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二章 絡まる想い
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「ねぇねぇ、この円柱型のキーホルダーみんなでお揃いにしない?」
何を買おうかなとうろうろ店内を回っていると、瑠奈ちゃんが一つのキーホルダーを指差した。
「どれー? 人気No.1って書いてあるね。この円柱の水槽の中にそれぞれ好きな動物を選んで入れられるんだね。いいかも」
「へー、いんじゃね? 種類も多いし、みんな好きな動物いそうだよな。俺はシロクマにする」
「うわっ、佐藤と被った。俺もシロクマにしようと思ってた」
「まじかよ。お揃いにするなら、いろはちゃんとがよかったー。で、いろはちゃんはどれにするか決まってる?」
佐藤くんと木村くんはシロクマか、瑠奈ちゃんはきっとペンギンで、瑞樹ちゃんはイルカかなー。
悠は……エイが好きじゃなかったっけ。
「私は、クラゲにする。縦長の水槽にこの長い足が良い感じで似合ってると思う」
「へー、なんかいいな。なんかいろはちゃんっぽい」
「何それ、適当だね」
「悠と栗原は何にするか決まったのか?」
「私はイルカにしようかな」
「俺は……もう少し考えるから先に買ってきていいぞ」
瑞樹ちゃんはすでに何にするか決めたみたいだけど、悠がまだ悩んでいたからその場に残っていたので、他のメンバーでレジへと向かった。
「後で、みんなのキーホルダー並べて写真撮りたい! 絶対可愛いよー」
「瑠奈ちゃん、それいいね! 水族館をバッグにベンチとかに並べて撮るのもいいし、青空をバックに取るのも綺麗そうだよね」
「それなら、両方撮ればいいよ!」
「そうしよう!」
まだイルカショーが残っているけれど、すでに水族館を満喫して可愛いお土産も買えて満足してしまった。
最後のイルカショーまであと少し、悠たちまだかな?
そう思っていると、悠が一人で店から出てきた。
「あれ? 瑞樹ちゃんは?」
「え? ここ通らなかったか? なんかやっぱり調子悪いからって先帰ったんだけど……」
「えっ⁉︎」
気付かなかった……イルカショー楽しみにしてたのに、先に一人で帰っちゃうくらい具合悪かったんだね。
「悠、送ってあげたほうが良かったんじゃ……」
「一応、送ってくって言ったんだけど、一人で帰れるって聞かなくてさ。人がそばにいるほうが気を遣って疲れちゃうからってさ……そう言われたら一人にさせたほうがいいかなって思ってさ」
「そっかー、それならしょうがないよな。そろそろイルカショーだし、行こうぜ」
確かに具合が悪い時は、余裕がないし、人に気遣うこともできないとは思うけど、彼氏なのだから、悠には甘えても良かったのに。そう思ってしまうのは間違いなのだろうか。
イルカショーは、シャチとの共演がダイナミックでとても格好良かった。
スピードを増して高くジャンプする姿は本当に格好良い。あんなに高くジャンプ出来るの凄すぎる。
夜はライトアップされて、イルミネーションが綺麗なショーに変わるみたいだから、今度はそれを見にきたいな。
「悠、さっき女子たちがキーホルダー並べて写真撮りたいって言ってたから、お前の見せろよー」
「え、あぁ……これだけど」
「うわっ、お前もシロクマかよ……。男子三人でお揃いとかきしょっ」
「へぇ、悠もシロクマか」
「いいだろ。ほら、写真撮るんだろ?」
ベンチにキーホルダーを五つ並べる。
シロクマ三匹とペンギンとクラゲというアンバランスな写真は私たちの思い出の一ページとしてコルクボードに飾ることにした。
今日の思い出ようコルクボードを作って、瑠奈ちゃんと一緒に撮った写真やクラゲとかイルカショーとかみんなが自由に見て回ってる時の写真とかも撮ったから貼ろうかな。
