43 / 81
43
しおりを挟む結局、あの後3回ほど致しました。お陰で腰と足がガクガクです。速攻で回復魔法を使って、それでもまだ何か挿ってる感覚は消えず。腰の痛みは消えたものの、足…というか下半身に力が入らないのでまたもやベッドの住人だ。
折角の休みなのにな…。
許した俺も俺だけど、しょげた仔犬みたいにお願いされたら断れないだろ?!
という言い訳は誰にも言えない。
ちなみに回復魔法ではキスマークも消えないらしく、鬱血痕は怪我じゃないのか!?と虚しい叫びをしたことは内緒だ。
外が白み始めた頃に寝入ったので未だに眠いが、習慣からか朝早く目覚めてしまう。
起きて驚いたのは、いつの間にか身体が拭き清められていた事ときちんと服を着せられていた事だ。
気を失うように寝入ったので、起きたら事後処理しないとな…なんて夢見心地に思っていたのだが、どうやらレイドが世話を焼いてくれたらしい。
流石出来る男は違うね。
惚れ直すわ。
そんなこんなで身体の怠さを回復するべく再び眠ろうと、隣で眠るレイドの腕の中へ潜り込み目を閉じる。
俺が身動ぎした際に起こしてしまったらしいレイドは、それでも快く腕の中へ招き入れてくれて優しく抱き締めてくれた。
暖かな温もりにうつらうつらと船を漕ぎ出す寸前、部屋の扉がノックされる。
ギルか…?
「………はい…」
喘ぎ過ぎて掠れる声を捻り出して返事を返す。
レイドと一緒に寝てることとか、声が掠れてるとか、寝惚けた頭では正常な判断が出来ずに咄嗟に返事をしてしまった事に直ぐさま後悔する。
案の定部屋を訪れたのはギルで、明らかに事後であろう状態に嘆いていた。
ドアを開けて固まり、そのままその場に蹲ってしまったのだ。
「ギル、ギールー。おいで?」
扉をあけたままでいられるのは流石に都合が悪いので、手招きをして蹲るギルを呼ぶ。
のろのろと重い足取りで、それでも近付いてくれるギルに両手を差し出すと迷わず抱き締めてくれた。
「俺は仕事で一晩中本部にいたのに……2人は仲良くしてるなんて…っ」
確かに。
ギルの言うことももっともで、俺はよしよしと頭を撫でてやる。
レイドはおろおろと慌てているが、大丈夫だと目配せしておく。
「仕事お疲れ様。頑張ったギルにご褒美あげないとな…こっち向いて?」
尚もよしよしと少し固めの髪を撫でとんとんと肩を叩くと素直に顔を上げる。
俺はその唇に軽くキスを送った。
多分、いや付き合ってから初めて、自分からギルにキスをした。しかも素面で。
めっちゃハズいんですが。
だが耐えんとこの後がヤバい気がする。
どんよりと落ち込んでいたのもどこへやら、暫く放心して固まっている彼にもう一度キスを送り、やんわりと笑った。
「仕事、お疲れ様。これから寝るんだろ?一緒に寝ような」
なでなでと再び髪を撫でると漸く機嫌を直したギルが嬉しそうに笑ってくれた。
まだ団員達が起きてくるには早い時間帯。
流石に3人で俺のベッドに寝るのは無理なので、ギルの私室へと連れて行かれる。勿論、機嫌を取り戻したギルにお姫様抱っこというやつをされて。
レイドは遠慮して自室に戻ろうとしていたので、それを阻止して連れて行く。
レイドがいなければこのままギルに襲われそうだから…とは2人には言えない…。
部屋に着くなり俺を後ろから抱き締めてベッドに寝転がるギル。
俺に手を引かれて正面に寝転ぶレイド。
それぞれにキスをして、そのまま3人で眠りにつく。
途中後ろから何やらイタズラをされたような気もしなくはないが、そこは好きにさせておく。
乳首を少し弄られ、うなじにキスをされて痕を付けられたようだがそれ以上されないようだったので好きにさせたのだ。
心地良い温もりに包まれて深く眠れたと思う。
目覚めた時には既に休日も半分以上過ぎていたが、身体はすっきりとしていた。
2人とも先に目覚めていたようで寝顔を見られていた事に妙な恥ずかしさを感じた。
まだ起きられる状態ではないがそれでも歩けない程の消耗は回復していてホッとする。
最近何かと休みがちだったため、明日から少しずつ身体の訛りを解消していかねばいざという時動けなくなってしまう。
幸い若い身体のため、回復は早い。明日になれば問題なく動けるだろう。
今日は1日ギルの部屋で3人でゆっくり過ごそうという事になり、2人とも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
途中ヒースが部屋を訪れ、ベッドの住人である俺と世話をするために動き回る2人を見て呆れたように溜息を吐いていた。レイドに軽く小言を言って、俺の身体を気遣ってくれるヒースは、やっぱりママンでした。
そんなだらだら……もといゆったりとした時間を過ごしていると、ふと今更ながらの疑問が浮かんできた。
そう言えば何でギルは昨夜呼び出されたんだ?
よっぽどの事だろ、本部に呼び出しなんて。
「そう言えば、昨夜呼び出されたのは大丈夫なのか?」
そのままを口にすると、一瞬言いにくそうに視線を彷徨わせるギル。
「今のところは…。いずれ王命が下るだろうから、詳細はその時に話すが、今は詳しく教える事が出来んのだ」
副団長であるレイドに話すならともかく、下っ端の俺に話せる内容でないのは分かった。
例え教えられても誰にも口外するつもりはないが、ギルが話さないという事は箝口令が敷かれているのだろう。
それだけで事の重大さは理解出来たため、深く追求する事は止めた。
申し訳なさそうに眉尻を下げるギルに笑って見せて、気にしていないと伝える。
その話はここで打ち止めにして、折角の休日をゆっくり過ごそうと再提案した。
既に日は傾きかけていて残り僅かとなってしまった休日でも、2人と過ごせる貴重な時間だ。
その時間を無駄にする事無く過ごしたいと思う。
まずは一緒に夕食を食べて一緒に風呂に入ろうかと提案すれば、2人とも快く受け入れてくれた。
この世界の風呂は湯船に浸かる形式ではないため、風呂好きの日本人としてはゆっくり湯船に浸かりたいところ。
これも提案してみようか。
時折甘ったるい雰囲気になりつつ、こうして貴重な休日はゆっくりと過ぎていった。
22
お気に入りに追加
2,053
あなたにおすすめの小説
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる