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一章 再会

---瑞樹視点②---

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 飲み物を買いに行こうと廊下に出たところで、宮本くんがバスケ部の二人と会話をしているのが見え、後ろを通り過ぎようとした時に会話を聞いてしまった。

 日曜日……部活お休みだったんだ。知らなかった。

 私も、水族館デートしたかったんだけどな。
 あの子と行くの? ダブルデートじゃないって言ってたけど、でも、2、2って……モヤモヤしちゃう私がおかしいのかな。

 幼馴染みたいだし、きっと仲良かったんだよね。
 普通の友達として遊びに行こうとしてたんだよね。そう思わなければ、平静を保てなかった。
 今すぐに宮本くんを問い詰めたい衝動を抑えながら、彼も行くというのであれば、私もそれに便乗しようと思った。

 2、3になるより、3、3の方がバランスも良いだろうし、何より私は宮本くんの彼女なんだから。
 
 日曜日は現地集合になり、時間より少し前に到着すると、木村くんと佐々木さんがいた。

 「おはよ。二人とも早いね」

 「おはよう。バスが良い時間なくて、少し早く着いちゃったんだよね」

 「はよー。そそ、こいつん家のバス停って本数が微妙に少ないんだよなー」

 あぁ、木村くんが佐々木さんの家まで迎えに行ってから、一緒にきたんだね。
 いいな。この二人を見てると、私は本当に宮本くんと付き合っているのだろうかと不安になる。

 早く宮本くんに会いたいな……あっ、きた! けど……どうして隣にはあの子がいるの?
 宮本くんの隣は私の場所なのに……

 「おーっす、お前ら一緒だったんだな」

 「家を出たら丁度悠も家から出てきたところだったから、一緒にきたんだよね」

 「まぁ、待ち合わせ時間を考えたら、出るのは大体あのくらいの時間になるだろ」

 「いろはちゃん、おはよー」

 「瑠奈ちゃん、おはよう。えっと、初めまして、柚木いろはです。よろしくお願いします」

 柚木さんは、佐々木さんに挨拶すると、改めて私に丁寧に挨拶をしてくれた。
 お互い存在は知っているけれど、話すのは今日が初めてだ。

 彼女は、スニーカーを履いていて、私はヒールのある靴を履いていたため、小さい彼女との身長差が凄くて、自分が可愛げのない女になったように感じた。

 「栗原瑞樹です。宮本くんとお付き合いさせて頂いてます。柚木さんは、宮本くんの幼馴染って聞いたから、私も仲良くしてくれると嬉しいな」

 「あ……私も仲良くしてもらえると嬉しいです。悠の彼女ならこれからも会うこともあると思うから」

 私が宮本くんと付き合ってるって言った時に、彼の手がぴくりと反応したのを見た。
 付き合ってることは知られてるのに、言って欲しくなかったの?
 どんどん良くない方に考えてしまう自分が本当に嫌。

 さっきも偶然出会して一緒にきたって言ってたの本当なんだろうなってわかるのに、疑ってしまうのが嫌。
 二人の服装もコーデを合わせたみたいで嫌。
 二人とも差し色に水色を使ってるんだもん。きっとまた偶然だっていうんでしょ? きっとそれも本当なんだと思う。
 そう思うからこそ、嫌だった。そんなに気が合うの? 幼馴染って、そんなに好みが似てきてしまうものなの?

 心の中は、こんなにドロドロしてるのに、彼にそれを悟られたくない。
 彼の前では、良い子でいたい……

 二年生になってから、彼が何か言いたそうにしているのを気付かないふりをして過ごしてきた。
 私は何も気付かない。知らない。まだこのままでいたい。
 まだ宮本くんの彼女でいさせて……

 
 
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