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一章 再会
---瑞樹視点①---
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中学でバドミントン部に入っていたこともあり、高校でもすぐにバドミントン部ーバド部に入った。
すると、隣のコートで同じクラスの宮本くんがシュート練習しているのが目に留まる。
体育館の入り口で彼のことを見ている女子を気に留めることもなく、マイペースに練習を淡々とこなす彼が気になって仕方がなかった。
毎日のように体育館で見かけるうちに、この想いは膨れ上がり、恋なのだと自覚した。
背が165cmある私は、女子にしては高い方なため、可愛げがないと言われることもある。
そんな私よりも10cmも高いであろう彼の隣であれば、好きにオシャレを楽しめるし、高さのあるヒールを履くことも躊躇することはない。
ストイックに練習を続ける彼を見続ける日々に、友達の芽衣が気付かないわけもなかった。
「ねー、そんなに好きなら、告白してみたら?」
「え……?」
「いや、宮本くんのこと好きなんでしょ?」
「なっ……」
彼のこと特に話題に出したことなかったのに、なんでわかるの……
「いや、まぁ……隠してたかもしれないけど、流石にみてればわかるからね? 他の人はわからなくても、私は毎日一緒にいるでしょ?」
「そっかぁ。隠しててごめんね?」
「いや、別にいいけど、なんで言いたくなかったのかなとは思ったけど」
「んー、なんていうか、宮本くんってモテるでしょ? だから、彼のこと好きっていうのはなんかその他大勢と同じになる気がして……」
「あー、なるほど? きゃーきゃー言ってる子たちと同じだと思われたくなかったってことかな」
「うー、なんか嫌な感じの言い方になっちゃうね」
「私と話してるだけなんだから、別にいいんじゃない? で? 告白しないの?」
「同じクラスだけど、ほとんど話したことないし……彼、誰にも興味なさそうだから、言っても断られて終わりだろうっていうのが目に見えてるから……」
「そっか。今の所、誰からの告白も受けてないもんねー。でも、瑞樹は、美人さんだからワンチャンあるかもって思うんだけど」
「いやいや、無理無理! 無駄な希望は抱かずに、眺めてるだけで、今はいいかな」
「瑞樹がいいならいいけど……」
そんなやりとりをした一週間後の終業式の日。
芽衣が宮本くんにとんでもない提案をした。でも、彼女を作るつもりがあることに驚いた。
だって、そんな感じにはとても見えなかったから。
「お試しで付き合うなんて失礼だろ」って彼が言った時に、もしかしたら押せば付き合えるのかもしれないと思った。
お試しでもなんでも付き合えるのであれば、なんでもいいと思った。
これから一緒に過ごしていくうちに、好きになってもらえるかもしれない。
そう、淡い期待をして、宮本くんとのお付き合いが始まった。
春休みに入っても、お互い部活の日々で、デートらしいデートは映画を見に行った一度だけ。
待ち合わせになっていた彼は、白いシャツの一番上のボタンは開けてカーディガンを羽織っていた。いつもスポーツしてる感じとは少し雰囲気が違っていて、ドキリとした。
こういうインテリっぽい感じの服装も似合うんだね。格好良い……写真撮りたい衝動に駆られるも、引かれそうなので我慢する。
映画館に向かっていると、水族館のポスターが目に入ってきた。
定番だけど、今度、宮本くんと水族館デートとかもしてみたいな。夏とか暑いから水族館で涼みながらデートとか良いかもしれないな。
「宮本くんって好きな魚とかいる?」
「え? 魚? 鮎の塩焼きとか?」
「え? あっ、ごめん。私の聞き方が悪かったね。さっき水族館のポスターがあったから、何が好きかなって思って」
「あー、そういうことか。そうだな……魚じゃないけど……」
「魚じゃないけど? あ、ペンギンとかシロクマとかかな?」
「……クラゲかな」
ちょっと意外だった。シロクマとかダイナミックに動くものが好きそうな気がしたから。
「クラゲかー。珍しいね?」
「いや……まぁ、ふよふよと自由に流れている感じがいい……気がするだろ?」
「何それーっ」
映画の後は、近くのカフェに入ってケーキを食べてから帰ってきた。
ここでも、意外なことに、彼はパフェにするかケーキにするか悩んでいて、甘いものが好きなんだということを知った。
今日一日、知らなかった彼のことをたくさん知れた気がして、初デートは楽しい思い出になった。
後は、部活帰りに一緒に帰るだけだったけど、毎日一緒に帰れるのはとても嬉しかった。
今までは、見てるだけだったのが、隣に並んで歩けるのだから。
そろそろ……手とか繋ぎたいけど、駄目かな?
