71 / 73
71、本腰を入れる時
しおりを挟むお昼までしっかり休ませた身体からはすっかり怠さは消え失せ、代わりにエネルギー不足を報せる警告が鳴り響きます。
つまり、お腹の虫がうるさい。
保健室の先生は、俺の顔色が回復したのを見て無理はしないようにと保健室から送り出してくれました。
食欲があるという事は元気な証拠。
既に昼休みに突入していた為、俺は急いで教室へ向かいます。
購買で買おうか、混雑する食堂へ向かおうか考えながら自分の荷物から財布を取り出し、教室から出ようとしたところで呼び止められました。
理人先生と翔先輩、それに雅先輩です。
雅先輩の姿を視界に捉えた途端、無意識に警戒してしまい一瞬固まってしまいました。あのギラギラした目がどうしても恐いんですよね…。
今の雅先輩は、あのギラギラした目ではありませんがちょっと警戒してしまいます。
「もう体調は大丈夫そうですね」
俺の顔色が良くなっている事を確認した理人先生は安堵したように目元を和らげます。
「はい。お腹が空いたので今からお昼ご飯を食べるところです」
鳴りっぱなしのお腹を手で押さえつつ財布を持ち上げて見せると、どうやら3人もこれからお昼ご飯らしくどうせならと4人でのランチタイムになりました。
移動した時も、食堂で席取りをしていた時も、食事を始めた時も雅先輩への警戒は解けず、どこかよそよそしくなってしまってました。
理人先生と翔先輩はそんな俺の様子に気付いたのか、食べ終えたトレイをそそくさと片付けようと立ち上がった俺に声をかけてきます。
「ミノルくん、不破に何かされたの?」
接近禁止令対象の事はされました。が、人が大勢いるこんな場所で言うのも憚られ曖昧に笑って誤魔化し、その場を離れます。
チラリと振り返って3人の様子を見ると、理人先生と翔先輩が雅先輩に詰め寄っているのが見え、次いで2人からデコピン攻撃を受けていました。
キスをされた事に対して何か思うところがあるわけではなく、ただ寝込みを襲われた事とあのギラギラした目が怖くて警戒していただけです。
何となく言いにくかっただけです、と自分自身に言い訳していてふと思いました。
和馬くんと真一先輩、雅先輩にキスをされて驚きはしたものの、嫌では無かったな、と。むしろ、どこか嬉しく思っていた…?
それどころか、昨日は急激に進展しようとしないで、と思っていたはず。
トレイを返却口に返して3人の元へ戻る途中、和馬くんと真一先輩が2人で昼食を摂っているのを見掛け、更に戻ろうとしていた俺を待っている3人へ視線を向け。
俺は和馬くんと真一先輩へ近付いてとあるお願いをして3人の元へ戻りました。
席には座らず和馬くんと真一先輩にしたお願いを言うと、俺はそのまま教室へ戻ったのでした。
21
お気に入りに追加
2,506
あなたにおすすめの小説

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

もういいや
ちゃんちゃん
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが……
まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん!
しかも男子校かよ………
ーーーーーーーー
亀更新です☆期待しないでください☆




淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――


俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる