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五章
レンと街へ②
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手芸店で、買い物を済ませた後は、レンに連れられて、花屋へ来た。
「こちらのお店は、好きな花を瑞々しい状態で保てる様に魔法を掛けて頂けます。お気に召すものがあれば、メルティアナもどうかと思いまして」
「まぁ、そんな事をして貰えるのね」
今まで、気に入ったお花は、押し花にして、栞などにして残していたけれど、このまま美しい状態を保ったまま飾って置けるなんて、素敵だわ。
どのお花も綺麗に手入れされていて、目移りしてしまう。
あ・・・これ・・・。
「何かお気に召しましたか?」
思わず、足を止めた私にレンが問いかける。
私の視線の先にあるのは・・・黒薔薇。
「レンがお祭りの時に、私につけてくれたのを思い出したの。この黒薔薇にするわ。そうすれば、この花を見るたびに、今日のことと、お祭りの時の楽しい時間を思い出せるもの」
「メルティアナ・・・。それでしたら、私も同じものを部屋に飾ろうと思います。メルティアナとの貴重な時間をいつでも思い出せる様に」
「貴重なんて、大袈裟ね。折角だから、これに合う花瓶も購入したいわね。一輪挿しで・・・レンみたいにスラリとしたフォルムの物が良いわ。私の持っている可愛らしい花瓶には、この黒薔薇は似合わないと思うの。それと、これは、私に買わせて欲しいの。全てをレンに買わせるのも気が引けるし、いつもお世話になってるんだもの。お礼も込めて贈らせて欲しいわ」
「お礼なんて・・・今、この時間こそが、私にとっては、大切な時間なのですよ。とは言え、そこまで言って頂いては、断るのもなんですので、ここはメルティアナにお任せしたいと思います」
「ふふっ。ありがとう。花瓶は・・・そうね。私は、これにしようと思うけど、レンはどうする?」
「私も・・・メルティアナと同じものにします」
「好きなの選んで良いのよ?」
「それが、気に入ったのです」
「そう?じゃ、私とお揃いね。お店の人を呼んでくるわね」
「いえ、一緒に行きます。メルティアナを1人には出来ないので」
「ふふっ。分かったわ」
レンとお店の人を呼びに行き、レンのだけプレゼント用にラッピングをして貰い、店を後にした。
荷物は、マジックバッグ に入れて、最後に感謝を込めて、レンにプレゼントする事にした。
「そろそろ昼食にしようと思いますが、如何ですか?結構歩きましたし、足は痛くないですか?」
「そうね。そうしましょう。オススメの場所があったりするのかしら?足は、少し疲れた位ね。普段からもっと歩く様にした方が良いわよね」
「メルティアナが良く行くカフェの系列店にで昼食を取ろうと思っています。食後に、いつも召し上がっているケーキなども注文出来ますので、お気に召して頂けるかと。それと、貴族令嬢は、そうそう歩き回る事はないかと・・・」
「本当に、とても良く調べているのね。レンの好きなものでも私は構わないのに」
レンは、いつも私を優先してくれるから、レンが何を好きなのか、何も知らないわ。
「私は・・・メルティアナが、美味しそうに食べてくれるなら、それで十分ですので」
「レンは、いつも私を尊重し過ぎよ。今日は、プライベートなのでしょう?少しは、我儘言っても良いのよ?好きなものは何?私、あなたの事、何も知らないわ」
「・・・私の事を知ろうとしてくださるのですか?」
「そうね。だって、私、本当にレンの事知らなすぎるもの。こんなに一緒にいるのに、レンだけ私の事に詳しいでしょ」
「それは・・・そうですが」
「ほら、何が好きか言ってみて?折角、レンが私の事を考えてくれて選んでくれたお店だけど、レンが好きなお店に行きましょう?」
「それでしたら・・・お店の変更は必要ありません」
レンは、手で口を覆い、少し恥ずかしそうに、小さな声で言った。
少し耳が赤い様にも感じる。
「え・・・?」
「その・・・私もこのお店で出されるケーキを好んでおりますので・・・」
「まぁ、そうだったのね。それなら、このお店にしましょう。そして、食後に一緒にケーキを食べましょうね。折角だから、帰りにケーキも買って帰りましょう」
「・・・はい」
