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五章
---アルフォンス視点⑧---
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仕事に没頭する余り、仕事が片付き、休みが増えてしまう。
そして、今日も朝から時間を持て余して、読書をしていると、フェルナンド殿から手紙が届いた。
手紙では、詳しく話せないが、メルについて重要な話があるとの事だったので、すぐに返事を出し、その日の内に会う約束を取り付けた。
「良く来てくれた。掛けてくれ」
「殿下、本日は、急なお願いを聞いて頂き、ありがとうございます」
「いや、メルについて重要な話と言われれば、何よりも優先したい」
「そう言って頂き、安心しました」
人に聞かれて良い話ではなさそうなので、人払いをして、紅茶を一口飲み、気持ちと落ち着かせる。
どの様な話なのだろうか・・・。
「それで・・・話というのは?」
「実は・・・先日、メルが男達に襲撃されました」
バンッ!
予想だにしない事に、礼儀も忘れ、テーブルに手をつき、詰め寄る。
「なっ!襲撃と言ったのか!メルは!メルは無事なのか!?」
「はい。メルは馬車に乗っていた為、犯人達を見ることもなく、護衛達が対処致しましたので、擦り傷一つ負って居ません」
「そうか・・・」
メルに、何事もなく、ホッとして、テーブルから離れ、姿勢を正す。
「それで、ただ襲われたと言いに来た訳ではないのだろう?」
「はい。破落戸達に、メルの襲撃を依頼した者がおりました」
「行きずりの犯行ではなく、メルが狙われたのか。私に話すということは、相手は貴族か」
「・・・高位貴族で、メルに敵意を持っている令嬢・・・と言えば、誰だか殿下も想像がつくのではありませんか?」
「まさかっ!ユトグル公爵令嬢かっ!?」
「あぁ、やっぱり心当たりがお有りのようですね」
・・・心当たり。
彼女は、学園にいた頃から、何かとメルに絡む傾向にあったから・・・だが、まさかメルの襲撃を依頼する程とは。
そういえば、先日廊下で出会した時も、私が未だに婚約者を決めないのは、メルが原因かと聞いてきたか。
あの時のやりとりが切っ掛けとなって、今回の騒動に発展したのか・・・。
「彼女が主犯と言うことは、原因は私か」
「恐らく」
「私に不満があるのであれば、私に言えばいいものを、何故メルを標的に・・・」
「直接ユトグル公爵令嬢に、聞いたわけではありませんが、殿下が婚約者を決めないのは、メルの所為だと思っているのでしょう。それならば、邪魔なメルを片付ければ済む話です。メルさえ居なくなれば、殿下は、他の令嬢を選ばざるを得ない」
「そんなっ!それは、あまりにも極端過ぎないか・・・」
「彼女の性格を考えれば、そういう考えに行き着くと予想は出来ますが・・・。失礼を承知で言わせて頂きますが、殿下がメルを諦めてくれていれば、この様な事態になることは避けられました。メルの平穏な生活を壊して欲しくはないですね」
「すまない・・・。私の考えが甘かった様だ。今回、フェルナンド殿が、私に会いに来たということは、相手が公爵令嬢であるが故か」
「はい、流石に筆頭公爵家のご令嬢ともなると、私も下手に手を出すことが出来ませんので、殿下にお願い出来ないかと思いまして」
「確かに・・・。公爵は、人格者だというのに、どうして娘が、あの様に育ってしまったのか・・・。今回の件は、私の不徳の致すところだ。私の方で対処させて頂く。近い内に、公爵を呼び出して、令嬢についての処罰を決めようと思う。報告するまで待って貰えるだろうか?」
「はい。ご連絡をお待ちしております。それでは、本日はこれで失礼します」
フェルナンド殿が部屋を出ていき、背もたれに寄りかかる。
「はぁー・・・、私の所為か・・・」
ただ、メルと共に歩んで行きたいと思っているだけなのに、何故メルに危害を加えようとするのか。
メルに何かあったとしても、彼女を婚約者にすることなど考えられないというのに・・・。
私の所為で、メルに怖い思いをさせてしまったのは、本当に申し訳ない事をしたし、このままでは、メルに合わせる顔もない。
ユトグル公爵令嬢には、相応の罰を受けて貰う。
公爵令嬢と言えども、何をしても許されるわけではないということを、身を持って、知って貰おうか。
そして、今日も朝から時間を持て余して、読書をしていると、フェルナンド殿から手紙が届いた。
手紙では、詳しく話せないが、メルについて重要な話があるとの事だったので、すぐに返事を出し、その日の内に会う約束を取り付けた。
「良く来てくれた。掛けてくれ」
「殿下、本日は、急なお願いを聞いて頂き、ありがとうございます」
「いや、メルについて重要な話と言われれば、何よりも優先したい」
「そう言って頂き、安心しました」
人に聞かれて良い話ではなさそうなので、人払いをして、紅茶を一口飲み、気持ちと落ち着かせる。
どの様な話なのだろうか・・・。
「それで・・・話というのは?」
「実は・・・先日、メルが男達に襲撃されました」
バンッ!
