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第1章 冒険者編
第29話 王様のディナー
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「さっすが王城だ。市井の店なんかとは比べ物にならないくらい広い厨房だぜ」
デカい鍋をセットできる竈が10個もありやがる。
ここにあるものだけで城に勤務する騎士や兵士、官僚や王族たちの胃袋を満たさなければならないので当然といえば当然か。
「洗い場も10、調理台も10、フライパンや包丁に至ってはもはや数えるのも馬鹿らしいくらいあるな」
そのどれもが使い込まれている。
しっかり手入れもされている。
料理人たちの魂が感じられる立派な厨房だ。
この国の味の中心たるに相応しい、料理人たちの戦場。
今からここを地獄と化す。
積み上げてきた伝統、歴史、価値観……その全てを完膚なきまでに叩きのめし、破壊し、駆逐する。
――俺の、俺による、俺が作り上げた、今の俺にできる最高のフルコースで!
「手伝ってくれる料理人の皆に言っておく。心して聞いてもらいたい」
俺は振り返り、待機している料理人達に語りかける。
「今から俺が作る料理は、皆が見たことも聞いたこともない料理だ。使う食材も普通ではありえないものを使う」
気持ち悪いと思うかもしれない。
こんなの料理ではないと思うかもしれない。
その味の衝撃に今まで積み上げてきた経験や価値観が全て壊れるかもしれない。
「それでもいい。それがどうした。未知の技術や味に触れる喜びの前にはそんなものはクソくらえだ。心からそう思える者だけ手伝ってほしい」
――ざわざわざわざわざわ……
料理人としての覚悟を問う俺の言葉にどよめきが走る。
だが、誰一人としてこの場を去る者は居ない。
好奇心に目を輝かせた、いい狂戦士の顔をしている。
いいだろう、上等だ。
戦意に溢れたお前たちの舌と脳みそを、俺の料理でぶっ壊してやろう。
「皆の覚悟は受け取った。では、料理を始めよう。今日、今、この時は俺がシェフだ。俺の言うことは絶対だ。日頃の自分の立場は忘れ、絶対服従するように」
さあ、戦争を始めよう。
世界を壊す、この世で一番熱い戦を。
……
…………
………………
「ご来席の皆々様、お待たせしました。間もなく料理をお運びします」
調理開始から4時間後――夜の王城、式典の間。
王族、貴族、官僚、そして騎士たち。
全員着席して待機する中、俺は決戦の火蓋を切る。
「ふん、随分待たせるじゃないか」
「我々に一体何を食べさせようというのか?」
「まあまあ、いいじゃありませんか。英雄殿たってのお願いなのです」
「たとえ何が出ようとも、一口は口にして差し上げましょう……一口はね」
「ですな。それが礼儀というものです」
反応は嘲りほぼ10割といったところか。
王族や俺の仲間を除いて、ほぼ全員が舐め腐った態度で俺を見ている。
面白い。
今からその反応を変えてやるのが、楽しみで楽しみで仕方ないぜ。
「まずは前菜です。お茶と一緒にお楽しみください」
俺の言葉が合図となり、メイドの手で料理が運ばれてくる。
その表情は皆困惑気味だ。
料理を受け取った時の料理人の顔が印象的だったからに違いない。
何せ――誰一人としてまともな顔をしていなかったのだから。
「全員行きわたりましたね? では開けてください」
「これは……サラダ、でいいのか?」
「ええ、サラダです。お手元の特製ソースをかけてお召し上がりください」
「こ、これがサラダだと!? バカな!」
「こんなものはサラダではない! ただの生野菜ではないか!」
「俺の故郷では新鮮な生野菜をサラダとして食べるグリーンサラダというものがあります。食材の調理法には拘ったので安心してください。世間一般におけるこの国の野菜と違って、その野菜は生でも美味しく食べられますので」
もちろん毒見はしていますよ――とも付け加える。
「ま、まあ英雄殿がこういうのですから料理なのでしょう」
「口に合わねば残せばいいだけのこと」
「せっかく作ってくださったのですから……」
「それにしても……お茶はいい香りですね。合わなかった時の口直しは心配いらなそうで何より」
文句を言いつつもソースをかけていく貴族&官僚たち。
戸惑いつつも騎士たちがそれに続く。
「では、いただこう」
王様の一言がトリガーとなり、その場に緊張が走る。
王が口にするのだから覚悟を決めねば。
全員同時にパクリ――と、俺の料理を口にした。
「な、こ、これは……!?」
「何という濃厚な野菜の旨味! エグみを全く感じない!?」
「これは本当に生野菜なのか!? 私の知る野菜と次元が違いすぎる!」
「このソースもとてつもなく美味いぞ! このサラダ?と、とてもよく合う!」
「このお茶も素晴らしい! お茶の温かさが喉元を過ぎたかと思えば、即座にひんやりとした清涼感が全身を駆け巡る! 熱いのか冷たいのかわからないぞ!?」
食べた者全員、一人の例外もなく驚愕と絶賛をしている。
そうだよな、めちゃくちゃキクよなあ? キマるよなあ?
