エロゲーのモブが自我を持ちました

２３、ランチタイムはお静かに②

何故か生徒会長さんに手を引かれ、反対側には春日井くんが並び。
移動した先はカフェテリアの一画。

カフェテリアは大勢の生徒が利用できるようにとても広いです。
吹き抜けの天井に、天気の良い日は外でも食事が楽しめるようになっています。

そんなカフェテリアで俺達３人が座った場所は、４人がけの椅子とテーブルの周りをパーテーションで目隠しされた一画です。
目隠しと言っても気密性はないですし、内緒話をするような場所ではないです。
本当に、人目を少し避けたい人が使うような感じですかね。

グーグーと鳴るお腹の虫に従うため、俺はさっさと椅子に座ります。
抱えていたお昼ご飯をテーブルに広げて何から食べようかな、なんて思考を明後日の方向に飛ばしています。
そんな俺の隣には春日井くんが座り、俺の向かい側には生徒会長さんが座りました。


｢生徒会長さんはお昼食べないんですか？｣


俺と春日井くんは既にお昼ご飯を購入済み。
ですが生徒会長さんはお昼ご飯らしきものは手にしていません。


｢お昼は友人にここに運んでもらうように頼んであるんだ。２人は気にせずに食べていいよ｣


なんと。
既に手配済みでしたか。流石生徒会長さんですね。
正直、食べてない人の前で無遠慮に食べるのは気が引けますが、当のご本人が気にしないでと言うのでお言葉に甘えます。
まずは昨日食べ損ねたジャムパンからかじり付きます。
中から濃厚な甘酸っぱさのイチゴジャムが溢れ口の中に香りと味が広がります。
ジャムを挟んだパンもふわふわでジャムとの相性が抜群です。
食べ損ねたという部分と、空腹という絶妙なスパイスが相まってとても美味しいです。
暫く夢中でジャムパンを味わっていましたが、ふと視線を感じて顔を上げると２つの視線が俺を見てました。

何故か毎回素敵スマイルを浮かべて俺の食事シーンを眺める春日井くんと、目を細めて俺を観察している様子の生徒会長さん。
そう言えばお話があったんでしたっけ？

あまりの空腹と、ジャムパンの美味しさに忘れてました。
俺は姿勢を正して生徒会長さんに声をかけます。
ただし、ジャムパンを頬張りつつですが。

食べながらでもいいって言ってましたしね！！