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第1章 冒険者編
第12話 Only Light STAFF(中編)
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《魔物使い》――それは魔物と心を通わせ使役することのできる唯一の職業。
波長の合う種族の魔物と心を通じ合わせ、絆を育み、ともに成長する。
大抵の魔物使いは主に中&大型の魔物――もしくは何かしらに特化した能力を持つ魔物と絆を結び、戦闘に冒険に日常に、様々な場面で仲間をサポートするオールラウンダー。
俺が読んだ本にはそう書かれていた。
「あの、私が使役する魔物はスライムですよ? 最弱と呼ばれる……」
「それがいいんじゃないか」
「えぇ……? ほ、他の魔物使いの方々みたいに、魔物を乗せて移動できませんし、大荷物も持たせることもできませんよ?」
「そんなものはハナから期待していない」
じゃあ何を?――とでも言いたそうな顔でクレアは俺を見ている。
あそこでは騒ぎになるからと、半ば強引に俺の店に引っ張ってきたので、表情にはどこか恐れが見える。
怯えさせてしまい申し訳ない。
「クレア、俺がきみに求めるものはスライムへの知識と絆の大きさだよ。それ以外には何一つとして望んでいない」
「そ、それならば誰にも負けない自信はありますけど……何でそんなものを?」
「そうだな……それを説明する前にいくつか確認を取りたい」
「な、なんですか?」
「きみにとってそこのスライム――スーちゃんだっけ? この子はどんな存在だ?」
「か、家族であり唯一の友達です」
「それ以外のスライムは?」
「特に何も……わ、私はスーちゃんだから家族であり友達と思っているのであって、それ以外のスライムは他の方々と同じ程度にしか……」
なるほど、いいぞ。
他のスライムも家族や友達とか言われたらどうしようかと思ったぜ。
「質問その2、スーちゃんというかスライムについての知識だ」
俺も簡単な知識ならば、食客の特性ですでに理解してはいる。
だけど、それが全てというわけじゃない。
倒し方や弱点、動きなどではなく、生態の知識が俺は欲しい。
「スライムって痛みは感じるのか?」
「いえ、スライムにはそういったものはありません」
「なるほど。スライムって雑食性だけど、本当に何でも食べるのか?」
「はい、好みはありますけど何でも食べますよ。ただ、ゴミとかは食べれるけど不味いらしくて緊急時以外は食べようとはしません」
そうか、ゴミはまず食べないのか。
もし食べるなら日常生活でめちゃめちゃ活躍しそうなだけに、スライムの魔物使いがいないというのも納得できる。
「質問その3、俺、巨大なスライムと戦ったことあるんだけど、あそこまでどうやって成長するんだ?」
「たくさん栄養を取る――ですね。スライムは不定形の魔物なので、とった栄養の体積がそのまま体の大きさに直結します。一番効率がいいのは同族を食べることみたいです。そうだよね? スーちゃん?」
「ピィ!」
ほう? ってことは食わせれば食わせるだけ大きくなるってことか。
もしも彼女を雇うことができれば、スライムについての保存は一切考えなくてよくなる。
食えば食うほどデカくなるなら、いつでも新鮮なゼリーを無限に提供できるぞ!
無限袋のある俺以外に、新鮮な食材を確実に確保できるというメリットがとてつもなくデカい。
彼女がスライムをデカくしている間、俺は別の作業をこなせるようになる。
「あの、質問は以上でしょうか……?」
「ああ、うん、ありがとう。今の答えを聞いて、ますます俺はきみが欲しくなったよ」
「今の話でどうしてそう思ったのかはわかりませんけど……あの、いいんですか? そんなこと言って」
「何で?」
「さっきから、その、彼女さんがものすごい目でこちらをにらんでいるんですけど……」
そう言った彼女がちらりと見た先には、たしかに不機嫌そうなミーナの顔があった。
まるで親の仇を見るような目で俺を見ている。
何で?
「フォ、フォローしたほうがよろしいのでは?」
「フォローも何も、俺とミーナはただの冒険者仲間、もしくは店主と常連客の関係だしなあ。フォローも何も……」
「そ、そうだとしても絶対何か言ってあげた方がいいですって! 私なら謝ります! ごめんなさいって! 例え私が悪くなくても、そうすればとりあえず場は収まります! 大体!」
大体かよ。
自分が悪くないのに謝るとか、あまりしないほうがいいんだけどな。
悪い奴はそこに付け込んで、さらなる要求を通そうとするから。
「クレア、きみの意識改革はそのうちするとして……まあちょっと話してみよう」
「が、頑張ってください! 先に謝るのがオススメですよ!」
いや、謝らんから。
とりあえず俺はテーブル席を離れ、カウンターで不機嫌そうにしているミーナの隣に座る。
「ミーナ」
「……何よ? あたしなんか放っておいて新人の子とイチャイチャすればいいんじゃないの?」
「イチャイチャって……あれをどう見たらそう見えるんだ? どっからどう見てもスカウトだろ」
「どうだか? 野暮ったい恰好しているけど、あの子結構かわいいじゃん」
ミーナの言う通り、クレアは結構かわいかった。
ボロボロのローブとボサボサの赤髪で隠れてはいるが、メカクレ状態の下の顔は人形のように整っている。
背も低目だからちっちゃかわいくて庇護欲を掻き立てられる。
あと、そんな体型なのに胸だけはしっかりと大人だった。
ローブの上からでもわかるので、ぶっちゃけミーナより大きい。
「カイトはああいう子が好みなんだなー、ふーん」
「好みと言えば好みだけど、どっちかと言えば俺はお前の方がストライクなんだが」
「にしてはあたしとあの子で態度違うじゃん。初対面の時からわりと適当だったしさあ」
「だってそれは――」
「それは?」
「あの子が今の俺にとって絶対に必要な存在だからだよ。お前と違って。っていうかお前何でまだいるの? 店は閉店時間だぞ? あまりにも自然についてきたから言わなかったけど、仕事と関係ないのに何でついてきて――」
「~~~~~~~~っ! カイトのバカッ! 死ね!」
――バキッ!
――ズシャアアアァァァッ!
お、おごごご……。
中衛職の斥候なのにものすごく痛いじゃねーか!
わりと一緒に冒険するから、しっかりレベルが上がっていやがる……。
「帰る! じゃあね!」
「お、おう……また明日」
肩をいからせ、ミーナは店から出て行った。
またのお越しを。
「あの、いいんですか? 追いかけなくても」
「いいのいいの。別に俺たち付き合っているわけじゃないし。明日もどうせ来るだろうから、飯の一杯でも奢れば機嫌治るよ」
「は、はぁ……?」
「そんなことより今はきみのことだ。クレア、今俺はものすごくピンチに陥ってるんだけど、同時に大逆転するための秘策もある。その秘策を実行するためには絶対にきみが必要不可欠なんだ。スライムと絆を結んでいるきみが」
「わ、私が? こんな役立たずの?」
「役立たず? そんなのはきみの本当の価値に気づけない間抜けの戯言だ。好きに言わせておけばいい」
俺はこの子の本当の価値に気づいている。
今は見向きもされていないが、気づいた時にはもう遅い。
絶対に、俺はこの子を逃す気はない。
「クレア、仕事の話といこう。もしもきみが俺と専属のパーティ契約を結んでくれるなら、日給で銀貨10枚出そう」
「銀貨10枚!? あの、冗談ですよね? そ、それにパーティ契約ってお金が発生するものなんですか?」
「あー、どうだろう? 俺も誘われるままに参加しているからその辺の事はよくわからない。でもまあ、そういうパーティ契約があってもいいんじゃないか?」
俺が欲しているのは、あくまで店舗経営のための実務能力。
なので、雇用契約みたいな感じにした方がいいと思ったのだ。
「もちろん、仕事の出来に応じて報酬は上乗せするし、きみの成長に応じて昇給だってする。だから頼む! どうか俺と組んで欲しい!」
俺は、どうしてもきみの力が必要なんだ!
いつか帰る方法を探すための、その生活基盤を固めるために!
「……わかりました」
「!」
「カイトさんが私なんかにどんな価値を見出したのかはわかりませんけど、助けてもらった恩もあります。私なんかでよかったら一緒に組んでください!」
「あ、ありがとう!」
よっしゃあああぁぁぁぁっ!
必要不可欠な人材ゲットオオオォォォッ!
さっそくギルマスに連絡しないと!
『あ、もしもし? 俺です』
無限袋から連絡石を取り出し、速攻でギルマスに連絡した。
『例の件ですけど……ええ、いけそうですよ。とりあえず数日間は色々試して――え? 見学したい? あんた書類仕事あるじゃないっすか。現役復帰したからたまりやすくなったってマールさんぼやいてましたよ?』
「あ、あのう……誰に連絡を取っているんですか?」
「冒険者ギルドのギルドマスター」
「何でそんな人に!? カイトさんっていったい何者なんですか!?」
「ただの料理人兼冒険者だよ」
ちょっと普通じゃないけどな。
「ギルマスに話したところ、向こうもものすごい期待していたよ。頑張ろうな、クレア!」
「き、期待が重すぎてプレッシャーがすごい……」
「大丈夫だって、いけるって。っていうか絶対にきみ以外できないんだって」
「わ、私に何をさせようと?」
「地域事業の一環。たぶんそのうち国家規模に発展する」
「ギャアアアアァァァッ!? え、Fランクなのに……冒険者初日なのに……何で……(ガクッ)」
「ピィーッ!?」
「あ、気絶した」
あまりのプレッシャーに耐え切れなかったのか、クレアは気絶してしまった。
スーちゃんがペシペシ叩いてはいるけど、全く反応を示さない。
ちょっと気弱すぎないかこの子?
「まあ、その辺はおいおい鍛えて行けばいいか」
自分の価値に自信を持てれば、このようなことは起きなくなるだろ。
「さて、スーちゃん」
「ピ?」
「クレアもだけど、きみにも期待しているよ?」
「……ピッ!」
「おお、敬礼なんてできるのか。すごいなお前! 実にやる気があって結構」
こうして俺はこの世界初の、専属パーティメンバーを加えた。
気弱な主と、それを支える魔物の従者。
彼女らの成長には大いに期待したいと思う。
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《あとがき》
新ヒロインのクレアは冒険者向きの性格ではありません。
でもこれから徐々に周りに影響されて変わっていきます。
お楽しみください。
《旧Twitter》
https://twitter.com/USouhei
波長の合う種族の魔物と心を通じ合わせ、絆を育み、ともに成長する。
大抵の魔物使いは主に中&大型の魔物――もしくは何かしらに特化した能力を持つ魔物と絆を結び、戦闘に冒険に日常に、様々な場面で仲間をサポートするオールラウンダー。
俺が読んだ本にはそう書かれていた。
「あの、私が使役する魔物はスライムですよ? 最弱と呼ばれる……」
「それがいいんじゃないか」
「えぇ……? ほ、他の魔物使いの方々みたいに、魔物を乗せて移動できませんし、大荷物も持たせることもできませんよ?」
「そんなものはハナから期待していない」
じゃあ何を?――とでも言いたそうな顔でクレアは俺を見ている。
あそこでは騒ぎになるからと、半ば強引に俺の店に引っ張ってきたので、表情にはどこか恐れが見える。
怯えさせてしまい申し訳ない。
「クレア、俺がきみに求めるものはスライムへの知識と絆の大きさだよ。それ以外には何一つとして望んでいない」
「そ、それならば誰にも負けない自信はありますけど……何でそんなものを?」
「そうだな……それを説明する前にいくつか確認を取りたい」
「な、なんですか?」
「きみにとってそこのスライム――スーちゃんだっけ? この子はどんな存在だ?」
「か、家族であり唯一の友達です」
「それ以外のスライムは?」
「特に何も……わ、私はスーちゃんだから家族であり友達と思っているのであって、それ以外のスライムは他の方々と同じ程度にしか……」
なるほど、いいぞ。
他のスライムも家族や友達とか言われたらどうしようかと思ったぜ。
「質問その2、スーちゃんというかスライムについての知識だ」