一度口にしたら驚くよなあ?
「ご好評のようで何よりです。ところで、皆様お茶のお代わりは?」
「「「「「いただこう!」」」」」
その言葉が聞きたかった。
俺は待機中のメイドに合図を送る。
「ふぅ……落ち着いた。いや、とても驚いたぞ。生の野菜がこんなに美味いとは……」
「ご満足いただけたようで何よりです、王様」
「しかし、一体何をどうしたら生野菜をこんなに美味くできるのだ?」
「知りたいですか?」
「うむ、もちろんだ。我が国の食文化の歴史に新たな1ページが刻まれるやもしれん」
全員が俺に注目する。
王様が全員の心情を代弁しているのを物語っている。
もう、この場に俺の料理をバカにする者は誰一人としていない。
なら、教えてやろうじゃないか。
驚愕しろ、権力者ども。
「では、お教えしましょう。ソースのレシピはお教えできませんが……生野菜の秘密はコレです」
俺は袋の中から、あるものを取り出した。
「そ、それは……スライムか?」
「ええ、そうです。スライムです。『スライムに一度食わせ、消化する前に吐きだしてもらった野菜』それが今回のサラダに使った野菜です」
――ブウウウウウゥゥゥゥゥッ!
――ゲホッ! ゲホゲホゲホ!
――オエエエエエェェェェェェッ!
秘密を教えた瞬間、阿鼻叫喚の地獄絵図である。
そんな中、王様を始めとする王族だけは比較的冷静だ。
さすが国を預かる身……この程度ではそこまで動じないようだ。
「き、貴様! なんてものを食わせるんだ!」
「ま、魔物が一度口にしたものを我々はおろか王にまで食わせるなど……」
「皆さんの言い分は予測済みです。魔物は穢れた存在、神の敵、故に食べようという発想がない………………でも、美味かったでしょ?」
「ぐっ…………」
でも美味かった。
俺のこの指摘に反論できる者は誰一人としていなかった。
「皆さんが美味いとお代わりしたお茶、これも魔物由来のものです」
「何!? これもなのか?」
「ええ、花蝙蝠の身体を刻み、煮出したものです」
「これが……あの妙な魔物の味……」
「もう察したでしょうが、俺の料理は全て魔物を使っています。俺にとって魔物は極上の料理素材、使わない理由はありません。ですが……魔物に対してこの国の人々が持っているイメージもあるでしょう。もう食べたくないという方は遠慮なく退室してください」
そう口にしたが、退室する者は一人もいなかった。
控えていたメイドの一部、及び様子を見に来た料理人全員が落胆した。
退席者がいないということは、おこぼれに預かれないってことだからな。
「いないようですね? では続けてスープと行きましょう」
「ほう、このスープは……随分と透き通っているな。まるで水だ」
「具はライスのみ……? これがスープ、ですか? 正直、ボクのいる教会の食事でももっといいものが……」
「あ、もしかしてこれって!」
さすが常連。
ミーナはこのスープが何だかわかったようだ。
「ふむ、どうみてもただライスを水で煮ただけにしか見えんが……とりあえず食してみるか」
そう言い、王様が口にする。
「むおおぉぉっ!? な、何だこれは!? 明らかにただの水とライス! それしか使われていないはずなのに!? 何故こんな濃厚なエビの……いや、カニか!? いや、やはりエビ……? ぬうううぅぅぅっ! わからぬ!」
「それは使った調理器具に大きな秘密があります。アイアンスコーピオン、その外殻の胴体部分を使った特殊な鍋で調理したものです」
「ア、アイアンスコーピオンの鍋だと!?」
「アイアンスコーピオンと言えば、武器や防具に使われて然るべき上級素材……」
「それを鍋に使うなんて聞いたことがないぞ……?」
「甲殻類の殻は多くの旨味を含んでいます。魔物も例外ではありません。旨味の塊が調理器具自体に付与されているため、煮出すだけで味が染み出すのです」
「なるほど! これはたまげた! 早速余も一つ注文しよう!」
――わ、私も……
――私もその鍋欲しい……
――どこに行けば作ってもらえるか教えてもらえるだろうか……?
