エロゲーのモブが自我を持ちました

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47、あるまじき失態

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気付いた時には、不破先輩にお布団の中に引きずり込まれてました。
冷房が程良く効いた室内、ふわふわのお布団、今さっきまで寝ていた人の温かな体温。

………おっと。寝そうでした。


「先輩、起きて下さい。離して下さい。ご飯食べましょう?」


「大丈夫大丈夫」


何が大丈夫なのでしょうか。
ちょ、背中トントンしないで下さい!
寝かせにかかってこないで下さい!

俺は巻き付く先輩の腕から抜け出そうともぞもぞと動きます。
……ビクともしません。


「先輩、お腹空かないんですか?朝ご飯まだですよね?食べに行きましょう?」


抜け出すことは諦めていませんが、自力ではなく他力で抜け出すことにシフトチェンジします。
何とか先輩の気を眠気から逸らさなければ!


「先輩、起こして欲しかったんですよね?」


「大丈夫だって」


だから、何が大丈夫なのでしょうか。
起こしてほしかったんじゃ?
あれ、そもそも何で起こす話になったんでしたっけ?

ああぁ、背中トントンが絶妙な感覚です。
あれですか、寝かしのプロですか。
意識がヤバいのです。


「先輩…、起きましょ…」


どんどん瞼が…。
……………おやすみなさい。







………何という事でしょうか。
俺は人生で初めて、あるまじき失態をしてしまいました。

現在の時刻は、15時。お昼もとうに過ぎた、もうすぐ夕方と呼べる時間帯です。

俺はあの後不破先輩の寝かせ技にまんまとやられ、大事な大事なお昼ご飯を食べ損ねてしまったのです!!!

俺のバカ!
不破先輩のバカ!

楽しみの1つでもある大事な大事な食事を一食抜いてしまうなんて!!


「そう落ち込むなって」


すっかり目覚めた不破先輩に慰められてますが、俺は許しません。


「………もう起こしてあげません」


夕食までまだまだ時間があります。
お腹と背中がくっつくほどにグーグーと鳴るのは、俺の気持ちを代弁するようなお腹の虫です。

お腹空きました…。
お部屋に戻って非常食を食べましょう。そうしましょう。

俺は今さっきまで寝ていたベッドから離れてスタスタと歩き出します。
後ろで不破先輩が物凄く慌ててますが知りません。
許しません。

俺はぺこりと頭を下げてそのまま不破先輩の部屋を後にしました。
目指すは自室の非常食保管場所です。

夕飯までもつくらい非常食はあったかな……。

俺はふらふらな足取りで廊下を進んで行くのでした。



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