俺も簡単な知識ならば、食客の特性ですでに理解してはいる。
だけど、それが全てというわけじゃない。
倒し方や弱点、動きなどではなく、生態の知識が俺は欲しい。
「スライムって痛みは感じるのか?」
「いえ、スライムにはそういったものはありません」
「なるほど。スライムって雑食性だけど、本当に何でも食べるのか?」
「はい、好みはありますけど何でも食べますよ。ただ、ゴミとかは食べれるけど不味いらしくて緊急時以外は食べようとはしません」
そうか、ゴミはまず食べないのか。
もし食べるなら日常生活でめちゃめちゃ活躍しそうなだけに、スライムの魔物使いがいないというのも納得できる。
「質問その3、俺、巨大なスライムと戦ったことあるんだけど、あそこまでどうやって成長するんだ?」
「たくさん栄養を取る――ですね。スライムは不定形の魔物なので、とった栄養の体積がそのまま体の大きさに直結します。一番効率がいいのは同族を食べることみたいです。そうだよね? スーちゃん?」
「ピィ!」
ほう? ってことは食わせれば食わせるだけ大きくなるってことか。
もしも彼女を雇うことができれば、スライムについての保存は一切考えなくてよくなる。
食えば食うほどデカくなるなら、いつでも新鮮なゼリーを無限に提供できるぞ!
無限袋のある俺以外に、新鮮な食材を確実に確保できるというメリットがとてつもなくデカい。
彼女がスライムをデカくしている間、俺は別の作業をこなせるようになる。
「あの、質問は以上でしょうか……?」
「ああ、うん、ありがとう。今の答えを聞いて、ますます俺はきみが欲しくなったよ」
「今の話でどうしてそう思ったのかはわかりませんけど……あの、いいんですか? そんなこと言って」
「何で?」
「さっきから、その、彼女さんがものすごい目でこちらをにらんでいるんですけど……」
そう言った彼女がちらりと見た先には、たしかに不機嫌そうなミーナの顔があった。
まるで親の仇を見るような目で俺を見ている。
何で?
「フォ、フォローしたほうがよろしいのでは?」
「フォローも何も、俺とミーナはただの冒険者仲間、もしくは店主と常連客の関係だしなあ。フォローも何も……」
「そ、そうだとしても絶対何か言ってあげた方がいいですって! 私なら謝ります! ごめんなさいって! 例え私が悪くなくても、そうすればとりあえず場は収まります! 大体!」
大体かよ。
自分が悪くないのに謝るとか、あまりしないほうがいいんだけどな。
悪い奴はそこに付け込んで、さらなる要求を通そうとするから。
「クレア、きみの意識改革はそのうちするとして……まあちょっと話してみよう」
「が、頑張ってください! 先に謝るのがオススメですよ!」
いや、謝らんから。
とりあえず俺はテーブル席を離れ、カウンターで不機嫌そうにしているミーナの隣に座る。
「ミーナ」
「……何よ? あたしなんか放っておいて新人の子とイチャイチャすればいいんじゃないの?」
「イチャイチャって……あれをどう見たらそう見えるんだ? どっからどう見てもスカウトだろ」
「どうだか? 野暮ったい恰好しているけど、あの子結構かわいいじゃん」
ミーナの言う通り、クレアは結構かわいかった。
ボロボロのローブとボサボサの赤髪で隠れてはいるが、メカクレ状態の下の顔は人形のように整っている。
背も低目だからちっちゃかわいくて庇護欲を掻き立てられる。
あと、そんな体型なのに胸だけはしっかりと大人だった。
ローブの上からでもわかるので、ぶっちゃけミーナより大きい。
「カイトはああいう子が好みなんだなー、ふーん」
「好みと言えば好みだけど、どっちかと言えば俺はお前の方がストライクなんだが」
「にしてはあたしとあの子で態度違うじゃん。初対面の時からわりと適当だったしさあ」
「だってそれは――」
「それは?」
「あの子が今の俺にとって絶対に必要な存在だからだよ。お前と違って。っていうかお前何でまだいるの? 店は閉店時間だぞ? あまりにも自然についてきたから言わなかったけど、仕事と関係ないのに何でついてきて――」
「~~~~~~~~っ! カイトのバカッ! 死ね!」
――バキッ!