そんな声が聞こえてくる。
もう完全にやられている感じだが、まだまだ俺の料理は止まらない。
さあ次だ。
「次はサラダです。こちらは前菜のサラダとは違う卵ベースのサラダ。ペッパーを軽く降りかけてお召し上がりを」
「むぉっ!? これは何だ!? 豆……いや、種か!? まるで旨味そのものを食しているようだが一体何の種を……」
「花蝙蝠の種です。顔いっぱいに実った種を炒って卵と混ぜたものです」
「うおおおぉぉぉっ! 美味い! 手が、手がとまらぬううぅぅぅっ!」
「こ、この私が、貴族たる私が……こんな、こんなゲテモノ料理に!」
「魔物が気持ち悪いとか思っていた私がバカみたいに思えてきたぞ! もっと、もっといただけないだろうか!?」
「ご満足されているようで何より。料理人として心から喜びに打ち震えております。では続けて魚料理を。クラーケンフリッターです。食べやすい大きさに切ってあります。こちらのソースをかけてお召し上がりを」
「くぅっ! 噛めば噛むほど強烈な旨味がっ!」
「これは……これは酒が欲しくなるぞ! ええい! 誰かワインを!」
「次はソルベといきましょう。スライムゼリーのシャーペットです。オレンジ、レモン、ストロベリー、メロン、そしてワイン。5種類の味をお楽しみください」
「うああああぁぁぁっ! 美味い! 美味い! 美味すぎるううぅぅぅっ!」
「私の中の価値観が! 食べ物に関しての常識が! 音を立てて壊れていくううぅぅっ!」
そうだろうな。
だってそのつもりで料理したんだから。
「さあ、ご満足いただいている途中ですが、いよいよメインディッシュです! オークベアのカレーライス……トロトロになるまで煮込まれたスライム加工済みの野菜類と、オークベアの中でも特に旨味の強いサーロイン部分に掌部分。それらがスパイスで奏でる極上の肉料理……ライスにかけてお召し上がりください」
「い、今まで以上に美味そうな香りが漂うこの料理は……?」
「し、しかしこの色は何とも……完全にアレの色ではないですか!」
「こ、これをライスにかけて食えと? 今までのは美味かったが、これは……」
「すまん、カイトよ。お代わりをもらえないだろうか?」
「王!?」
「食べ終わるのが速すぎる!?」
「口の周りをあんなに汚してまで……もしかして今まで以上にこれは美味いのでは?」
「申し訳ありません。この料理はお一人様一杯分しかないのです。何せ材料がギリギリだったもので」
「そうか………………親愛なる臣下たちよ。余からの頼みなのだが、その方らのカレーライス、食べぬと言うのならもらえないだろうか?」
「え、えーと……」
「た、食べるのでどうかご遠慮していただければと……」
「譲ってくれた者には金貨10枚を払うと言ってもダメか?」
「おい、聞いたか?」
「ああ、あの厳格で公正なる王が、ただ自分がもっと食いたいからという理由で金貨10枚を払うだと……?」
「一体どんだけ美味いんんだこれは…………っておい!? 大丈夫か!? しっかりしろ!」
戸惑う騎士たちの中、とうとう倒れる者まで出始めたらしい。
近くの騎士が抱き起こし、容体を確認する。
「魂が抜けかけているぞ! どうしたんだ!?」
「う、美味すぎる……死ぬほど美味い…………この世のものとは思えんほどの天国そのものの味だ……」
「舌が、舌が美味さで溶けた……全身がもうお花畑だ……我が生涯に、一片の悔いなし……」
「そ、それほどまでに……?」
「このアレに似た見た目の茶色い料理が……?」
「うがああああぁぁぁぁぁっ! 何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれはああああぁぁぁっ!?」
「大臣殿まで……ちょっと一口いただいても?」
「断る! 貴殿の分はまだあるであろう! 少しでも手を付けてみろ! 冤罪でっち上げて牢屋に放り込みますぞ!」
とうとう各地で醜い争いが始まった。
やはり人も野生の動物。
美味い物を食いたいと言う本能には逆らえない。
どんなに権力で着飾ろうとも、遺伝子に刻まれた欲求には勝てないのだ。
「皆さん盛り上がっているところで恐縮ですが、そろそろ最後のデザートと参りましょう。デザートはクッキーです。冷やしたミルクと一緒にどうぞ」
「あ、ボクの大好きなやつ!」
「ミミックバタークッキーだっけ? これ美味しいんだよねー♪」
「ミミック!? その方たち、ミミックも食したのか?」
「この一見何の変哲もないクッキーにどうミミックを……?」
「その辺気になる方は、後でこの城の料理人たちに聞いてください。まあでも、多分再現するのは難しいと思いますよ?」
この場にいる全員の目の色が変わった。
この食事会終了後、間違いなく料理人たちに質問が殺到するだろう。
作り方はわかっても、ミミックの死体?がなければ再現なんてできないがな。
「このクッキーも美味い! サクサク食感の上、普通の物とは段違いだ!」
「ミミックをどう使うんだ!? あんな危険生物をどうやって!?」
「わからん! 何一つわからん! 理解できん! だが…………」
「「「「「とてつもなく美味い! 美味すぎるうううううぅぅぅっ! うおおおおぉぉぉぉっ!」」」」」
……
…………
………………
そして、全てが破壊された。
粉々になった価値観の山の中、最初に口を開いたのは王様だった。
「カイト、見事であった……そちの振る舞ってくれた料理、この世の物とは思えないほど、本当に美味かったぞ」
「ありがとうございます」
「このような極上の料理を味わわせてくれた礼をしたい。金だろうが政策だろうが、困ったときは何でも相談するがいい。余の持てる力全てを持って最大限の協力を約束しよう…………ただ」
「ただ?」
「その時は、その、報酬としてだな……またカレーライスを食わせてもらえないだろうか? 今度は一杯だけではなく、腹いっぱい」
恥ずかしそうに提案する王様が面白くて、笑いを堪えるのに少々てこずった。
この王様……どんだけカレーが気に入ったんだよ?
