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二章 絡まる想い
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「ペンギン、めっちゃ可愛いー! ちょっと、見た? あの子足滑らせてたんだけどー、可愛すぎる!」
「見た見た! 可愛いねー。あそ子親子だ。小さいくて可愛いー」
どうしよう……ペンギンは可愛いけど、あれから瑞樹ちゃんの口数が明らかに減ってしまった。
顔は笑ってるんだけど、目が笑ってない気がするし……何が原因だろう。
悠に関係あることなのかな。なんだろう……
「瑞樹ちゃん、大丈夫? もしかして体調悪かったりする?」
「え? 大丈夫だよ。気にしないで」
「そう? それなら良かったけど……」
「ほら、写真撮ってあげるから、二人とも並んで? 瑠奈ちゃんペンギン好きって言ってたし、せっかくだから、写真撮ってあげるね」
「男子に頼んで瑞樹ちゃんも一緒に撮ろうよ」
「ううん、私は大丈夫。どっちのスマホで撮る?」
「えっと、それじゃ、私ので撮ってもらって、あとでいろはちゃんに送るね」
「うん、分かった。それじゃ、瑞樹ちゃんお願い」
ペンギンをバックに写真を撮ってもらうと、瑞樹ちゃんはお手洗いに行ってくるねとその場を離れた。
「瑞樹ちゃん、どうしたんだろうね」
「瑠奈ちゃんもそう思う? 途中からなんか様子がおかしいかなって思ったんだけど、変なこと言っちゃったかな?」
「うーん。何が地雷だったのかわからないけど、宮本くんといろはちゃんが小さい頃一緒に水族館行ったことあるのかっていうのを気にしてたっぽいね」
「うん。家族ぐるみで付き合いがあったから、水族館とかBBQとか良く行ったりしてたんだけど、それが嫌だったのかな。でも、流石に嘘はつけないし、なかったことにもできないだけど」
どうしたら良かったんだろう。
彼女からしたら幼馴染の女の子って……やっぱり嫌だよね。
自分より彼氏との付き合いが長くて、よく知ってるなんて……でも、悠と過ごした日々をなかったことには出来ないから困ったな。
二人の邪魔をしようなんて思ってない。でも、二人が仲良く過ごすことを願うほど大人ではない。
悠の彼女と仲良くしようとするのが無理があるのかもしれない。
「幼馴染だからねー。いくら瑞樹ちゃんが気にしたところで、過去をなかったことには出来ないから、いろはちゃんはあまり気にしないほうがいいよ」
「うん……」
「とりあえず、瑞樹ちゃんもこれから機嫌直ってくるかもしれないし、気にしないようにして楽しもうよ」
「そうだね。なるべく悠とのことには触れないようにしてみるね」
深海コーナーに行くと、何種類ものクラゲがそれぞれの縦長の水槽に入れられライトアップされていた。
綺麗……
これは写真を撮らずにはいられず、みんながサクサクと進んでいく中、立ち止まっては眺め、写真を撮り、ゆっくりと深海エリアを巡った。
先に進んでいたみんなに合流すると、瑞樹ちゃんが俯き会話に入っていなかったのが気になった。
やっぱり体調悪いのかもしれない。
「瑞樹ちゃん、大丈夫? 体調悪い?」
「……」
「具合悪かったら、向こうのベンチで一旦休もうか?」
具合が悪いなら支えてあげないとと思って、腕に触れようとしたところで、パンっと弾かれてしまった。
「あっ、ごめ……ちょっと具合悪いから、飲み物買って座ってるね。いろはちゃんはみんなと楽しんで」
「え、心配だから付いて」
「ううん。少し一人になりたいから、ごめんね」
瑞樹ちゃんは私の言葉を遮るように言うと、足早に去っていった。
大丈夫だろうかと後ろ姿を眺めていると、悠が声を掛けてきた。
「いろは? どうした? さっきの見てたけど、手大丈夫か?」
「悠……さっきのは、私が急に触ろうとしたから、びっくりさせちゃっただけだよ。痛くなかったし大丈夫。それより、瑞樹ちゃんのところに行ってあげて? 体調が悪いみたいだから、一人にするのは心配で……」
「そうだったのか。じゃー……ちょっと様子見てくるな。みんなには先回っててって言っといて」
そういうと、悠は私の頭をポンポンと触り去っていく。
これ、昔からの癖だよね。嬉しいけど……これもやめたほうがいいって言ったほうがいいのかな。
瑞樹ちゃんに寄り添う悠の姿を見たくなくて、すぐみんなと次のエリアへと向かった。
これで良い。
悠は、瑞樹ちゃんの彼氏なんだから……
気持ちを切り替えて、楽しまないと。
