんだけど、悠にも誤解されたりしてないかな? と、悠のほうを見るも特に変わった様子は見られなかった。
私が碧くんのことどう思ってたとしても、悠は興味ないか……
「イチャイチャって……碧くんとはそういうんじゃないから。真面目にご指導いただきましたよ」
「ふーん」
「これは、いろはが描いたやつか? それとも、さっきあいつと一緒に描いたやつか?」
「ん? 碧くんと一緒に描いたものだとズルになっちゃうでしょ? 私が自分で描いたことにならないし。だから、それは碧くんが飲んでくれるって言うから、改めて私が一人で描いたよ」
「そっか。じゃ、記念に写真撮っとかないとな」
「あっ、私もー!」
私もよく描けてると心の中で自画自賛してたので、二人が写真を撮ってくれたのは素直に嬉しかった。
私にも出来ることがあったんだなと少し自信を持つことが出来た。
それから家でもカフェラテを飲むようになり、ラテアートが描きやすいように大きめのカップが欲しいと思っていると、お母さんが買いに行こうと言い出した。
「お母さん、私が言うのもなんだけど、私がしたいことにお金を使おうとしすぎじゃない?」
「何言ってるのよ。あなた今まで習い事も何もしてこなかったから、お金かかってないのよ? せっかく興味を持てることが出来たんだから、少し使ったからなんだって言うのよ」
「えー……」
「みんな、小さい頃から水泳やら英会話やらって通って月にいくら掛かってると思ってるの? それが何年もよ? うちはなんて経済的な子なのかしらね」
「そう言われると、経済的なのかな? 私って」
「……褒めてないからね。お母さんは、もっといろんな経験して欲しかったけど。まぁ、無理強いするものじゃないからね。だから、カフェラテ用のカップを新しく買おうが、コーヒーメーカー買おうが別に大したことじゃないわよ」
「そっか。お母さん、ありがとね」
「別にいいわよ。お母さんもいろはがカフェラテ作ってくれるのを美味しくいただいてますからね」
こんなの親孝行にもならないかもしれないけど、お母さんが喜んでくれるから、毎朝カフェオラテを作っている。
ラテアートの練習にもなって良い感じだ。
お母さんに連れられてきたお店は、和風な食器が多く、一部木製の食器が置かれていた。
深みのある緑が混ざったような青色のカップが素敵だなと手に取ると、手への収まりも良かった。
第一候補として覚えておいて、他にも何かないかなと木製の食器が置かれているコーナーへと向かった。
木製のコロンとした丸いフォルムのカップが可愛くて、これも欲しいなと思ってしまった。
さっきのもこっちのもどちらも素敵で捨て難い……うーん。両手にカップを持ってどちらにしようかと悩んでいると、お母さんが「欲しいものあった?」と声をかけてきた。
「これなんだけど、どっちも素敵でしょ? タイプの違うカップだから、どっちにするか悩んじゃって。どっちがいいと思う?」
「あら、本当にどちらも素敵ねぇ。それなら、両方買ってしまいましょう」
「えっ⁉︎」
「カップの一つや二つ別にいいわよ。お母さんもお魚用のお皿が素敵だったから、ほら、カゴに三皿入れてるしね」
「えー……じゃ、お言葉に甘えて。お母さん、ありがとー」
「その陶器のカップ、色合いが本当に素敵ねぇ。お母さんとお父さんの分も買っていこうかしら」
「ねっ! これ、一目で気に入っちゃったんだよね。なんか深みがあるっていうか落ち着いた感じで、綺麗な色だよね」
「食器って見てると、色々買いたくなっちゃうから駄目ね。今日はこの辺にしてまた今度きましょうか」
「はーい」
結局、私用にカップを二個も買って帰ってきてしまった。
甘えすぎな気もするけど、お母さんも楽しそうだったし、いいってことにしよっと。
バイトの給料が入ったら、お母さんにちょっと良いお菓子とか買ってきてあげようかな。
それで、カフェラテ入れてあげて、お家カフェなんてしておもてなしするのもいいかもしれない。
日頃の感謝もこめて、夜はカレーくらいなら作れるから、ゆっくりしてもらおうかな。
よしっ、それで行こう。
「お、瓶じゃん。珍しいな」
そういうと、木村くんは、私が栓を抜こうをするよりも先にトレーに乗った栓抜きを手に取り自分で開けていた。
あー……まぁ、いっか。
次は、ラテアートが崩れないように慎重にテーブルに乗せていく。
「えっ⁉︎ これいろはちゃんが描いたの? めっちゃ綺麗なんだけど。お店のカフェラテみたい」