二年に上がり、宮本くんとはクラスが分かれてしまった。
でも、隣のクラスだから、すぐに会いに行けるのは不幸中の幸いだったのかな。
今日は、お互いに部活もないから、一緒に帰ろうって言いに行こうと、隣のクラスに行くと、彼が隣の女の子と話しているのが見えた。
ドアのところから見ても、華奢で目が大きくて可愛い子だということがわかった。
見たことないけど、誰だろう……
うざいと思われたくなくて、彼女のことは聞かずに、今日一緒に帰れるか聞いてみたけど、早く帰らないといけないからと断られてしまった。
残念だな……。でも、早く帰らなくちゃいけないなら、わがまま言えないもんね。
「瑞樹……あれ、いいの?」
「え?」
芽衣が窓の方を指していたので、覗いてみる、そこには……あの子だ。
さっき宮本くんが話してた隣に座ってた子。早く帰らないといけないって言ってたのに……どうして?
「二人して何みてるの?」
私と芽衣が窓の外覗き込んでいたから、何かあるのかとクラスメイトが話しかけてきた。
「え、いや、まぁ……見たことない子だなって」
「どれどれ、あれ? あれって、いろはちゃんじゃん」
「知ってるの?」
「ほら、隣にいる宮本くんの隣に住んでる子だよ。小学六年生までこっちにいたんだけど、親の転勤で引っ越しちゃったんだよね。戻ってきたのかー」
宮本くんの隣に住んでるんだ……だから、一緒に帰ってるのかな。
「あの二人って仲良かったの?」
「そりゃー、小さい頃からいつも一緒にいたからね。引っ越してからは連絡取ってなかったみたいだけど、積もる話もありそうだよね。私も明日いろはちゃんに話しかけてみよっと」
いつも一緒に……でも、小さい頃の話でしょ。今は私と付き合ってるわけだし……
ただの幼馴染に嫉妬してたら、うざがられちゃうよね。方向が同じなんだから、これくらい許容しないとだよね。
彼女も戻ってきたばかりで心細いだろうし、宮本くんと仲が良いなら、私も仲良くなれるかな……
すると、隣のコートで同じクラスの宮本くんがシュート練習しているのが目に留まる。
体育館の入り口で彼のことを見ている女子を気に留めることもなく、マイペースに練習を淡々とこなす彼が気になって仕方がなかった。
毎日のように体育館で見かけるうちに、この想いは膨れ上がり、恋なのだと自覚した。
背が165cmある私は、女子にしては高い方なため、可愛げがないと言われることもある。
そんな私よりも10cmも高いであろう彼の隣であれば、好きにオシャレを楽しめるし、高さのあるヒールを履くことも躊躇することはない。
ストイックに練習を続ける彼を見続ける日々に、友達の芽衣が気付かないわけもなかった。
「ねー、そんなに好きなら、告白してみたら?」
「え……?」
「いや、宮本くんのこと好きなんでしょ?」
「なっ……」
彼のこと特に話題に出したことなかったのに、なんでわかるの……
「いや、まぁ……隠してたかもしれないけど、流石にみてればわかるからね? 他の人はわからなくても、私は毎日一緒にいるでしょ?」
「そっかぁ。隠しててごめんね?」
「いや、別にいいけど、なんで言いたくなかったのかなとは思ったけど」
「んー、なんていうか、宮本くんってモテるでしょ? だから、彼のこと好きっていうのはなんかその他大勢と同じになる気がして……」
「あー、なるほど? きゃーきゃー言ってる子たちと同じだと思われたくなかったってことかな」
「うー、なんか嫌な感じの言い方になっちゃうね」
「私と話してるだけなんだから、別にいいんじゃない? で? 告白しないの?」
「同じクラスだけど、ほとんど話したことないし……彼、誰にも興味なさそうだから、言っても断られて終わりだろうっていうのが目に見えてるから……」
「そっか。今の所、誰からの告白も受けてないもんねー。でも、瑞樹は、美人さんだからワンチャンあるかもって思うんだけど」
「いやいや、無理無理! 無駄な希望は抱かずに、眺めてるだけで、今はいいかな」
「瑞樹がいいならいいけど……」
そんなやりとりをした一週間後の終業式の日。
芽衣が宮本くんにとんでもない提案をした。でも、彼女を作るつもりがあることに驚いた。