暗い顔をしたら、みんなに迷惑をかけてしまう。
辛い時こそ笑おう……きっとその笑顔が本物になるから。
「見た見た! 可愛いねー。あそ子親子だ。小さいくて可愛いー」
どうしよう……ペンギンは可愛いけど、あれから瑞樹ちゃんの口数が明らかに減ってしまった。
顔は笑ってるんだけど、目が笑ってない気がするし……何が原因だろう。
悠に関係あることなのかな。なんだろう……
「瑞樹ちゃん、大丈夫? もしかして体調悪かったりする?」
「え? 大丈夫だよ。気にしないで」
「そう? それなら良かったけど……」
「ほら、写真撮ってあげるから、二人とも並んで? 瑠奈ちゃんペンギン好きって言ってたし、せっかくだから、写真撮ってあげるね」
「男子に頼んで瑞樹ちゃんも一緒に撮ろうよ」
「ううん、私は大丈夫。どっちのスマホで撮る?」
「えっと、それじゃ、私ので撮ってもらって、あとでいろはちゃんに送るね」
「うん、分かった。それじゃ、瑞樹ちゃんお願い」
ペンギンをバックに写真を撮ってもらうと、瑞樹ちゃんはお手洗いに行ってくるねとその場を離れた。
「瑞樹ちゃん、どうしたんだろうね」
「瑠奈ちゃんもそう思う? 途中からなんか様子がおかしいかなって思ったんだけど、変なこと言っちゃったかな?」
「うーん。何が地雷だったのかわからないけど、宮本くんといろはちゃんが小さい頃一緒に水族館行ったことあるのかっていうのを気にしてたっぽいね」
「うん。家族ぐるみで付き合いがあったから、水族館とかBBQとか良く行ったりしてたんだけど、それが嫌だったのかな。でも、流石に嘘はつけないし、なかったことにもできないだけど」
どうしたら良かったんだろう。
彼女からしたら幼馴染の女の子って……やっぱり嫌だよね。
自分より彼氏との付き合いが長くて、よく知ってるなんて……でも、悠と過ごした日々をなかったことには出来ないから困ったな。
二人の邪魔をしようなんて思ってない。でも、二人が仲良く過ごすことを願うほど大人ではない。
悠の彼女と仲良くしようとするのが無理があるのかもしれない。
「幼馴染だからねー。いくら瑞樹ちゃんが気にしたところで、過去をなかったことには出来ないから、いろはちゃんはあまり気にしないほうがいいよ」
「うん……」
「とりあえず、瑞樹ちゃんもこれから機嫌直ってくるかもしれないし、気にしないようにして楽しもうよ」
「そうだね。なるべく悠とのことには触れないようにしてみるね」
深海コーナーに行くと、何種類ものクラゲがそれぞれの縦長の水槽に入れられライトアップされていた。
綺麗……
これは写真を撮らずにはいられず、みんながサクサクと進んでいく中、立ち止まっては眺め、写真を撮り、ゆっくりと深海エリアを巡った。
先に進んでいたみんなに合流すると、瑞樹ちゃんが俯き会話に入っていなかったのが気になった。
やっぱり体調悪いのかもしれない。
「瑞樹ちゃん、大丈夫? 体調悪い?」
「……」
「具合悪かったら、向こうのベンチで一旦休もうか?」
具合が悪いなら支えてあげないとと思って、腕に触れようとしたところで、パンっと弾かれてしまった。
「あっ、ごめ……ちょっと具合悪いから、飲み物買って座ってるね。いろはちゃんはみんなと楽しんで」
「え、心配だから付いて」
「ううん。少し一人になりたいから、ごめんね」
瑞樹ちゃんは私の言葉を遮るように言うと、足早に去っていった。
大丈夫だろうかと後ろ姿を眺めていると、悠が声を掛けてきた。
「いろは? どうした? さっきの見てたけど、手大丈夫か?」
「悠……さっきのは、私が急に触ろうとしたから、びっくりさせちゃっただけだよ。痛くなかったし大丈夫。それより、瑞樹ちゃんのところに行ってあげて? 体調が悪いみたいだから、一人にするのは心配で……」
「そうだったのか。じゃー……ちょっと様子見てくるな。みんなには先回っててって言っといて」
そういうと、悠は私の頭をポンポンと触り去っていく。
これ、昔からの癖だよね。嬉しいけど……これもやめたほうがいいって言ったほうがいいのかな。
瑞樹ちゃんに寄り添う悠の姿を見たくなくて、すぐみんなと次のエリアへと向かった。
これで良い。
悠は、瑞樹ちゃんの彼氏なんだから……
気持ちを切り替えて、楽しまないと。
暗い顔をしたら、みんなに迷惑をかけてしまう。
辛い時こそ笑おう……きっとその笑顔が本物になるから。
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