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四章 行き着く先は
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バイトを始めて一月経ち、瑠奈ちゃんたちがバイト先に遊びにくる日になった。
「今日は友達くるんだったか?」
「そう! 瑠奈ちゃんと彼氏の木村くんと、悠もくるよ」
「若い女の子が来て楽しめる場所じゃないと思うけどな」
「私は居心地が良いって感じたけどな。可愛いカフェとかが好きな女子だったら合わないかもしれないけど、多分瑠奈ちゃんもここ気に入ってくれると思うんだよね」
「ま、友達の接客は任せるから、他の客は俺が相手しとくから」
「気を使っていただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げてお礼を言うと、私の頭にぽんっと手をおいて、「はいはい、そういうのいいから」と言った。
知り合ってまだ一月しか経ってないのに、碧くんが話しやすいからか、だいぶ仲良くなった気がする。
ラテアートは練習してるけど、まだお客様に出せるほど綺麗には出来ないため、毎回自分で飲んだり碧くんに飲んで貰っている。
「今日、友達がカフェラテ頼んだら、ラテアートやってみるか?」
「え? お客様に出していいの?」
「柚木の友達ならいいだろ」
「ふふっ、頑張ろうっと」
時計をチラチラ気にしながら、瑠奈ちゃんたちが来るのを今か今かと待っていると、「落ち着け」と言われてしまった。
十二時少し前に来て、お昼をここで食べていくって言ってたと思うから、そろそろだよね。
すると、ドアベルが鳴り、来客を告げる。
瑠奈ちゃんたちかな? と、見ると、常連のお客様で少しがっかりしてしまったが、それを表に出すことなく、笑顔で「いらっしゃいませ」と言った。
そのすぐ後にもドアベルが鳴り、期待せずに振り返ると、瑠奈ちゃんが小さく手を振っていた。
きた! 瑠奈ちゃんだ。後ろには、木村くんと悠もいる。
みんなの私服姿は、水族館以来だからなんか新鮮に感じる。
「いらっしゃいませ。三名様ですね。お好きな席におかけください」
「いろはちゃんが、ちゃんと接客してるー!」
「へー、落ち着いた店だな。どこ座る? 窓側がよくね?」
「あまりうるさくするなよ? 席はどこでもいいけど」
店内が賑やかになりすぎないか少し心配したけど、三人とも店の雰囲気を気にしてか声のトーンを下げてくれていたので助かった。
「お冷とおしぼりになります」
「ありがとー。いろはちゃん、バイト中は両サイド編み込んでるんだね。可愛いー!」
「飲食店だから、髪はできるだけまとめたほうがいいかなって思って」
「うんうん、そうだね。何にしようかなー、どれがおすすめとかある?」
「ナポリタンとかデミグラスソースのオムライスとか人気かな。あと、BLTサンドも良く注文されるね」
「じゃ、私はデミグラスソースのオムライスする。あとは、オレンジジュースで」
「俺は、BLTサンドにする。飲み物はコーラで」
瑠奈ちゃんはオムライスとオレンジジュースで、木村くんはBLTサンドとコーラね。
注文をしっかりと伝票に書いていく。
「俺は……カフェラテにしようかな。いろはがラテアートしてくれるか?」
「え? あ、もし、みんながカフェラテ頼んだら私がラテアートしていいって言われてるから、悠のは私がやらせていただきます」
「えっ⁉︎ いろはちゃんラテアートとかできるの? それならオレンジジュースやめて、カフェラテにする! 私もいろはちゃんが描いてくれたカフェラテ飲みたい」
「えー……二人ともカフェラテかよ。俺は……コーラのままで」
「ふふっ、木村くんは、変更なしで、悠と瑠奈ちゃんはカフェラテね。悠、食事は何にするの?」
「そうだな……煮込みハンバーグとライスで」
おすすめを外して、自分が好きなものを選ぶあたり、悠らしいなと思った。
おすすめじゃないからといって、ハンバーグに人気がないわけじゃないけどね。
さて、気合を入れて、ラテアート頑張りましょうか。
とりあえず、一般的なリーフを丁寧にミルクを流し込み描いていくも、細かな葉っぱが描けなかった……
これは、後で私が飲もうと思い、もう一度とラテを入れて、ミルクを手に取ったところで、碧くんに声をかけられた。
「柚木、ちょっと触るけど許せよ」
「え?」
触るってなんだろうと思っていると、ミルクを持った私の手に手を重ねてきて、びっくりして、思わず彼の方に顔を向けると、顔の近さにドキリとしてしまう。
「ほら、よそ見するな。よく見とけ。こうやって小さく細かく左右に振っていって、最後に縦に流すんだよ。柚木は左右に振る時、ゆっくり大きくしてるから形が微妙になるんだよ。ほら、やってみろ」
「うん……わかった」
さっきの感覚を思い出しながら、細かく左右に揺らしながらミルクを流していくと、綺麗に葉っぱを描くことができた。
うわぁー、これ、私が描いたんだ。
「よしっ、これなら普通に客に出せるな」
「碧くん、本当にありがとう!」
「ほら、あと一個だろ?」
「え、でも碧くんと描いたのと今描いたので二個だから」
「俺と描いたラテアートは、柚木が描いたわけじゃないんだから無しだろ。それは俺が飲むからおいとけよ」
「何から何までありがとうございます」
「はいはい、感覚忘れないうちに早くやっちゃえよ」
「はーい」
碧くんの指導のお陰で、瑠奈ちゃんと悠にちゃんとしたカフェラテを出すことが出来る。