だって、そんな感じにはとても見えなかったから。
「お試しで付き合うなんて失礼だろ」って彼が言った時に、もしかしたら押せば付き合えるのかもしれないと思った。
お試しでもなんでも付き合えるのであれば、なんでもいいと思った。
これから一緒に過ごしていくうちに、好きになってもらえるかもしれない。
そう、淡い期待をして、宮本くんとのお付き合いが始まった。
春休みに入っても、お互い部活の日々で、デートらしいデートは映画を見に行った一度だけ。
待ち合わせになっていた彼は、白いシャツの一番上のボタンは開けてカーディガンを羽織っていた。いつもスポーツしてる感じとは少し雰囲気が違っていて、ドキリとした。
こういうインテリっぽい感じの服装も似合うんだね。格好良い……写真撮りたい衝動に駆られるも、引かれそうなので我慢する。
映画館に向かっていると、水族館のポスターが目に入ってきた。
定番だけど、今度、宮本くんと水族館デートとかもしてみたいな。夏とか暑いから水族館で涼みながらデートとか良いかもしれないな。
「宮本くんって好きな魚とかいる?」
「え? 魚? 鮎の塩焼きとか?」
「え? あっ、ごめん。私の聞き方が悪かったね。さっき水族館のポスターがあったから、何が好きかなって思って」
「あー、そういうことか。そうだな……魚じゃないけど……」
「魚じゃないけど? あ、ペンギンとかシロクマとかかな?」
「……クラゲかな」
ちょっと意外だった。シロクマとかダイナミックに動くものが好きそうな気がしたから。
「クラゲかー。珍しいね?」
「いや……まぁ、ふよふよと自由に流れている感じがいい……気がするだろ?」
「何それーっ」
映画の後は、近くのカフェに入ってケーキを食べてから帰ってきた。
ここでも、意外なことに、彼はパフェにするかケーキにするか悩んでいて、甘いものが好きなんだということを知った。
今日一日、知らなかった彼のことをたくさん知れた気がして、初デートは楽しい思い出になった。
後は、部活帰りに一緒に帰るだけだったけど、毎日一緒に帰れるのはとても嬉しかった。
今までは、見てるだけだったのが、隣に並んで歩けるのだから。
そろそろ……手とか繋ぎたいけど、駄目かな?
二年に上がり、宮本くんとはクラスが分かれてしまった。
でも、隣のクラスだから、すぐに会いに行けるのは不幸中の幸いだったのかな。
今日は、お互いに部活もないから、一緒に帰ろうって言いに行こうと、隣のクラスに行くと、彼が隣の女の子と話しているのが見えた。
ドアのところから見ても、華奢で目が大きくて可愛い子だということがわかった。
見たことないけど、誰だろう……
うざいと思われたくなくて、彼女のことは聞かずに、今日一緒に帰れるか聞いてみたけど、早く帰らないといけないからと断られてしまった。
残念だな……。でも、早く帰らなくちゃいけないなら、わがまま言えないもんね。
「瑞樹……あれ、いいの?」
「え?」
芽衣が窓の方を指していたので、覗いてみる、そこには……あの子だ。
さっき宮本くんが話してた隣に座ってた子。早く帰らないといけないって言ってたのに……どうして?
「二人して何みてるの?」
私と芽衣が窓の外覗き込んでいたから、何かあるのかとクラスメイトが話しかけてきた。
「え、いや、まぁ……見たことない子だなって」
「どれどれ、あれ? あれって、いろはちゃんじゃん」
「知ってるの?」
「ほら、隣にいる宮本くんの隣に住んでる子だよ。小学六年生までこっちにいたんだけど、親の転勤で引っ越しちゃったんだよね。戻ってきたのかー」
宮本くんの隣に住んでるんだ……だから、一緒に帰ってるのかな。
「あの二人って仲良かったの?」
「そりゃー、小さい頃からいつも一緒にいたからね。引っ越してからは連絡取ってなかったみたいだけど、積もる話もありそうだよね。私も明日いろはちゃんに話しかけてみよっと」
いつも一緒に……でも、小さい頃の話でしょ。今は私と付き合ってるわけだし……
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