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五章

---フェルナンド視点⑥---

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 その日の内に、再度トーリから連絡があり、目的が判明した。

 「ご苦労様。随分と早く口を割った様だね」

 『3人残しておりましたので、順番に拷問をしていけば、それから逃れようと、誰かしら口を割るものですから』

 「良い判断だ。それにしても、ユトグル公爵令嬢が主犯とはね。自分のところの騎士を使わなかった事を考えると、公爵家としては関わっておらず、令嬢の独断と言うことか」

 『恐らく、そうだと思います。公爵家の騎士が20人で襲撃してきた場合、我々では持ち堪える事は出来なかったと思いますので、今回は、破落戸相手で良かったと思います』

 「そうだね。流石に、訓練された騎士が20人もいれば、5人・・・最終的に7人だったが、無理だっただろう。だが、ユトグル公爵家が、そんなことに加担するとも思えないから、元々ありえない話になるかな。それにしても、ユトグル公爵令嬢も浅はかな・・・。本人は、上手くいくと思って、足もつかないと高を括っているのだろう」

 『高位貴族の令嬢ですので、少し傲慢なところは有りましたが、まさか学園を卒業してから、この様な行動を起こされるとは思いもしませんでした』

 「はぁ・・・。彼女は、第二王子殿下の婚約者の座を狙っているからね。未だに婚約者を決めない殿下に対して、苛立ちを募らせて、その矛先がメルに向かったのだろう。困った人だ」

 『それで、どうされますか?』

 相手は、公爵令嬢・・・どうしたものか。
 無駄に爵位が高いから、動きにくいな。

 私から公爵家へ働きかけるよりも、第二王子殿下に動いて貰うのが良いだろう。

 「この件については、我が家から公爵家へ抗議をするよりも、第二王子殿下に動いて貰う方が得策だろう。元々は、殿下が原因でもあるわけだしね。ただ、慰謝料はしっかりと請求させて頂こう」

 恐らく、秘密裏に処理され、口止め料込みで、慰謝料が支払われるはずだ。

 公爵自身は、領民達から慕われ、しっかりとした領地経営をされているだけに、今回の失態は、隠し通すだろう。

 さて、殿下は、メルの為に、しっかりと働いてくれるかな。
 
 欲を言えば、こうなる前に、公爵令嬢にしっかりと釘を刺すなり、何かしらの対応はして欲しかったが・・・。
 殿下も、女性についての勉強が、少し足りていない様だ。

 女性というのは、嫉妬深い。

 特に、彼女の様に、自分に自信があり、自分こそが殿下の婚約者に相応しいと思っている様な相手の場合、思い通りに行かなかったら、その憤りは、男性ではなく、その原因と思われる女性の方に向かってしまう。

 今回の場合は、たまたまメルだっただけ。

 学園での様子を聞く限り、殿下が婚約者をまだ決めていないのは、メルが原因だと誰しもが想像出来ただろう。

 さぁ、殿下。
 これを、どう処理するか、見させて頂きますよ。
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