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22、ランチタイムはお静かに①
しおりを挟む待ちに待ったお昼休み。
3時間目が始まった辺りからグーグーと鳴るお腹の虫を必死に宥めていた時間ともさよならです。
春日井くんが一緒に食べようと誘ってくれたので、有難くお誘いを受けて購買へ向かいます。
学園にはカフェテリアがありそこでタダで食事を提供してくれますが、何分混むのが難点です。
なので俺は購買でいつもパンやおにぎりを買って食べています。
学食も食べたいですが、混雑に巻き込まれるのはご免なのです。
不破先輩からのお礼のクリームパンもありますし、昨日食べ損ねたジャムパンを買いましょう。
それから大人気のチョコパン。
惣菜パンも捨てがたい。
「そんな細いのに食べられんの?」
数種類のパンを抱えた俺を後ろから覗き込んできた春日井くん。
春日井くんの体格からしたら確かに俺は細いですが、食欲は誰にも負けない自信があります!
「春日井くん、甘いですよ。俺こう見えて大食いなんです」
ふふふ、と不敵に笑って見せると、ジャムパンやチョコパン、バナナが1本丸々入っているバナナパン、コーヒー牛乳をチョイスしてレジに持っていきます。
春日井くんと共に支払いを済ませてさぁ教室へ、と足をむけかけたところで廊下の方から今日1番の黄色い歓声が響いてきます。
またイケメンが通るんですかね?
早く通り過ぎないかな。
お腹空きました。
黄色い歓声の軍団が通り過ぎるのをぼんやりと待っていると、またしてもその歓声を浴びていた中心人物が近付いてきます。
なんですかね、デジャヴを感じます。
また生駒先輩ですか?
勘弁して下さいよ。
お腹空いてるんですから。
空腹からか若干イライラしつつ近付いてくる人物を見つめます。
するとそこには昨日と今朝お世話になった生徒会長さんの姿が。
生徒会長さんも購買で何か買うんですかね。
それとも俺に用事でしょうか?
まさかね。
なんて道を空けようとしたら生徒会長さん、ニコニコとイケメンスマイルを浮かべて俺に向かって挨拶してきます。
「探していたんだよ。今ちょっといいかな?」
探していた?
まさかの俺に用事があったという事ですか。
生徒会長さん直々に俺を探していたという事は余程大切な用事か、今朝生徒会長さんのお部屋に何か忘れ物をしてしまったのか。
はたまた全く別の事なのか…。
生徒会長さんからの用事か、お昼ご飯か。
とてつもなく悩みます。
俺は手に抱えたパンの山と生徒会長さんの顔を交互に見つめて、グーグー鳴るお腹の虫と相談して意を決して生徒会長さんを見つめます。
「あの…ご飯食べながらでもいいですか?」
お腹の虫には抵抗できませんでした……。
生徒会長さんはおかしそうに笑いながら俺のお願いを聞いてくれます。
なんて優しいんでしょう。
昨日と今朝の事も含めて改めてお礼をしないといけませんね。
「春日井くん、すみません。先に戻ってていいですよ」
お昼を誘ってくれた春日井くんにお詫びをして場所を移動しようとする生徒会長さんに付いて行こうとしますが。
何故か春日井くん、付いてきます。
何故?
「ここまで来たらどこで食っても同じだし、田中くんの付き添いで付いてくよ」
付き添いですか。
春日井くん、俺の保護者になったのでしょうか?
まぁそんな事はさておき、正直付いてきてもらえるのは有難いです。
何故なら人気者の生徒会長さんと2人でお話なんて、緊張と針のむしろとその他色々で大変そうですもん。
ありがとうございます、とお礼を言って俺達3人はカフェテリアへと足を向けて歩き出しました。
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