ただ、瑞樹ちゃんの写真が一枚もないことに気付いた。一緒に遊んだのに……体調悪そうだったし、写真に写りたくなかったのかもしれない。
明日、学校で体調大丈夫か聞いてみようかな。
いや、そういうのは煩わしいって思われるかもしれないからやめといたほうがいいかな。
もっと親しかったら、そういうのも気軽に声掛けられたのかもしれないけど、流石に今日一日では、そんなに仲良くなれなかったからな……
私に気をかけられるより、悠に気にしてもらったほうが嬉しいだろうし、きっと悠が声をかけるだろう。
私は、不必要に関わらないほうがいいのかもしれない。
水族館の後は、ファミレスで昼を食べて、カラオケに行って解散となった。
佐藤くんは、モテ男っぽく歌が上手かったが、木村くんは、ちょくちょく音を外していたけれど、楽しそうに歌っていたので、こちらも楽しい気持ちになった。
悠は、二曲ほどしか歌わなかったけれど、良い声だなーと聞き惚れてしまった。
って、そんなこと思いたくないのに……悠のそばにいるといつまで経ってもこの恋心は消えてくれない。
暫く、悠と遊ぶのはやめたほうがいいかもしれない。
「いろはちゃん、送って行こうかーって思ったけど、悠の隣の家だったっけ」
「うん」
「送る必要ないってまじかよー。隣って普通に悠と帰るだけじゃん」
「家が隣なんだから、仕方ないだろ。むしろ隣なのに、別々に帰る意味が分からないだろ」
「はいはい、じゃ、また明日学校でなー」
「いろはちゃん、今日はありがとー! 楽しかった。また明日ねー」
「瑠奈ちゃん、こちらこそ遊んでくれてありがとう。とっても楽しかった!また明日学校でね」
さっきまで賑やかだったのが嘘のように静かに歩き出し。
少し日が落ちてきた帰り道を歩きながら、何を考えているんだろう……瑞樹ちゃんのこと心配とかしてるのかな。
家に帰ったらメッセージやりとりとかして……駄目駄目。
せっかく楽しく過ごしたんだから、最後にこんな風に落ち込んだら駄目だよね。
楽しく終わらせよう。
何を買おうかなとうろうろ店内を回っていると、瑠奈ちゃんが一つのキーホルダーを指差した。
「どれー? 人気No.1って書いてあるね。この円柱の水槽の中にそれぞれ好きな動物を選んで入れられるんだね。いいかも」
「へー、いんじゃね? 種類も多いし、みんな好きな動物いそうだよな。俺はシロクマにする」
「うわっ、佐藤と被った。俺もシロクマにしようと思ってた」
「まじかよ。お揃いにするなら、いろはちゃんとがよかったー。で、いろはちゃんはどれにするか決まってる?」
佐藤くんと木村くんはシロクマか、瑠奈ちゃんはきっとペンギンで、瑞樹ちゃんはイルカかなー。
悠は……エイが好きじゃなかったっけ。
「私は、クラゲにする。縦長の水槽にこの長い足が良い感じで似合ってると思う」
「へー、なんかいいな。なんかいろはちゃんっぽい」
「何それ、適当だね」
「悠と栗原は何にするか決まったのか?」
「私はイルカにしようかな」
「俺は……もう少し考えるから先に買ってきていいぞ」
瑞樹ちゃんはすでに何にするか決めたみたいだけど、悠がまだ悩んでいたからその場に残っていたので、他のメンバーでレジへと向かった。
「後で、みんなのキーホルダー並べて写真撮りたい! 絶対可愛いよー」
「瑠奈ちゃん、それいいね! 水族館をバッグにベンチとかに並べて撮るのもいいし、青空をバックに取るのも綺麗そうだよね」
「それなら、両方撮ればいいよ!」
「そうしよう!」
まだイルカショーが残っているけれど、すでに水族館を満喫して可愛いお土産も買えて満足してしまった。
最後のイルカショーまであと少し、悠たちまだかな?
