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50、体力との戦い
しおりを挟む午前中は残り僅かな課題を細々と済ませ、お昼をたらふく食べて午後には生駒先輩との約束へ。
動きやすい服装…と考えた末、結局体育着を着ます。だってそれ以外に持ってないですからね!
生駒先輩とのお約束。
それは夏休み中の運動不足の解消です。
だって食べることは我慢したくないですから!!
今なら世の中の女子の気持ちが分かります。体型は気になる…でも甘いものは止められない!
そんなこんなで俺は生駒先輩にトレーナーになってもらうことにしました。
サッカー部のエースがトレーナーなんて、凄く贅沢ですが有難くその好意を活用しましょう。
美味しいものをたらふく食べられる未来の為に!!
「お待たせしました」
待ち合わせ場所のグラウンドへ着くと、生駒先輩は既に到着していて準備運動をしていました。
俺は傍へ駆け寄り声を掛けて手荷物を置きます。
タオルとか水分とか非常食が入ったバッグです。
「待ってないから大丈夫!早速準備運動からね。ストレッチで柔軟性を見てからどの位体力あるか見せてもらうから、キツい時は遠慮無く言ってね?」
俺は頷き、改めて生駒先輩に頭を下げます。
生駒先輩指導の下、準備運動を入念に済ませていきます。
体育の授業では発揮しない真剣さを全面に押し出して。怪我でもしたら大変ですからね。
「うわっ柔らかっ!」
準備運動を終わらせ、今はストレッチをしてます。
グラウンドの芝生へ座り開脚し、上半身を生駒先輩に押してもらって前へ倒します。
ぺったりと胸部が芝生にくっついた俺を見て生駒先輩が驚いた声を上げます。
「元々身体だけは柔らかいんです。問題は体力なんですよね」
「運動部の連中でもここまで柔らかいのいないから。身体が柔らかいと怪我し難くなるし、身体も疲れ難くなるんだよ」
流石、スポーツ全般の知識には定評を持つ生駒先輩。俺のストレッチを手伝いながらあれこれと教えてくれます。
「体力付けるより、柔軟性を身に付ける方が大変なんだよ。体操競技する人達は練習時間の殆どを柔軟に使う位だからね」
柔軟性の大切さを語りながら次々とストレッチを続けていきます。
一通り終えると問題の体力測定です。
「自分のペースでいいからグラウンド1周してみて」
この学園のグラウンドは他の部活動との兼ね合いもあり、1周400メートル程。陸上競技をする公式グラウンドと同じなのです。
俺は1周するだけで息が上がる程の体力の無さです。そして滅茶苦茶足が遅い。
その事を生駒先輩に伝えると、無理のない程度でいいよ、というお言葉を頂きました。
早速走りますが………半周を過ぎた辺りでガクンとスピードは落ち、歩くスピードとほぼ変わりない速度で1周を走り終えてしまいました。
しかも滅茶苦茶息が荒い。
「お疲れさま。ゆっくり休んで水分補給してね」
芝生に寝転がりぐったりしている俺に、生駒先輩は労いの言葉を掛けてくれます。
応える気力は無いですが。
「本当は暫く休んでからもう1周してもらうところだけど、ミノルくんがヤバそうだから今日はお終い。筋肉痛になると思うからケアの仕方教えるね」
ゼハゼハと荒い呼吸で頷くことしか出来ません。
やっと呼吸が落ち着いた頃に筋肉痛のケアの仕方を教わり、今日は解散となりました。
俺は丁寧にお礼を言ってよろよろとした足取りで自室へと戻ったのでした。
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