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二章 絡まる想い
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「さてと、佐藤もきたことだし、イルカショーの時間まで順番に見て回ってくか」
そういうと、木村くんに続いて男子が前を歩き、その後ろを女子が歩くような形になった。
悠と栗原さんは横に並んで話しながら見るのかなとか思ってたから、これには正直助かった。
グループで遊ぶときは、彼氏彼女という関係よりもみんなで楽しむことを優先する感じなのかな。
「瑠奈ちゃん、木村くんのところに行かなくても大丈夫?」
「え? 今日はいろはちゃんと遊ぶつもりできてるから、充のことはおまけとでも思っててよ。充とはいつでもデートできるしね」
「そっか。嬉しい……私も今日は瑠奈ちゃんと遊ぶの楽しみにしてたから」
「後で、アイス食べようよ」
「いいねー、楽しみ! 栗原さんも一緒にアイス食べようね?」
「え? あ、うん」
やっぱり、遊ぶの初めてだから気まずいのかな……
瑠奈ちゃんとも遊ぶのは初めてだけど、学校で毎日一緒にいるからよく話してるし、栗原さんとは違うよね。
なるべく三人で会話するように話を振らないとだよね。
別に栗原さんが嫌いなわけじゃないから……ただ、悠と二人でいるところを見たくないだけ。
一緒に行動はしてるけど、なんとなく女子と男子で分かれて移動してるから、楽しくお話できたらいいな。
まずは呼び方から変えてみよう。
「あ、そうだ。栗原さんって呼び方だと少し距離がある気がするから、瑞樹ちゃんって呼んでもいいかな?」
「それなら、私も瑞樹ちゃんって呼ぶね」
「もちろん。それじゃ、私もいろはちゃんと瑠奈ちゃんって呼ぶね」
入ってすぐのエリアは、巨大な水槽があり、いろんな種類の魚が泳いでいて、その水槽の大きさに圧倒された。
リニューアル前に来たときは、こんなに大きな水槽はなかったから、すごい改装したんだなと思った。
大きなエイが悠々と泳ぐ姿に、気持ちよさそうだなと思った。
水族館って、少し薄暗く静かで、魚たちの泳ぐ音さえも聞こえて来そうな気配に、自分も海の中に入ったような気分を味わうことができる。
次生まれ変わるなら、魚がいいなー。あ、でも、やっぱり私はクラゲが好きだから、クラゲみたいに流れに身を任せてふわふわと浮いていたいかも。
想像しただけで、なんか気持ちようさそう。
「綺麗だねー。小魚の群れとか海の中って感じがする」
「瑠奈ちゃんと瑞樹ちゃんは、どんな魚が好きとかある?」
「私はねー、ペンギン! 水族館といえば、ペンギンだよー! ヨチヨチ歩きが可愛いもん」
「わかる! ペンギン可愛いよねー! 瑞樹ちゃんは?」
「私は、普通だけど、イルカが好きかな。泳ぎが綺麗なのと賢いところとか可愛いなって思う」
「それなら、これからショー楽しみだね」
「うん、一番楽しみにしてるんだよね」
瑠奈ちゃんはペンギンで、瑞樹ちゃんはイルカが好きなんだね。両方とも人気の動物だな。
私は……マイナーだよね。クラゲって言っても同意は得られないだろうな。
「いろはちゃんは何が好きなの?」
「えーっとね。一般的に可愛い部類ではないとは思うんだけど、クラゲが好きなんだよね」
「え……?」
えっ、そんなにおかしなこと言ったかな。瑞樹ちゃんが何ってるの? みたいな顔してるけど……
「いろはちゃんはクラゲが好きなんだね。それは予想外だったよ。珍しいね」
瑞樹ちゃんが黙ってしまい、クラゲって言わないほうが良かったかなと思ったけど、瑠奈ちゃんが話を振ってくれて助かった。
「なんかふわふわと流れに身を任せて浮いてる感じとか自由だなーって思うのと、水族館限定での話になるけど、透明な体がライトアップされてなんか神秘的な感じがして可愛いっていうよりは綺麗だなーって思うんだよね」
「水族館限定って、確かに、海に泳いでるクラゲはライトアップされてないから綺麗さはないかもね」
「うん。だから、水族館のクラゲ限定で好きかな」
「なるほどね」
瑞樹ちゃんどうしたんだろう。さっきから黙ったままだけど……
変なこと言っちゃったのかな。
なんて声かけようかなと思っていると、瑞樹ちゃんが重い口を開いた。
「いろはちゃん……クラゲって昔から好きなの?」
「えっと、そうだね。子供の頃から好きでよくクラゲの水槽の前で眺めてたかな」
「子供の頃って宮本くんと水族館行ったことある?」
「え? お互いの家族と一緒に行ったことあるけど……どうかした?」
「じゃ、宮本くんもいろはちゃんがクラゲ好きって知ってる?」
「知ってると思うけど……」
なんだろう。私がクラゲ好きなの、悠が知ってたら駄目なのかな。
幼馴染だし、何が好きで何が嫌いかとか知ってるのは普通だと思うんだけどな。
「そっか……そういうことか」
「え? 瑞樹ちゃんどうしたの?」
「ううん。なんでもない。変なこと聞いてごめんね」
「それはいいけど……」
