エロゲーのモブが自我を持ちました

１４、クラスメイト・春日井和馬の心情

寮の談話室から自室へ戻る途中、医務室から出て来るクラスメイトの背中を見かけた。
確か、田中くん。

彼の今日１日の様子がいつもと違かったので何となく気になってしまって思わず呼び止めた。

振り向いた田中くんの顔を見て驚く。
何かにぶつかったのか、顔中痛々しい擦り傷だらけだ。
余程痛いのか涙目になっていて、その瞳にドキッとする。

何だか放っておけなくて、今から夕ご飯を食べるという田中くんの後を付いていく。
少し怪しまれたが、正直擦り傷だらけの顔は周りが驚くだろうし、潤んだ瞳の彼をあまり人目に触れさせたくないと思ってしまった。

余程食べたかったのか、食堂のメニューにエビフライ定食が残ってたと知った時の溢れんばかりの笑顔といったら…。
正直、ずっと想っていた幼馴染みの存在が薄れてしまう程可愛かった…。

席に座る彼の正面の席をキープする。
きっと美味しそうに食べんだろう。


満面の笑顔で幸せそうにご飯を頬張る姿に癒やされる。
凄く可愛い。
田中くんってこんなに可愛かったっけ？
今まで俺は何を見てたんだろうか。

今までの田中くんはあまり印象には残っていない。が、何処か気怠げな美人顔だったんだと今初めて知った。
更に笑うととびきり可愛いなんて反則過ぎる。

あぁ、可愛いな…。
ご飯粒付いてる。
舐め取ってやりたい。

残念、食べ終わってしまった。
ご飯粒も自分で気付いたっぽい。

明日早起きして朝ご飯一緒に食べよう。
またご飯粒付いてたら取ってあげよう。

また可愛い笑顔が見たい。