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結局、あの後3回ほど致しました。お陰で腰と足がガクガクです。速攻で回復魔法を使って、それでもまだ何か挿ってる感覚は消えず。腰の痛みは消えたものの、足…というか下半身に力が入らないのでまたもやベッドの住人だ。

折角の休みなのにな…。
許した俺も俺だけど、しょげた仔犬みたいにお願いされたら断れないだろ?!

という言い訳は誰にも言えない。
ちなみに回復魔法ではキスマークも消えないらしく、鬱血痕は怪我じゃないのか!?と虚しい叫びをしたことは内緒だ。

外が白み始めた頃に寝入ったので未だに眠いが、習慣からか朝早く目覚めてしまう。
起きて驚いたのは、いつの間にか身体が拭き清められていた事ときちんと服を着せられていた事だ。
気を失うように寝入ったので、起きたら事後処理しないとな…なんて夢見心地に思っていたのだが、どうやらレイドが世話を焼いてくれたらしい。

流石出来る男は違うね。
惚れ直すわ。

そんなこんなで身体の怠さを回復するべく再び眠ろうと、隣で眠るレイドの腕の中へ潜り込み目を閉じる。
俺が身動ぎした際に起こしてしまったらしいレイドは、それでも快く腕の中へ招き入れてくれて優しく抱き締めてくれた。
暖かな温もりにうつらうつらと船を漕ぎ出す寸前、部屋の扉がノックされる。

ギルか…?


「………はい…」


喘ぎ過ぎて掠れる声を捻り出して返事を返す。
レイドと一緒に寝てることとか、声が掠れてるとか、寝惚けた頭では正常な判断が出来ずに咄嗟に返事をしてしまった事に直ぐさま後悔する。

案の定部屋を訪れたのはギルで、明らかに事後であろう状態に嘆いていた。
ドアを開けて固まり、そのままその場に蹲ってしまったのだ。


「ギル、ギールー。おいで?」


扉をあけたままでいられるのは流石に都合が悪いので、手招きをして蹲るギルを呼ぶ。
のろのろと重い足取りで、それでも近付いてくれるギルに両手を差し出すと迷わず抱き締めてくれた。


「俺は仕事で一晩中本部にいたのに……2人は仲良くしてるなんて…っ」


確かに。
ギルの言うことももっともで、俺はよしよしと頭を撫でてやる。
レイドはおろおろと慌てているが、大丈夫だと目配せしておく。


「仕事お疲れ様。頑張ったギルにご褒美あげないとな…こっち向いて?」


尚もよしよしと少し固めの髪を撫でとんとんと肩を叩くと素直に顔を上げる。
俺はその唇に軽くキスを送った。
多分、いや付き合ってから初めて、自分からギルにキスをした。しかも素面で。

めっちゃハズいんですが。
だが耐えんとこの後がヤバい気がする。

どんよりと落ち込んでいたのもどこへやら、暫く放心して固まっている彼にもう一度キスを送り、やんわりと笑った。


「仕事、お疲れ様。これから寝るんだろ?一緒に寝ような」


なでなでと再び髪を撫でると漸く機嫌を直したギルが嬉しそうに笑ってくれた。

まだ団員達が起きてくるには早い時間帯。
流石に3人で俺のベッドに寝るのは無理なので、ギルの私室へと連れて行かれる。勿論、機嫌を取り戻したギルにお姫様抱っこというやつをされて。
レイドは遠慮して自室に戻ろうとしていたので、それを阻止して連れて行く。

レイドがいなければこのままギルに襲われそうだから…とは2人には言えない…。

部屋に着くなり俺を後ろから抱き締めてベッドに寝転がるギル。
俺に手を引かれて正面に寝転ぶレイド。
それぞれにキスをして、そのまま3人で眠りにつく。
途中後ろから何やらイタズラをされたような気もしなくはないが、そこは好きにさせておく。
乳首を少し弄られ、うなじにキスをされて痕を付けられたようだがそれ以上されないようだったので好きにさせたのだ。
心地良い温もりに包まれて深く眠れたと思う。

目覚めた時には既に休日も半分以上過ぎていたが、身体はすっきりとしていた。
2人とも先に目覚めていたようで寝顔を見られていた事に妙な恥ずかしさを感じた。

まだ起きられる状態ではないがそれでも歩けない程の消耗は回復していてホッとする。
最近何かと休みがちだったため、明日から少しずつ身体の訛りを解消していかねばいざという時動けなくなってしまう。
幸い若い身体のため、回復は早い。明日になれば問題なく動けるだろう。

今日は1日ギルの部屋で3人でゆっくり過ごそうという事になり、2人とも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。

途中ヒースが部屋を訪れ、ベッドの住人である俺と世話をするために動き回る2人を見て呆れたように溜息を吐いていた。レイドに軽く小言を言って、俺の身体を気遣ってくれるヒースは、やっぱりママンでした。


そんなだらだら……もといゆったりとした時間を過ごしていると、ふと今更ながらの疑問が浮かんできた。

そう言えば何でギルは昨夜呼び出されたんだ?
よっぽどの事だろ、本部に呼び出しなんて。


「そう言えば、昨夜呼び出されたのは大丈夫なのか?」


そのままを口にすると、一瞬言いにくそうに視線を彷徨わせるギル。


「今のところは…。いずれ王命が下るだろうから、詳細はその時に話すが、今は詳しく教える事が出来んのだ」


副団長であるレイドに話すならともかく、下っ端の俺に話せる内容でないのは分かった。
例え教えられても誰にも口外するつもりはないが、ギルが話さないという事は箝口令が敷かれているのだろう。
それだけで事の重大さは理解出来たため、深く追求する事は止めた。
申し訳なさそうに眉尻を下げるギルに笑って見せて、気にしていないと伝える。

その話はここで打ち止めにして、折角の休日をゆっくり過ごそうと再提案した。
既に日は傾きかけていて残り僅かとなってしまった休日でも、2人と過ごせる貴重な時間だ。
その時間を無駄にする事無く過ごしたいと思う。
まずは一緒に夕食を食べて一緒に風呂に入ろうかと提案すれば、2人とも快く受け入れてくれた。
この世界の風呂は湯船に浸かる形式ではないため、風呂好きの日本人としてはゆっくり湯船に浸かりたいところ。
これも提案してみようか。

時折甘ったるい雰囲気になりつつ、こうして貴重な休日はゆっくりと過ぎていった。



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