「わかりました。その時は今回のオークベアのカレーだけでなく、他のカレーも用意してから相談することにします」
「何!? 他のカレーも存在するのか!? くっ……余は、余は今までこの国の王たるべく、己の欲望を抑え、高潔かつ公平であろうと努めてきた。だがしかし! カレーは、カレーのあの味だけはどうにも抑えられん! 他にもカレーがあると知ってしまったら……公務を放り投げてでも食べに行ってしまいそうだ!」
止めてください。
国民が困ります。
「ぬぅ……どうにかして毎日アレを食す方法はないものだろうか……?」
「王よ、そろそろ……お気持ちはわかりますが」
「う、うむ、そうであったな。カイト、ミーナ、セシルよ。大儀であった。これからもその力、我が国のために使ってくれ!」
こうしてこの世界に来てから俺にとっての最大の戦いは幕を閉じた。
この晩餐から半年も経たないうちに、マトファミア国内では魔物の素材ではなく、肉が高額で取引されるようになるのだが、それはまた別の話。
「領主か……まさか貴族になるとはなあ」
「何よ? 怖いの? ちょっと震えてるけど」
「そりゃ怖いって。欲望に負けて結局引き受けたけどさあ」
俺の判断一つで他人の人生が狂うんだぜ?
そんな責任いきなり負わされてみろ。
めちゃくちゃ怖くないか?
「俺の領民になる人たちを、きちんと幸せにしてやれるかなって考えるだけで震えてくる」
「できるわよ、あんたなら。だから、そんなにビビらなくてもいいんじゃない?」
すごく適当そうにミーナが言う。
自分じゃないからって気楽に言ってくれるなあ……。
「少なくとも、あんたはあたしを幸せにしてくれたじゃん。戦争孤児で、ソロ冒険者で、明日のことなんて考えないで生きてたあたしを、幸せにしてくれたじゃん」
「えぇ? 俺そんなことした?」
「したよ、料理で。あんたの作る飯は最高に美味い。最初に冒険したあたしが保証する。政策とか統治とか、難しいことはわからないけどさ……美味い飯が食えるって、それだけで幸せなんじゃない?」
ああ、そうだな。その通りだ。
美味い飯が食える。
それだけで人は幸せになれる生き物だ。
そのことに関して、俺は絶対の自信がある。
この世界に来て、それはもはや確信に近いものになった。
「他の誰にもまねできない、カイトだけのやり方で幸せにしてやればいいのよ。あんまり気負わず、思うようにやってみたら?」
「そうだな。お前にそう言われて勇気がわいてきたよ。好きなようにやってみるか」
今日作った料理も、まだまだ俺にとっての始まりにすぎない。
新しい土地で出会う食材、そしてそれによって出会える新しい料理とその味――、
今から楽しみで仕方なくなってきたぜ。
「好きなようにやってダメなら、その時はあたしを頼んなさいよ?」
「え? お前一緒に来るの? 豪邸もらうんじゃないの?」
「もらうわよ? あんたの赴任先でね」
王様にもう希望を提出したとのこと。
「そっか、一緒に来てくれるのか」
「何よ? 不満?」
「いや、この上なく心強いよ……ありがとう」
「ふぇ!? ……………………そんなふうに返されるなんて思わなかったわ」
「たまには、素直になってみようと思ったんだよ」
「え……? えぇっ!? ちょ、ちょっと!? 素直って何!? どういう意味!? 教えてよ!」
「たまにはって言ったろ? 意味は自分で考えてくれ」
俺の不意打ちにミーナは目を白黒させた。
そんなやり取りをしながら、俺たちを乗せた馬車は進んでゆく。
この異世界における、俺が進むべき道を――
仲間とともに進む道を――
新しい出会いと結末を目指し、俺の料理の終点を目指し。
ゆっくり、相棒とともに――。
-----------------------------------------------------------------------------------
《あとがき》
一章、冒険者編終了です。
料理人にとっての戦は料理です。
本当の意味でのラストバトルを描き切ったので満足。
次回より新章――貴族編が始まります。
二章以降も読んでいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
《旧Twitter》
https://twitter.com/USouhei
デカい鍋をセットできる竈が10個もありやがる。
ここにあるものだけで城に勤務する騎士や兵士、官僚や王族たちの胃袋を満たさなければならないので当然といえば当然か。
「洗い場も10、調理台も10、フライパンや包丁に至ってはもはや数えるのも馬鹿らしいくらいあるな」
そのどれもが使い込まれている。
しっかり手入れもされている。
料理人たちの魂が感じられる立派な厨房だ。
この国の味の中心たるに相応しい、料理人たちの戦場。
今からここを地獄と化す。
積み上げてきた伝統、歴史、価値観……その全てを完膚なきまでに叩きのめし、破壊し、駆逐する。
――俺の、俺による、俺が作り上げた、今の俺にできる最高のフルコースで!