そして、この成果をお母さんにも見せてあげようと、こっそり写真を撮った。
「今日は友達くるんだったか?」
「そう! 瑠奈ちゃんと彼氏の木村くんと、悠もくるよ」
「若い女の子が来て楽しめる場所じゃないと思うけどな」
「私は居心地が良いって感じたけどな。可愛いカフェとかが好きな女子だったら合わないかもしれないけど、多分瑠奈ちゃんもここ気に入ってくれると思うんだよね」
「ま、友達の接客は任せるから、他の客は俺が相手しとくから」
「気を使っていただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げてお礼を言うと、私の頭にぽんっと手をおいて、「はいはい、そういうのいいから」と言った。
知り合ってまだ一月しか経ってないのに、碧くんが話しやすいからか、だいぶ仲良くなった気がする。
ラテアートは練習してるけど、まだお客様に出せるほど綺麗には出来ないため、毎回自分で飲んだり碧くんに飲んで貰っている。
「今日、友達がカフェラテ頼んだら、ラテアートやってみるか?」
「え? お客様に出していいの?」
「柚木の友達ならいいだろ」
「ふふっ、頑張ろうっと」
時計をチラチラ気にしながら、瑠奈ちゃんたちが来るのを今か今かと待っていると、「落ち着け」と言われてしまった。
十二時少し前に来て、お昼をここで食べていくって言ってたと思うから、そろそろだよね。
すると、ドアベルが鳴り、来客を告げる。
瑠奈ちゃんたちかな? と、見ると、常連のお客様で少しがっかりしてしまったが、それを表に出すことなく、笑顔で「いらっしゃいませ」と言った。
そのすぐ後にもドアベルが鳴り、期待せずに振り返ると、瑠奈ちゃんが小さく手を振っていた。
きた! 瑠奈ちゃんだ。後ろには、木村くんと悠もいる。
みんなの私服姿は、水族館以来だからなんか新鮮に感じる。
「いらっしゃいませ。三名様ですね。お好きな席におかけください」
「いろはちゃんが、ちゃんと接客してるー!」
「へー、落ち着いた店だな。どこ座る? 窓側がよくね?」
「あまりうるさくするなよ? 席はどこでもいいけど」
店内が賑やかになりすぎないか少し心配したけど、三人とも店の雰囲気を気にしてか声のトーンを下げてくれていたので助かった。
「お冷とおしぼりになります」
「ありがとー。いろはちゃん、バイト中は両サイド編み込んでるんだね。可愛いー!」
「飲食店だから、髪はできるだけまとめたほうがいいかなって思って」
「うんうん、そうだね。何にしようかなー、どれがおすすめとかある?」
「ナポリタンとかデミグラスソースのオムライスとか人気かな。あと、BLTサンドも良く注文されるね」
「じゃ、私はデミグラスソースのオムライスする。あとは、オレンジジュースで」
「俺は、BLTサンドにする。飲み物はコーラで」
瑠奈ちゃんはオムライスとオレンジジュースで、木村くんはBLTサンドとコーラね。
注文をしっかりと伝票に書いていく。
「俺は……カフェラテにしようかな。いろはがラテアートしてくれるか?」
「え? あ、もし、みんながカフェラテ頼んだら私がラテアートしていいって言われてるから、悠のは私がやらせていただきます」
「えっ⁉︎ いろはちゃんラテアートとかできるの? それならオレンジジュースやめて、カフェラテにする! 私もいろはちゃんが描いてくれたカフェラテ飲みたい」
「えー……二人ともカフェラテかよ。俺は……コーラのままで」
「ふふっ、木村くんは、変更なしで、悠と瑠奈ちゃんはカフェラテね。悠、食事は何にするの?」
「そうだな……煮込みハンバーグとライスで」
おすすめを外して、自分が好きなものを選ぶあたり、悠らしいなと思った。
おすすめじゃないからといって、ハンバーグに人気がないわけじゃないけどね。
さて、気合を入れて、ラテアート頑張りましょうか。
とりあえず、一般的なリーフを丁寧にミルクを流し込み描いていくも、細かな葉っぱが描けなかった……
これは、後で私が飲もうと思い、もう一度とラテを入れて、ミルクを手に取ったところで、碧くんに声をかけられた。
「柚木、ちょっと触るけど許せよ」
「え?」
触るってなんだろうと思っていると、ミルクを持った私の手に手を重ねてきて、びっくりして、思わず彼の方に顔を向けると、顔の近さにドキリとしてしまう。
「ほら、よそ見するな。よく見とけ。こうやって小さく細かく左右に振っていって、最後に縦に流すんだよ。柚木は左右に振る時、ゆっくり大きくしてるから形が微妙になるんだよ。ほら、やってみろ」
「うん……わかった」
さっきの感覚を思い出しながら、細かく左右に揺らしながらミルクを流していくと、綺麗に葉っぱを描くことができた。
うわぁー、これ、私が描いたんだ。
「よしっ、これなら普通に客に出せるな」
「碧くん、本当にありがとう!」
「ほら、あと一個だろ?」
「え、でも碧くんと描いたのと今描いたので二個だから」
「俺と描いたラテアートは、柚木が描いたわけじゃないんだから無しだろ。それは俺が飲むからおいとけよ」
「何から何までありがとうございます」
「はいはい、感覚忘れないうちに早くやっちゃえよ」
「はーい」
碧くんの指導のお陰で、瑠奈ちゃんと悠にちゃんとしたカフェラテを出すことが出来る。
そして、この成果をお母さんにも見せてあげようと、こっそり写真を撮った。
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