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四章 行き着く先は
---悠視点⑤---
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いろはのバイト先へ始めていくと、すぐにいろはが出迎えてくれ、窓側の席へと腰をかけた。
いつもはピンで止める程度なのに、今日は両サイドを編み込んでいて、とても可愛かった。
バイト中はいつもこうなのか……今度一人で来てみるかな。
ラテアートの練習をしてるって言ってたから、せっかくならいろはに作ってもらいたいと思い、駄目元で言ってみたが、元々その予定だったと言われ、カフェラテを注文して良かったと思った。
飲み物が来るまで、いろはの仕事ぶりを眺めていると、あいつが後ろからいろはの手に触れたのをみて、一気に体温が上昇した。
「うわー、みてみて、あれ。イチャイチャしてない?」
「お前な……そういうんじゃないだろ。なんか教えてるだけじゃね? なぁ、悠もそう思うよな?」
「……そうだな」
確かに、よく見ると、ラテアートを教えているのかもしれないが……それでも、触るなよって思ってしまうのは、独占欲か。
俺はいろはにとって、ただの幼馴染であって、彼氏でもなんでもないのにな……
テーブルに並べられたカフェラテが、さっきあいつと一緒に作ったやつだったら飲む気になれないなと思って、思わず聞いてしまった。
しかし、改めて作り直したものだと知ると、急にカフェラテが可愛く見え、写真に収めようとスマホを取り出した。
こんなことくらいで一喜一憂してるなんて……情けないな。
「バイト中のいろはちゃんどうだった?」
家に帰ると、すぐに母さんから声を掛けられる。
「いつもと雰囲気が違って……可愛かったな。ラテアートも上手に出来てたし、美味しく頂きました」
「いいわねー。私も今度楓ちゃんを誘ってお店に遊びに行こうかしら」
「別にいいんじゃないか。いろはも嫌がらないだろ」
母さんは気軽にいつでも店に行けていいよな……
俺なんて、部活があるから、いろはのバイト中にいくのは難しいっていうのに。
次店に行けるのはいつだろうなと諦めていると、いろはが部活終わりに家にこいと言ってくれた。
週に四日もお邪魔するのは気が引けたけど、おばさんの許可も得たし、なんなら夜ご飯も食べていけばとまで言ってくれていたので、お言葉に甘えて部活の後いろはの家に寄ることにした。
それでも、夜ご飯までご馳走になるのは悪いし、流石に母さんにも楓ちゃんに迷惑かけないでよ! って怒られそうなので、遠慮した。
いろはと過ごせる時間が増えて喜んでいると、あいつが教室の入り口に立っていた。
いろはの忘れ物を届けにきただけだと言うが、親そうに話す二人を見ていると、沸々と嫌な気持ちが湧き上がってきてしまい、嫉妬しているような発言をしてしまった。
自分から何一つ気持ちを伝えていないのに、いろはの行動を縛るようなこと言って……
はぁ、マジで俺格好悪いな……
それでも、部活が終わった後に楽しみが出来、人知れず浮かれていたが、充から「機嫌よくね?」と突っ込まれてしまった。
「あー、毎日じゃないんだけど、部活終わった後いろはの家によってカフェラテご馳走になってるんだよな」
「何それ! あれ、もう二人って付き合ってたりする?」
「そういうんじゃない……いろはは幼馴染として俺の応援をしてくれてるだけだよ。インターハイに向けて頑張れってさ」
「幼馴染ねー。幼馴染って距離感わかんないんだよな。俺からしたら、それって付き合ってるように見えるんだけど、小さい頃から一緒にいたら、それが普通ってことなんだろうけど。まだ告らないんだろ?」
「流石に、栗原と別れたばかりで、すぐいろはにっていうのは二人に失礼だろ……」
「だよなー……。あー、あの時俺が余計なこと言わなければ、いろはちゃんが転校してきてすぐに付き合えたかもしれないのにな」
そんなたられば言ったところで、しょうがないこと……
充が悪いわけじゃない。俺がその言葉に乗ったから栗原を傷付けることになっただけで……
「じゃ、遅くなるといけないから先帰るな」
「おー、お疲れ! また明日なー」
「お疲れー」
急いで家に帰り、シャワーを浴びて汗を流すと、雑に髪をタオルで乾かしいろはの家へと向かった。
笑顔で迎えてくれたいろはの見て、疲れが飛ぶような気がした。
そして、出されたカフェラテを見るとハートが描かれていた。
他意はないのかもしれない。ただ、可愛かったからこのラテアートにしただけなのかもしれない。
それでも、俺は、このラテアートに意味を見出したかった。
もしかして……いろはも俺のこと……そんな淡い幻想を抱きながらカフェラテを飲み干した。
すると、いろはが手を伸ばしてきたので、何かと思っていると、喉仏が気になるんだとか。
女子と違うから気になるのか? 別に触りたければ触ればいいといろはの手を自分の喉元へと触れさせた。
大したことないことじゃないのに……自分から触らせたくせに、どきどきと心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うほど緊張してしまった。
手を繋ぐのとは違い、体を触られるのってやばいな。
母の日が近付き、いろはがカレーを作るのだと聞いたときは、少し心配になった。
いろはが料理をしたなんて話、母さんからもおばさんからも聞いたことがなかったから、指を切ったりしないだろうかと心配したが、カレーくらい作れるというので、それなら俺も食べたいと言ってしまった。