「手伝ってくれる料理人の皆に言っておく。心して聞いてもらいたい」
俺は振り返り、待機している料理人達に語りかける。
「今から俺が作る料理は、皆が見たことも聞いたこともない料理だ。使う食材も普通ではありえないものを使う」
気持ち悪いと思うかもしれない。
こんなの料理ではないと思うかもしれない。
その味の衝撃に今まで積み上げてきた経験や価値観が全て壊れるかもしれない。
「それでもいい。それがどうした。未知の技術や味に触れる喜びの前にはそんなものはクソくらえだ。心からそう思える者だけ手伝ってほしい」
――ざわざわざわざわざわ……
料理人としての覚悟を問う俺の言葉にどよめきが走る。
だが、誰一人としてこの場を去る者は居ない。
好奇心に目を輝かせた、いい狂戦士の顔をしている。
いいだろう、上等だ。
戦意に溢れたお前たちの舌と脳みそを、俺の料理でぶっ壊してやろう。
「皆の覚悟は受け取った。では、料理を始めよう。今日、今、この時は俺がシェフだ。俺の言うことは絶対だ。日頃の自分の立場は忘れ、絶対服従するように」
さあ、戦争を始めよう。
世界を壊す、この世で一番熱い戦を。
……
…………
………………
「ご来席の皆々様、お待たせしました。間もなく料理をお運びします」
調理開始から4時間後――夜の王城、式典の間。
王族、貴族、官僚、そして騎士たち。
全員着席して待機する中、俺は決戦の火蓋を切る。
「ふん、随分待たせるじゃないか」
「我々に一体何を食べさせようというのか?」
「まあまあ、いいじゃありませんか。英雄殿たってのお願いなのです」
「たとえ何が出ようとも、一口は口にして差し上げましょう……一口はね」
「ですな。それが礼儀というものです」
反応は嘲りほぼ10割といったところか。
王族や俺の仲間を除いて、ほぼ全員が舐め腐った態度で俺を見ている。
面白い。
今からその反応を変えてやるのが、楽しみで楽しみで仕方ないぜ。
「まずは前菜です。お茶と一緒にお楽しみください」
俺の言葉が合図となり、メイドの手で料理が運ばれてくる。
その表情は皆困惑気味だ。
料理を受け取った時の料理人の顔が印象的だったからに違いない。
何せ――誰一人としてまともな顔をしていなかったのだから。
「全員行きわたりましたね? では開けてください」
「これは……サラダ、でいいのか?」
「ええ、サラダです。お手元の特製ソースをかけてお召し上がりください」
「こ、これがサラダだと!? バカな!」
「こんなものはサラダではない! ただの生野菜ではないか!」
「俺の故郷では新鮮な生野菜をサラダとして食べるグリーンサラダというものがあります。食材の調理法には拘ったので安心してください。世間一般におけるこの国の野菜と違って、その野菜は生でも美味しく食べられますので」
もちろん毒見はしていますよ――とも付け加える。
「ま、まあ英雄殿がこういうのですから料理なのでしょう」
「口に合わねば残せばいいだけのこと」
「せっかく作ってくださったのですから……」
「それにしても……お茶はいい香りですね。合わなかった時の口直しは心配いらなそうで何より」
文句を言いつつもソースをかけていく貴族&官僚たち。
戸惑いつつも騎士たちがそれに続く。
「では、いただこう」
王様の一言がトリガーとなり、その場に緊張が走る。
王が口にするのだから覚悟を決めねば。
全員同時にパクリ――と、俺の料理を口にした。
「な、こ、これは……!?」
「何という濃厚な野菜の旨味! エグみを全く感じない!?」
「これは本当に生野菜なのか!? 私の知る野菜と次元が違いすぎる!」
「このソースもとてつもなく美味いぞ! このサラダ?と、とてもよく合う!」
「このお茶も素晴らしい! お茶の温かさが喉元を過ぎたかと思えば、即座にひんやりとした清涼感が全身を駆け巡る! 熱いのか冷たいのかわからないぞ!?」
食べた者全員、一人の例外もなく驚愕と絶賛をしている。
そうだよな、めちゃくちゃキクよなあ? キマるよなあ?