「瑠奈ちゃんったら、お店のカフェラテだよ。碧くんが描くコツみたいなの教えてくれたから、うまくいったんだよね」
「見てた! バイト中にイチャイチャしてるのかと思って、めっちゃ見てたけど、普通にラテアート描いてるっぽかったね」
そんな風に見えてたんだ……碧くんとはそういうんじゃないんだけど、悠にも誤解されたりしてないかな? と、悠のほうを見るも特に変わった様子は見られなかった。
私が碧くんのことどう思ってたとしても、悠は興味ないか……
「イチャイチャって……碧くんとはそういうんじゃないから。真面目にご指導いただきましたよ」
「ふーん」
「これは、いろはが描いたやつか? それとも、さっきあいつと一緒に描いたやつか?」
「ん? 碧くんと一緒に描いたものだとズルになっちゃうでしょ? 私が自分で描いたことにならないし。だから、それは碧くんが飲んでくれるって言うから、改めて私が一人で描いたよ」
「そっか。じゃ、記念に写真撮っとかないとな」
「あっ、私もー!」
私もよく描けてると心の中で自画自賛してたので、二人が写真を撮ってくれたのは素直に嬉しかった。
私にも出来ることがあったんだなと少し自信を持つことが出来た。
それから家でもカフェラテを飲むようになり、ラテアートが描きやすいように大きめのカップが欲しいと思っていると、お母さんが買いに行こうと言い出した。
「お母さん、私が言うのもなんだけど、私がしたいことにお金を使おうとしすぎじゃない?」
「何言ってるのよ。あなた今まで習い事も何もしてこなかったから、お金かかってないのよ? せっかく興味を持てることが出来たんだから、少し使ったからなんだって言うのよ」
「えー……」
「みんな、小さい頃から水泳やら英会話やらって通って月にいくら掛かってると思ってるの? それが何年もよ? うちはなんて経済的な子なのかしらね」
「そう言われると、経済的なのかな? 私って」
「……褒めてないからね。お母さんは、もっといろんな経験して欲しかったけど。まぁ、無理強いするものじゃないからね。だから、カフェラテ用のカップを新しく買おうが、コーヒーメーカー買おうが別に大したことじゃないわよ」
「そっか。お母さん、ありがとね」
「別にいいわよ。お母さんもいろはがカフェラテ作ってくれるのを美味しくいただいてますからね」
こんなの親孝行にもならないかもしれないけど、お母さんが喜んでくれるから、毎朝カフェオラテを作っている。
ラテアートの練習にもなって良い感じだ。
お母さんに連れられてきたお店は、和風な食器が多く、一部木製の食器が置かれていた。
深みのある緑が混ざったような青色のカップが素敵だなと手に取ると、手への収まりも良かった。
第一候補として覚えておいて、他にも何かないかなと木製の食器が置かれているコーナーへと向かった。
木製のコロンとした丸いフォルムのカップが可愛くて、これも欲しいなと思ってしまった。
さっきのもこっちのもどちらも素敵で捨て難い……うーん。両手にカップを持ってどちらにしようかと悩んでいると、お母さんが「欲しいものあった?」と声をかけてきた。
「これなんだけど、どっちも素敵でしょ? タイプの違うカップだから、どっちにするか悩んじゃって。どっちがいいと思う?」
「あら、本当にどちらも素敵ねぇ。それなら、両方買ってしまいましょう」
「えっ⁉︎」
「カップの一つや二つ別にいいわよ。お母さんもお魚用のお皿が素敵だったから、ほら、カゴに三皿入れてるしね」
「えー……じゃ、お言葉に甘えて。お母さん、ありがとー」
「その陶器のカップ、色合いが本当に素敵ねぇ。お母さんとお父さんの分も買っていこうかしら」
「ねっ! これ、一目で気に入っちゃったんだよね。なんか深みがあるっていうか落ち着いた感じで、綺麗な色だよね」
「食器って見てると、色々買いたくなっちゃうから駄目ね。今日はこの辺にしてまた今度きましょうか」
「はーい」
結局、私用にカップを二個も買って帰ってきてしまった。
甘えすぎな気もするけど、お母さんも楽しそうだったし、いいってことにしよっと。
バイトの給料が入ったら、お母さんにちょっと良いお菓子とか買ってきてあげようかな。
それで、カフェラテ入れてあげて、お家カフェなんてしておもてなしするのもいいかもしれない。
日頃の感謝もこめて、夜はカレーくらいなら作れるから、ゆっくりしてもらおうかな。
よしっ、それで行こう。
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