いろはに甘えすぎだろって思いながらも、食べれるならいろはの手料理が食べたいという欲が勝り、作ってもらう約束をした。
流石に手ぶらでお邪魔するのも悪いから、何かお茶菓子でも手土産にしないとな。
いつもはピンで止める程度なのに、今日は両サイドを編み込んでいて、とても可愛かった。
バイト中はいつもこうなのか……今度一人で来てみるかな。
ラテアートの練習をしてるって言ってたから、せっかくならいろはに作ってもらいたいと思い、駄目元で言ってみたが、元々その予定だったと言われ、カフェラテを注文して良かったと思った。
飲み物が来るまで、いろはの仕事ぶりを眺めていると、あいつが後ろからいろはの手に触れたのをみて、一気に体温が上昇した。
「うわー、みてみて、あれ。イチャイチャしてない?」
「お前な……そういうんじゃないだろ。なんか教えてるだけじゃね? なぁ、悠もそう思うよな?」
「……そうだな」
確かに、よく見ると、ラテアートを教えているのかもしれないが……それでも、触るなよって思ってしまうのは、独占欲か。
俺はいろはにとって、ただの幼馴染であって、彼氏でもなんでもないのにな……
テーブルに並べられたカフェラテが、さっきあいつと一緒に作ったやつだったら飲む気になれないなと思って、思わず聞いてしまった。
しかし、改めて作り直したものだと知ると、急にカフェラテが可愛く見え、写真に収めようとスマホを取り出した。
こんなことくらいで一喜一憂してるなんて……情けないな。
「バイト中のいろはちゃんどうだった?」
家に帰ると、すぐに母さんから声を掛けられる。
「いつもと雰囲気が違って……可愛かったな。ラテアートも上手に出来てたし、美味しく頂きました」
「いいわねー。私も今度楓ちゃんを誘ってお店に遊びに行こうかしら」
「別にいいんじゃないか。いろはも嫌がらないだろ」
母さんは気軽にいつでも店に行けていいよな……
俺なんて、部活があるから、いろはのバイト中にいくのは難しいっていうのに。
次店に行けるのはいつだろうなと諦めていると、いろはが部活終わりに家にこいと言ってくれた。
週に四日もお邪魔するのは気が引けたけど、おばさんの許可も得たし、なんなら夜ご飯も食べていけばとまで言ってくれていたので、お言葉に甘えて部活の後いろはの家に寄ることにした。
それでも、夜ご飯までご馳走になるのは悪いし、流石に母さんにも楓ちゃんに迷惑かけないでよ! って怒られそうなので、遠慮した。
いろはと過ごせる時間が増えて喜んでいると、あいつが教室の入り口に立っていた。
いろはの忘れ物を届けにきただけだと言うが、親そうに話す二人を見ていると、沸々と嫌な気持ちが湧き上がってきてしまい、嫉妬しているような発言をしてしまった。
自分から何一つ気持ちを伝えていないのに、いろはの行動を縛るようなこと言って……
はぁ、マジで俺格好悪いな……
それでも、部活が終わった後に楽しみが出来、人知れず浮かれていたが、充から「機嫌よくね?」と突っ込まれてしまった。
「あー、毎日じゃないんだけど、部活終わった後いろはの家によってカフェラテご馳走になってるんだよな」
「何それ! あれ、もう二人って付き合ってたりする?」
「そういうんじゃない……いろはは幼馴染として俺の応援をしてくれてるだけだよ。インターハイに向けて頑張れってさ」
「幼馴染ねー。幼馴染って距離感わかんないんだよな。俺からしたら、それって付き合ってるように見えるんだけど、小さい頃から一緒にいたら、それが普通ってことなんだろうけど。まだ告らないんだろ?」
「流石に、栗原と別れたばかりで、すぐいろはにっていうのは二人に失礼だろ……」
「だよなー……。あー、あの時俺が余計なこと言わなければ、いろはちゃんが転校してきてすぐに付き合えたかもしれないのにな」
そんなたられば言ったところで、しょうがないこと……
充が悪いわけじゃない。俺がその言葉に乗ったから栗原を傷付けることになっただけで……
「じゃ、遅くなるといけないから先帰るな」
「おー、お疲れ! また明日なー」
「お疲れー」
急いで家に帰り、シャワーを浴びて汗を流すと、雑に髪をタオルで乾かしいろはの家へと向かった。
笑顔で迎えてくれたいろはの見て、疲れが飛ぶような気がした。
そして、出されたカフェラテを見るとハートが描かれていた。
他意はないのかもしれない。ただ、可愛かったからこのラテアートにしただけなのかもしれない。
それでも、俺は、このラテアートに意味を見出したかった。
もしかして……いろはも俺のこと……そんな淡い幻想を抱きながらカフェラテを飲み干した。
すると、いろはが手を伸ばしてきたので、何かと思っていると、喉仏が気になるんだとか。
女子と違うから気になるのか? 別に触りたければ触ればいいといろはの手を自分の喉元へと触れさせた。
大したことないことじゃないのに……自分から触らせたくせに、どきどきと心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うほど緊張してしまった。
手を繋ぐのとは違い、体を触られるのってやばいな。
母の日が近付き、いろはがカレーを作るのだと聞いたときは、少し心配になった。
いろはが料理をしたなんて話、母さんからもおばさんからも聞いたことがなかったから、指を切ったりしないだろうかと心配したが、カレーくらい作れるというので、それなら俺も食べたいと言ってしまった。
いろはに甘えすぎだろって思いながらも、食べれるならいろはの手料理が食べたいという欲が勝り、作ってもらう約束をした。
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