一度口にしたら驚くよなあ?
「ご好評のようで何よりです。ところで、皆様お茶のお代わりは?」
「「「「「いただこう!」」」」」
その言葉が聞きたかった。
俺は待機中のメイドに合図を送る。
「ふぅ……落ち着いた。いや、とても驚いたぞ。生の野菜がこんなに美味いとは……」
「ご満足いただけたようで何よりです、王様」
「しかし、一体何をどうしたら生野菜をこんなに美味くできるのだ?」
「知りたいですか?」
「うむ、もちろんだ。我が国の食文化の歴史に新たな1ページが刻まれるやもしれん」
全員が俺に注目する。
王様が全員の心情を代弁しているのを物語っている。
もう、この場に俺の料理をバカにする者は誰一人としていない。
なら、教えてやろうじゃないか。
驚愕しろ、権力者ども。
「では、お教えしましょう。ソースのレシピはお教えできませんが……生野菜の秘密はコレです」
俺は袋の中から、あるものを取り出した。
「そ、それは……スライムか?」
「ええ、そうです。スライムです。『スライムに一度食わせ、消化する前に吐きだしてもらった野菜』それが今回のサラダに使った野菜です」
――ブウウウウウゥゥゥゥゥッ!
――ゲホッ! ゲホゲホゲホ!
――オエエエエエェェェェェェッ!
秘密を教えた瞬間、阿鼻叫喚の地獄絵図である。
そんな中、王様を始めとする王族だけは比較的冷静だ。
さすが国を預かる身……この程度ではそこまで動じないようだ。
「き、貴様! なんてものを食わせるんだ!」
「ま、魔物が一度口にしたものを我々はおろか王にまで食わせるなど……」
「皆さんの言い分は予測済みです。魔物は穢れた存在、神の敵、故に食べようという発想がない………………でも、美味かったでしょ?」
「ぐっ…………」
でも美味かった。
俺のこの指摘に反論できる者は誰一人としていなかった。
「皆さんが美味いとお代わりしたお茶、これも魔物由来のものです」
「何!? これもなのか?」
「ええ、花蝙蝠の身体を刻み、煮出したものです」
「これが……あの妙な魔物の味……」
「もう察したでしょうが、俺の料理は全て魔物を使っています。俺にとって魔物は極上の料理素材、使わない理由はありません。ですが……魔物に対してこの国の人々が持っているイメージもあるでしょう。もう食べたくないという方は遠慮なく退室してください」
そう口にしたが、退室する者は一人もいなかった。
控えていたメイドの一部、及び様子を見に来た料理人全員が落胆した。
退席者がいないということは、おこぼれに預かれないってことだからな。
「いないようですね? では続けてスープと行きましょう」
「ほう、このスープは……随分と透き通っているな。まるで水だ」
「具はライスのみ……? これがスープ、ですか? 正直、ボクのいる教会の食事でももっといいものが……」
「あ、もしかしてこれって!」
さすが常連。
ミーナはこのスープが何だかわかったようだ。
「ふむ、どうみてもただライスを水で煮ただけにしか見えんが……とりあえず食してみるか」
そう言い、王様が口にする。
「むおおぉぉっ!? な、何だこれは!? 明らかにただの水とライス! それしか使われていないはずなのに!? 何故こんな濃厚なエビの……いや、カニか!? いや、やはりエビ……? ぬうううぅぅぅっ! わからぬ!」
「それは使った調理器具に大きな秘密があります。アイアンスコーピオン、その外殻の胴体部分を使った特殊な鍋で調理したものです」
「ア、アイアンスコーピオンの鍋だと!?」
「アイアンスコーピオンと言えば、武器や防具に使われて然るべき上級素材……」
「それを鍋に使うなんて聞いたことがないぞ……?」
「甲殻類の殻は多くの旨味を含んでいます。魔物も例外ではありません。旨味の塊が調理器具自体に付与されているため、煮出すだけで味が染み出すのです」
「なるほど! これはたまげた! 早速余も一つ注文しよう!」
――わ、私も……
――私もその鍋欲しい……
――どこに行けば作ってもらえるか教えてもらえるだろうか……?
