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第一章 聖域の主
プロローグ
しおりを挟む魔法や魔物が存在して神と人の距離が近しい世界【グランド・オーブ】では様々な人類種達が生活していた。
その中でも特に繁栄していたのは『人間・エルフ・ドワーフ・獣人・魔族』の5種族だった。
人間は寿命は平均80年。突出した才能もなかったが数がとにかく多く、多様性と言う面で他種族より勝っていた。
だが脆弱な種族であることは変わりなく、他種族に勝てなかった魔物が率先して襲ってくるようになった。
それでも弱いがゆえに人間は集団で行動する術を早期に身に付け、集落や国と言った組織形態をいち早く確立した。結果として現在の大陸の半分近くを人間が王の国が占めているほどだった。
エルフは肉体は弱かったが魔法に対して極端な才能を発揮して寿命が平均1000年。更には精霊と言う自然と近しい超常存在との親和性が高く、ゆえにかエルフは容姿端麗な者が多く他種族より奴隷として狙われることもあった。
しかし太古からの知識を基にした高度な魔法技術に加え製薬や魔道具の制作にも精通していたエルフ達は黙ってやられることもなかった。
そんな歴史もあり同族を保護し他種族にエルフの国は生まれ、現存する国では精霊国と魔導大国と呼ばれる2国はエルフの国となっている。
ドワーフは人間よりは長生きするが平均寿命は500年ほどだった。更に屈強な体を屈指して基本的に鉱山のような場所で生活し採掘と金属加工を得意としていた。
彼らの生み出す武器防具は例え軽く作られたような物を素人が使っても鉄を切り裂けるほどだ。
ゆえに彼らの技術を求めて他の種族から襲われることもあったが、武器の素材を集めるために自ら魔物を狩るドワーフ達の戦闘技術は他種族を圧倒した。
そしてドワーフ達は他種族に対して公平に武器を渡すが、どの種族に対しても味方しないことを宣言して鉱山都市国家を築き上げた。
獣人は獣の特徴を持った人間種で寿命は平均150年ほど、基本的には森林などで狩りをして生活する。
そんな彼らは他種族以上に抱えていたのは同族内でも差別問題を抱えていた事だ。動物の特徴とは言っても種類は多様で肉食・草食・雑食に夜行性の者も居て、似たような特徴の者達だけで集まるようになってしまって他種族よりも国を形成するのに時間を要することになった。
でも、何年もかけて複数の集落で集まり話し合い一つのルールのもとに国を形成することに成功したのだ。
その現在まで引き継がれた獣人の国のルールは『全種族で最強の者が王と成る』と言う単純な内容だった。
そして最後の魔族は魔物が進化して生まれた人間種であった。
ゆえに彼らはとてつもなく強く寿命も平均1000年を軽く超える。だが後から生まれた種族、それも魔物から派生して生まれたがゆえに他種族は受け入れてはくれなかった。
最初こそ数人だったが徐々に増えて100人を超える頃、ついには魔族を排除しようとする他種族達に追い詰められて大陸を出ていく事にしたのだ。
逃亡の旅の末にたどり着いた元の大陸よりも小さな大陸で魔族達は自分の国を作り、安息の地を手に入れて繁栄をした。
そうして数多の種族の国々がある世界で各種族の王達が思想や思惑の関係なく、唯一共有して誓った内容があった。
『大陸中央の聖域に対する、あらゆる干渉を禁止する』
たった一文だが何故か各国は数百年経とうとも破ろうとする者は現れなかった。
いや、正確には破ろうとすると他の種族から攻撃を受けて事前に潰されてきたのだ。それほどまでに全種族の根幹的部分に『聖域には手を出すな!』と言う思いが強く根付いていた。
しかし時間が流れれば始まりの理由を人は忘れていくものだ。
2000年以上もの年月が流れると寿命の短い種族ほど聖域への不可侵に疑問を持ち始めるようになる。
そして誓いの継承すらされない国も出てくるようになり、もはや長寿な種族の収める国以外では聖域の伝承は途絶え勝手なうわさも流れ始める。
いつしか『聖域には太古の宝が大量に眠っている』なんて話も広がっていた。
こんな話が広がれば確認しようと動くものが出てくるのが必定と言えた。
それが原因で2000年ぶりに聖域の恐怖?が世界へと知れ渡ることを誰も予想できてはいなかった。
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