予想だにしない事に、礼儀も忘れ、テーブルに手をつき、詰め寄る。
「なっ!襲撃と言ったのか!メルは!メルは無事なのか!?」
「はい。メルは馬車に乗っていた為、犯人達を見ることもなく、護衛達が対処致しましたので、擦り傷一つ負って居ません」
「そうか・・・」
メルに、何事もなく、ホッとして、テーブルから離れ、姿勢を正す。
「それで、ただ襲われたと言いに来た訳ではないのだろう?」
「はい。破落戸達に、メルの襲撃を依頼した者がおりました」
「行きずりの犯行ではなく、メルが狙われたのか。私に話すということは、相手は貴族か」
「・・・高位貴族で、メルに敵意を持っている令嬢・・・と言えば、誰だか殿下も想像がつくのではありませんか?」
「まさかっ!ユトグル公爵令嬢かっ!?」
「あぁ、やっぱり心当たりがお有りのようですね」
・・・心当たり。
彼女は、学園にいた頃から、何かとメルに絡む傾向にあったから・・・だが、まさかメルの襲撃を依頼する程とは。
そういえば、先日廊下で出会した時も、私が未だに婚約者を決めないのは、メルが原因かと聞いてきたか。
あの時のやりとりが切っ掛けとなって、今回の騒動に発展したのか・・・。
「彼女が主犯と言うことは、原因は私か」
「恐らく」
「私に不満があるのであれば、私に言えばいいものを、何故メルを標的に・・・」
「直接ユトグル公爵令嬢に、聞いたわけではありませんが、殿下が婚約者を決めないのは、メルの所為だと思っているのでしょう。それならば、邪魔なメルを片付ければ済む話です。メルさえ居なくなれば、殿下は、他の令嬢を選ばざるを得ない」
「そんなっ!それは、あまりにも極端過ぎないか・・・」
「彼女の性格を考えれば、そういう考えに行き着くと予想は出来ますが・・・。失礼を承知で言わせて頂きますが、殿下がメルを諦めてくれていれば、この様な事態になることは避けられました。メルの平穏な生活を壊して欲しくはないですね」
「すまない・・・。私の考えが甘かった様だ。今回、フェルナンド殿が、私に会いに来たということは、相手が公爵令嬢であるが故か」
「はい、流石に筆頭公爵家のご令嬢ともなると、私も下手に手を出すことが出来ませんので、殿下にお願い出来ないかと思いまして」
「確かに・・・。公爵は、人格者だというのに、どうして娘が、あの様に育ってしまったのか・・・。今回の件は、私の不徳の致すところだ。私の方で対処させて頂く。近い内に、公爵を呼び出して、令嬢についての処罰を決めようと思う。報告するまで待って貰えるだろうか?」
「はい。ご連絡をお待ちしております。それでは、本日はこれで失礼します」
フェルナンド殿が部屋を出ていき、背もたれに寄りかかる。
「はぁー・・・、私の所為か・・・」
ただ、メルと共に歩んで行きたいと思っているだけなのに、何故メルに危害を加えようとするのか。
メルに何かあったとしても、彼女を婚約者にすることなど考えられないというのに・・・。
私の所為で、メルに怖い思いをさせてしまったのは、本当に申し訳ない事をしたし、このままでは、メルに合わせる顔もない。
ユトグル公爵令嬢には、相応の罰を受けて貰う。
公爵令嬢と言えども、何をしても許されるわけではないということを、身を持って、知って貰おうか。
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