そんな声が聞こえてくる。
もう完全にやられている感じだが、まだまだ俺の料理は止まらない。
さあ次だ。
「次はサラダです。こちらは前菜のサラダとは違う卵ベースのサラダ。ペッパーを軽く降りかけてお召し上がりを」
「むぉっ!? これは何だ!? 豆……いや、種か!? まるで旨味そのものを食しているようだが一体何の種を……」
「花蝙蝠の種です。顔いっぱいに実った種を炒って卵と混ぜたものです」
「うおおおぉぉぉっ! 美味い! 手が、手がとまらぬううぅぅぅっ!」
「こ、この私が、貴族たる私が……こんな、こんなゲテモノ料理に!」
「魔物が気持ち悪いとか思っていた私がバカみたいに思えてきたぞ! もっと、もっといただけないだろうか!?」
「ご満足されているようで何より。料理人として心から喜びに打ち震えております。では続けて魚料理を。クラーケンフリッターです。食べやすい大きさに切ってあります。こちらのソースをかけてお召し上がりを」
「くぅっ! 噛めば噛むほど強烈な旨味がっ!」
「これは……これは酒が欲しくなるぞ! ええい! 誰かワインを!」
「次はソルベといきましょう。スライムゼリーのシャーペットです。オレンジ、レモン、ストロベリー、メロン、そしてワイン。5種類の味をお楽しみください」
「うああああぁぁぁっ! 美味い! 美味い! 美味すぎるううぅぅぅっ!」
「私の中の価値観が! 食べ物に関しての常識が! 音を立てて壊れていくううぅぅっ!」
そうだろうな。
だってそのつもりで料理したんだから。
「さあ、ご満足いただいている途中ですが、いよいよメインディッシュです! オークベアのカレーライス……トロトロになるまで煮込まれたスライム加工済みの野菜類と、オークベアの中でも特に旨味の強いサーロイン部分に掌部分。それらがスパイスで奏でる極上の肉料理……ライスにかけてお召し上がりください」
「い、今まで以上に美味そうな香りが漂うこの料理は……?」
「し、しかしこの色は何とも……完全にアレの色ではないですか!」
「こ、これをライスにかけて食えと? 今までのは美味かったが、これは……」
「すまん、カイトよ。お代わりをもらえないだろうか?」
「王!?」
「食べ終わるのが速すぎる!?」
「口の周りをあんなに汚してまで……もしかして今まで以上にこれは美味いのでは?」
「申し訳ありません。この料理はお一人様一杯分しかないのです。何せ材料がギリギリだったもので」
「そうか………………親愛なる臣下たちよ。余からの頼みなのだが、その方らのカレーライス、食べぬと言うのならもらえないだろうか?」
「え、えーと……」
「た、食べるのでどうかご遠慮していただければと……」
「譲ってくれた者には金貨10枚を払うと言ってもダメか?」
「おい、聞いたか?」
「ああ、あの厳格で公正なる王が、ただ自分がもっと食いたいからという理由で金貨10枚を払うだと……?」
「一体どんだけ美味いんんだこれは…………っておい!? 大丈夫か!? しっかりしろ!」
戸惑う騎士たちの中、とうとう倒れる者まで出始めたらしい。
近くの騎士が抱き起こし、容体を確認する。
「魂が抜けかけているぞ! どうしたんだ!?」
「う、美味すぎる……死ぬほど美味い…………この世のものとは思えんほどの天国そのものの味だ……」
「舌が、舌が美味さで溶けた……全身がもうお花畑だ……我が生涯に、一片の悔いなし……」
「そ、それほどまでに……?」
「このアレに似た見た目の茶色い料理が……?」
「うがああああぁぁぁぁぁっ! 何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれは何だこれはああああぁぁぁっ!?」
「大臣殿まで……ちょっと一口いただいても?」
「断る! 貴殿の分はまだあるであろう! 少しでも手を付けてみろ! 冤罪でっち上げて牢屋に放り込みますぞ!」
とうとう各地で醜い争いが始まった。
やはり人も野生の動物。
美味い物を食いたいと言う本能には逆らえない。
どんなに権力で着飾ろうとも、遺伝子に刻まれた欲求には勝てないのだ。
「皆さん盛り上がっているところで恐縮ですが、そろそろ最後のデザートと参りましょう。デザートはクッキーです。冷やしたミルクと一緒にどうぞ」
「あ、ボクの大好きなやつ!」
「ミミックバタークッキーだっけ? これ美味しいんだよねー♪」
「ミミック!? その方たち、ミミックも食したのか?」
「この一見何の変哲もないクッキーにどうミミックを……?」
「その辺気になる方は、後でこの城の料理人たちに聞いてください。まあでも、多分再現するのは難しいと思いますよ?」
この場にいる全員の目の色が変わった。
この食事会終了後、間違いなく料理人たちに質問が殺到するだろう。
作り方はわかっても、ミミックの死体?がなければ再現なんてできないがな。
「このクッキーも美味い! サクサク食感の上、普通の物とは段違いだ!」
「ミミックをどう使うんだ!? あんな危険生物をどうやって!?」
「わからん! 何一つわからん! 理解できん! だが…………」
「「「「「とてつもなく美味い! 美味すぎるうううううぅぅぅっ! うおおおおぉぉぉぉっ!」」」」」
……
…………
………………
そして、全てが破壊された。
粉々になった価値観の山の中、最初に口を開いたのは王様だった。
「カイト、見事であった……そちの振る舞ってくれた料理、この世の物とは思えないほど、本当に美味かったぞ」
「ありがとうございます」
「このような極上の料理を味わわせてくれた礼をしたい。金だろうが政策だろうが、困ったときは何でも相談するがいい。余の持てる力全てを持って最大限の協力を約束しよう…………ただ」
「ただ?」
「その時は、その、報酬としてだな……またカレーライスを食わせてもらえないだろうか? 今度は一杯だけではなく、腹いっぱい」
恥ずかしそうに提案する王様が面白くて、笑いを堪えるのに少々てこずった。
この王様……どんだけカレーが気に入ったんだよ?
