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48、サボりすぎ
しおりを挟む俺のご機嫌を損ねた不破先輩は、毎食後に美味しいデザートを俺に貢いでくれることになりました。
それで許してしまう俺も単純ですが、美味しいデザートの前には誰でも許してしまう事でしょう。仕方ないです。
今日も今日で、不破先輩に美味しいデザートを貢がれほくほくの俺は、制服を着込んで学園へ赴き委員会活動に参加しています。
夏休み明けの学年交流会の準備です。
と言っても俺と生徒会長さんしかいませんが。
委員の半数はまだ帰省から帰ってませんが、もう半数は不参加です。
サボりすぎです。
今日の作業は、変更された内容を書面に書き起こしてその内容を元に内容を詰めていくのですが……。
如何せん、人がいないので詳細は決められそうにありません。
なので、書面に書き起こしたら別の準備をする事に決まりました。
「会長さん、景品の数が足りないので追加注文した方が良さそうですよ」
「景品担当は2年生だったね。ありがとう、確認して追加注文の指示を出しておこう。それから田中くん」
「はい?」
思わず見ていた書類から顔を上げて生徒会長さんを見つめます。
「そろそろ、名前で呼んでくれると嬉しいんだけどな」
生徒会長さんは書面に目を走らせ、時折付属の資料を探してはまた書面を読んでいます。
役職で呼ばれると何か不都合でもあるんでしょうか?
「藤堂先輩、ですか?」
「そう。可愛い後輩に生徒会長と呼ばれるのも良いんだけどね、仲良くしたい方としては距離があるようで寂しく思ってたんだ」
仲良くしたら更に仕事を割り振られるとかいうオチじゃないですよね?
そうじゃなければ名前を呼ぶのは全く問題ないんですが。
なので、そのままの疑問をぶつけてみます。
仕事は平等に割り振られてこそです。
「大丈夫だよ、そんな事しないから。それに田中くんは人一倍頑張って手伝ってくれてるからね。今日とか特に」
生徒会長さん…藤堂先輩の言葉を聞いて安心しました。
今日は…人が集まらなければ出来ない事が出来なかったので、個人で出来ることをしているだけなので気にしなくてもいいんですが。
「それなら、藤堂先輩と呼ばせていただきます」
ぺこりと頭を下げて了承すると、続きの仕事を再開します。
藤堂先輩も仕事を再開しながら今日のお昼をご馳走してくれる約束をしてくれました。
藤堂先輩のお昼…あれですか?
あの凄腕料理人のご飯ですか?
俄然やる気が出てきました。
頑張っちゃいますよ。
そんな気持ちが表れたのか、俺は書類や物品を次々に確認しては間違いや不足分を付け足し、細々とした準備を早々に終わらせたのでした。
美味しいご飯の魅力は、何倍ものパワーを生み出すといういい例ですね!
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