そう思っていると、悠が一人で店から出てきた。
「あれ? 瑞樹ちゃんは?」
「え? ここ通らなかったか? なんかやっぱり調子悪いからって先帰ったんだけど……」
「えっ⁉︎」
気付かなかった……イルカショー楽しみにしてたのに、先に一人で帰っちゃうくらい具合悪かったんだね。
「悠、送ってあげたほうが良かったんじゃ……」
「一応、送ってくって言ったんだけど、一人で帰れるって聞かなくてさ。人がそばにいるほうが気を遣って疲れちゃうからってさ……そう言われたら一人にさせたほうがいいかなって思ってさ」
「そっかー、それならしょうがないよな。そろそろイルカショーだし、行こうぜ」
確かに具合が悪い時は、余裕がないし、人に気遣うこともできないとは思うけど、彼氏なのだから、悠には甘えても良かったのに。そう思ってしまうのは間違いなのだろうか。
イルカショーは、シャチとの共演がダイナミックでとても格好良かった。
スピードを増して高くジャンプする姿は本当に格好良い。あんなに高くジャンプ出来るの凄すぎる。
夜はライトアップされて、イルミネーションが綺麗なショーに変わるみたいだから、今度はそれを見にきたいな。
「悠、さっき女子たちがキーホルダー並べて写真撮りたいって言ってたから、お前の見せろよー」
「え、あぁ……これだけど」
「うわっ、お前もシロクマかよ……。男子三人でお揃いとかきしょっ」
「へぇ、悠もシロクマか」
「いいだろ。ほら、写真撮るんだろ?」
ベンチにキーホルダーを五つ並べる。
シロクマ三匹とペンギンとクラゲというアンバランスな写真は私たちの思い出の一ページとしてコルクボードに飾ることにした。
今日の思い出ようコルクボードを作って、瑠奈ちゃんと一緒に撮った写真やクラゲとかイルカショーとかみんなが自由に見て回ってる時の写真とかも撮ったから貼ろうかな。
ただ、瑞樹ちゃんの写真が一枚もないことに気付いた。一緒に遊んだのに……体調悪そうだったし、写真に写りたくなかったのかもしれない。
明日、学校で体調大丈夫か聞いてみようかな。
いや、そういうのは煩わしいって思われるかもしれないからやめといたほうがいいかな。
もっと親しかったら、そういうのも気軽に声掛けられたのかもしれないけど、流石に今日一日では、そんなに仲良くなれなかったからな……
私に気をかけられるより、悠に気にしてもらったほうが嬉しいだろうし、きっと悠が声をかけるだろう。
私は、不必要に関わらないほうがいいのかもしれない。
水族館の後は、ファミレスで昼を食べて、カラオケに行って解散となった。
佐藤くんは、モテ男っぽく歌が上手かったが、木村くんは、ちょくちょく音を外していたけれど、楽しそうに歌っていたので、こちらも楽しい気持ちになった。
悠は、二曲ほどしか歌わなかったけれど、良い声だなーと聞き惚れてしまった。
って、そんなこと思いたくないのに……悠のそばにいるといつまで経ってもこの恋心は消えてくれない。
暫く、悠と遊ぶのはやめたほうがいいかもしれない。
「いろはちゃん、送って行こうかーって思ったけど、悠の隣の家だったっけ」
「うん」
「送る必要ないってまじかよー。隣って普通に悠と帰るだけじゃん」
「家が隣なんだから、仕方ないだろ。むしろ隣なのに、別々に帰る意味が分からないだろ」
「はいはい、じゃ、また明日学校でなー」
「いろはちゃん、今日はありがとー! 楽しかった。また明日ねー」
「瑠奈ちゃん、こちらこそ遊んでくれてありがとう。とっても楽しかった!また明日学校でね」
さっきまで賑やかだったのが嘘のように静かに歩き出し。
少し日が落ちてきた帰り道を歩きながら、何を考えているんだろう……瑞樹ちゃんのこと心配とかしてるのかな。
家に帰ったらメッセージやりとりとかして……駄目駄目。
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楽しく終わらせよう。
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