「わかりました。その時は今回のオークベアのカレーだけでなく、他のカレーも用意してから相談することにします」
「何!? 他のカレーも存在するのか!? くっ……余は、余は今までこの国の王たるべく、己の欲望を抑え、高潔かつ公平であろうと努めてきた。だがしかし! カレーは、カレーのあの味だけはどうにも抑えられん! 他にもカレーがあると知ってしまったら……公務を放り投げてでも食べに行ってしまいそうだ!」
止めてください。
国民が困ります。
「ぬぅ……どうにかして毎日アレを食す方法はないものだろうか……?」
「王よ、そろそろ……お気持ちはわかりますが」
「う、うむ、そうであったな。カイト、ミーナ、セシルよ。大儀であった。これからもその力、我が国のために使ってくれ!」
こうしてこの世界に来てから俺にとっての最大の戦いは幕を閉じた。
この晩餐から半年も経たないうちに、マトファミア国内では魔物の素材ではなく、肉が高額で取引されるようになるのだが、それはまた別の話。
「領主か……まさか貴族になるとはなあ」
「何よ? 怖いの? ちょっと震えてるけど」
「そりゃ怖いって。欲望に負けて結局引き受けたけどさあ」
俺の判断一つで他人の人生が狂うんだぜ?
そんな責任いきなり負わされてみろ。
めちゃくちゃ怖くないか?
「俺の領民になる人たちを、きちんと幸せにしてやれるかなって考えるだけで震えてくる」
「できるわよ、あんたなら。だから、そんなにビビらなくてもいいんじゃない?」
すごく適当そうにミーナが言う。
自分じゃないからって気楽に言ってくれるなあ……。
「少なくとも、あんたはあたしを幸せにしてくれたじゃん。戦争孤児で、ソロ冒険者で、明日のことなんて考えないで生きてたあたしを、幸せにしてくれたじゃん」
「えぇ? 俺そんなことした?」
「したよ、料理で。あんたの作る飯は最高に美味い。最初に冒険したあたしが保証する。政策とか統治とか、難しいことはわからないけどさ……美味い飯が食えるって、それだけで幸せなんじゃない?」
ああ、そうだな。その通りだ。
美味い飯が食える。
それだけで人は幸せになれる生き物だ。
そのことに関して、俺は絶対の自信がある。
この世界に来て、それはもはや確信に近いものになった。
「他の誰にもまねできない、カイトだけのやり方で幸せにしてやればいいのよ。あんまり気負わず、思うようにやってみたら?」
「そうだな。お前にそう言われて勇気がわいてきたよ。好きなようにやってみるか」
今日作った料理も、まだまだ俺にとっての始まりにすぎない。
新しい土地で出会う食材、そしてそれによって出会える新しい料理とその味――、
今から楽しみで仕方なくなってきたぜ。
「好きなようにやってダメなら、その時はあたしを頼んなさいよ?」
「え? お前一緒に来るの? 豪邸もらうんじゃないの?」
「もらうわよ? あんたの赴任先でね」
王様にもう希望を提出したとのこと。
「そっか、一緒に来てくれるのか」
「何よ? 不満?」
「いや、この上なく心強いよ……ありがとう」
「ふぇ!? ……………………そんなふうに返されるなんて思わなかったわ」
「たまには、素直になってみようと思ったんだよ」
「え……? えぇっ!? ちょ、ちょっと!? 素直って何!? どういう意味!? 教えてよ!」
「たまにはって言ったろ? 意味は自分で考えてくれ」
俺の不意打ちにミーナは目を白黒させた。
そんなやり取りをしながら、俺たちを乗せた馬車は進んでゆく。
この異世界における、俺が進むべき道を――
仲間とともに進む道を――
新しい出会いと結末を目指し、俺の料理の終点を目指し。
ゆっくり、相棒とともに――。
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《あとがき》
一章、冒険者編終了です。
料理人にとっての戦は料理です。
本当の意味でのラストバトルを描き切ったので満足。
次回より新章――貴族編が始まります。
二章以降も読んでいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
《旧Twitter》
https://twitter.com/USouhei
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