そんな小さな声で、恥ずかしそうにしちゃって・・・。
ふふっ。男の人が、甘いものが好きでも、問題ないのにね。
「こちらのお店は、好きな花を瑞々しい状態で保てる様に魔法を掛けて頂けます。お気に召すものがあれば、メルティアナもどうかと思いまして」
「まぁ、そんな事をして貰えるのね」
今まで、気に入ったお花は、押し花にして、栞などにして残していたけれど、このまま美しい状態を保ったまま飾って置けるなんて、素敵だわ。
どのお花も綺麗に手入れされていて、目移りしてしまう。
あ・・・これ・・・。
「何かお気に召しましたか?」
思わず、足を止めた私にレンが問いかける。
私の視線の先にあるのは・・・黒薔薇。
「レンがお祭りの時に、私につけてくれたのを思い出したの。この黒薔薇にするわ。そうすれば、この花を見るたびに、今日のことと、お祭りの時の楽しい時間を思い出せるもの」
「メルティアナ・・・。それでしたら、私も同じものを部屋に飾ろうと思います。メルティアナとの貴重な時間をいつでも思い出せる様に」
「貴重なんて、大袈裟ね。折角だから、これに合う花瓶も購入したいわね。一輪挿しで・・・レンみたいにスラリとしたフォルムの物が良いわ。私の持っている可愛らしい花瓶には、この黒薔薇は似合わないと思うの。それと、これは、私に買わせて欲しいの。全てをレンに買わせるのも気が引けるし、いつもお世話になってるんだもの。お礼も込めて贈らせて欲しいわ」
「お礼なんて・・・今、この時間こそが、私にとっては、大切な時間なのですよ。とは言え、そこまで言って頂いては、断るのもなんですので、ここはメルティアナにお任せしたいと思います」
「ふふっ。ありがとう。花瓶は・・・そうね。私は、これにしようと思うけど、レンはどうする?」
「私も・・・メルティアナと同じものにします」
「好きなの選んで良いのよ?」
「それが、気に入ったのです」
「そう?じゃ、私とお揃いね。お店の人を呼んでくるわね」
「いえ、一緒に行きます。メルティアナを1人には出来ないので」
「ふふっ。分かったわ」
レンとお店の人を呼びに行き、レンのだけプレゼント用にラッピングをして貰い、店を後にした。
荷物は、マジックバッグ に入れて、最後に感謝を込めて、レンにプレゼントする事にした。
「そろそろ昼食にしようと思いますが、如何ですか?結構歩きましたし、足は痛くないですか?」
「そうね。そうしましょう。オススメの場所があったりするのかしら?足は、少し疲れた位ね。普段からもっと歩く様にした方が良いわよね」
「メルティアナが良く行くカフェの系列店にで昼食を取ろうと思っています。食後に、いつも召し上がっているケーキなども注文出来ますので、お気に召して頂けるかと。それと、貴族令嬢は、そうそう歩き回る事はないかと・・・」
「本当に、とても良く調べているのね。レンの好きなものでも私は構わないのに」
レンは、いつも私を優先してくれるから、レンが何を好きなのか、何も知らないわ。
「私は・・・メルティアナが、美味しそうに食べてくれるなら、それで十分ですので」
「レンは、いつも私を尊重し過ぎよ。今日は、プライベートなのでしょう?少しは、我儘言っても良いのよ?好きなものは何?私、あなたの事、何も知らないわ」
「・・・私の事を知ろうとしてくださるのですか?」
「そうね。だって、私、本当にレンの事知らなすぎるもの。こんなに一緒にいるのに、レンだけ私の事に詳しいでしょ」
「それは・・・そうですが」
「ほら、何が好きか言ってみて?折角、レンが私の事を考えてくれて選んでくれたお店だけど、レンが好きなお店に行きましょう?」
「それでしたら・・・お店の変更は必要ありません」
レンは、手で口を覆い、少し恥ずかしそうに、小さな声で言った。
少し耳が赤い様にも感じる。
「え・・・?」
「その・・・私もこのお店で出されるケーキを好んでおりますので・・・」
「まぁ、そうだったのね。それなら、このお店にしましょう。そして、食後に一緒にケーキを食べましょうね。折角だから、帰りにケーキも買って帰りましょう」
「・・・はい」
そんな小さな声で、恥ずかしそうにしちゃって・・・。
ふふっ。男の人が、甘いものが好きでも、問題ないのにね。
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