「次のエリアはペンギンみたいだよ。行こ」
そういうと瑞樹ちゃんは何事もなかったかのように、にこりと微笑んだ。
そういうと、木村くんに続いて男子が前を歩き、その後ろを女子が歩くような形になった。
悠と栗原さんは横に並んで話しながら見るのかなとか思ってたから、これには正直助かった。
グループで遊ぶときは、彼氏彼女という関係よりもみんなで楽しむことを優先する感じなのかな。
「瑠奈ちゃん、木村くんのところに行かなくても大丈夫?」
「え? 今日はいろはちゃんと遊ぶつもりできてるから、充のことはおまけとでも思っててよ。充とはいつでもデートできるしね」
「そっか。嬉しい……私も今日は瑠奈ちゃんと遊ぶの楽しみにしてたから」
「後で、アイス食べようよ」
「いいねー、楽しみ! 栗原さんも一緒にアイス食べようね?」
「え? あ、うん」
やっぱり、遊ぶの初めてだから気まずいのかな……
瑠奈ちゃんとも遊ぶのは初めてだけど、学校で毎日一緒にいるからよく話してるし、栗原さんとは違うよね。
なるべく三人で会話するように話を振らないとだよね。
別に栗原さんが嫌いなわけじゃないから……ただ、悠と二人でいるところを見たくないだけ。
一緒に行動はしてるけど、なんとなく女子と男子で分かれて移動してるから、楽しくお話できたらいいな。
まずは呼び方から変えてみよう。
「あ、そうだ。栗原さんって呼び方だと少し距離がある気がするから、瑞樹ちゃんって呼んでもいいかな?」
「それなら、私も瑞樹ちゃんって呼ぶね」
「もちろん。それじゃ、私もいろはちゃんと瑠奈ちゃんって呼ぶね」
入ってすぐのエリアは、巨大な水槽があり、いろんな種類の魚が泳いでいて、その水槽の大きさに圧倒された。
リニューアル前に来たときは、こんなに大きな水槽はなかったから、すごい改装したんだなと思った。
大きなエイが悠々と泳ぐ姿に、気持ちよさそうだなと思った。
水族館って、少し薄暗く静かで、魚たちの泳ぐ音さえも聞こえて来そうな気配に、自分も海の中に入ったような気分を味わうことができる。
次生まれ変わるなら、魚がいいなー。あ、でも、やっぱり私はクラゲが好きだから、クラゲみたいに流れに身を任せてふわふわと浮いていたいかも。
想像しただけで、なんか気持ちようさそう。
「綺麗だねー。小魚の群れとか海の中って感じがする」
「瑠奈ちゃんと瑞樹ちゃんは、どんな魚が好きとかある?」
「私はねー、ペンギン! 水族館といえば、ペンギンだよー! ヨチヨチ歩きが可愛いもん」
「わかる! ペンギン可愛いよねー! 瑞樹ちゃんは?」
「私は、普通だけど、イルカが好きかな。泳ぎが綺麗なのと賢いところとか可愛いなって思う」
「それなら、これからショー楽しみだね」
「うん、一番楽しみにしてるんだよね」
瑠奈ちゃんはペンギンで、瑞樹ちゃんはイルカが好きなんだね。両方とも人気の動物だな。
私は……マイナーだよね。クラゲって言っても同意は得られないだろうな。
「いろはちゃんは何が好きなの?」
「えーっとね。一般的に可愛い部類ではないとは思うんだけど、クラゲが好きなんだよね」
「え……?」
えっ、そんなにおかしなこと言ったかな。瑞樹ちゃんが何ってるの? みたいな顔してるけど……
「いろはちゃんはクラゲが好きなんだね。それは予想外だったよ。珍しいね」
瑞樹ちゃんが黙ってしまい、クラゲって言わないほうが良かったかなと思ったけど、瑠奈ちゃんが話を振ってくれて助かった。
「なんかふわふわと流れに身を任せて浮いてる感じとか自由だなーって思うのと、水族館限定での話になるけど、透明な体がライトアップされてなんか神秘的な感じがして可愛いっていうよりは綺麗だなーって思うんだよね」
「水族館限定って、確かに、海に泳いでるクラゲはライトアップされてないから綺麗さはないかもね」
「うん。だから、水族館のクラゲ限定で好きかな」
「なるほどね」
瑞樹ちゃんどうしたんだろう。さっきから黙ったままだけど……
変なこと言っちゃったのかな。
なんて声かけようかなと思っていると、瑞樹ちゃんが重い口を開いた。
「いろはちゃん……クラゲって昔から好きなの?」
「えっと、そうだね。子供の頃から好きでよくクラゲの水槽の前で眺めてたかな」
「子供の頃って宮本くんと水族館行ったことある?」
「え? お互いの家族と一緒に行ったことあるけど……どうかした?」
「じゃ、宮本くんもいろはちゃんがクラゲ好きって知ってる?」
「知ってると思うけど……」
なんだろう。私がクラゲ好きなの、悠が知ってたら駄目なのかな。
幼馴染だし、何が好きで何が嫌いかとか知ってるのは普通だと思うんだけどな。
「そっか……そういうことか」
「え? 瑞樹ちゃんどうしたの?」
「ううん。なんでもない。変なこと聞いてごめんね」
「それはいいけど……」
「次のエリアはペンギンみたいだよ。行こ」
そういうと瑞樹ちゃんは何事もなかったかのように、にこりと微笑んだ。
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