――ズシャアアアァァァッ!
お、おごごご……。
中衛職の斥候なのにものすごく痛いじゃねーか!
わりと一緒に冒険するから、しっかりレベルが上がっていやがる……。
「帰る! じゃあね!」
「お、おう……また明日」
肩をいからせ、ミーナは店から出て行った。
またのお越しを。
「あの、いいんですか? 追いかけなくても」
「いいのいいの。別に俺たち付き合っているわけじゃないし。明日もどうせ来るだろうから、飯の一杯でも奢れば機嫌治るよ」
「は、はぁ……?」
「そんなことより今はきみのことだ。クレア、今俺はものすごくピンチに陥ってるんだけど、同時に大逆転するための秘策もある。その秘策を実行するためには絶対にきみが必要不可欠なんだ。スライムと絆を結んでいるきみが」
「わ、私が? こんな役立たずの?」
「役立たず? そんなのはきみの本当の価値に気づけない間抜けの戯言だ。好きに言わせておけばいい」
俺はこの子の本当の価値に気づいている。
今は見向きもされていないが、気づいた時にはもう遅い。
絶対に、俺はこの子を逃す気はない。
「クレア、仕事の話といこう。もしもきみが俺と専属のパーティ契約を結んでくれるなら、日給で銀貨10枚出そう」
「銀貨10枚!? あの、冗談ですよね? そ、それにパーティ契約ってお金が発生するものなんですか?」
「あー、どうだろう? 俺も誘われるままに参加しているからその辺の事はよくわからない。でもまあ、そういうパーティ契約があってもいいんじゃないか?」
俺が欲しているのは、あくまで店舗経営のための実務能力。
なので、雇用契約みたいな感じにした方がいいと思ったのだ。
「もちろん、仕事の出来に応じて報酬は上乗せするし、きみの成長に応じて昇給だってする。だから頼む! どうか俺と組んで欲しい!」
俺は、どうしてもきみの力が必要なんだ!
いつか帰る方法を探すための、その生活基盤を固めるために!
「……わかりました」
「!」
「カイトさんが私なんかにどんな価値を見出したのかはわかりませんけど、助けてもらった恩もあります。私なんかでよかったら一緒に組んでください!」
「あ、ありがとう!」
よっしゃあああぁぁぁぁっ!
必要不可欠な人材ゲットオオオォォォッ!
さっそくギルマスに連絡しないと!
『あ、もしもし? 俺です』
無限袋から連絡石を取り出し、速攻でギルマスに連絡した。
『例の件ですけど……ええ、いけそうですよ。とりあえず数日間は色々試して――え? 見学したい? あんた書類仕事あるじゃないっすか。現役復帰したからたまりやすくなったってマールさんぼやいてましたよ?』
「あ、あのう……誰に連絡を取っているんですか?」
「冒険者ギルドのギルドマスター」
「何でそんな人に!? カイトさんっていったい何者なんですか!?」
「ただの料理人兼冒険者だよ」
ちょっと普通じゃないけどな。
「ギルマスに話したところ、向こうもものすごい期待していたよ。頑張ろうな、クレア!」
「き、期待が重すぎてプレッシャーがすごい……」
「大丈夫だって、いけるって。っていうか絶対にきみ以外できないんだって」
「わ、私に何をさせようと?」
「地域事業の一環。たぶんそのうち国家規模に発展する」
「ギャアアアアァァァッ!? え、Fランクなのに……冒険者初日なのに……何で……(ガクッ)」
「ピィーッ!?」
「あ、気絶した」
あまりのプレッシャーに耐え切れなかったのか、クレアは気絶してしまった。
スーちゃんがペシペシ叩いてはいるけど、全く反応を示さない。
ちょっと気弱すぎないかこの子?
「まあ、その辺はおいおい鍛えて行けばいいか」
自分の価値に自信を持てれば、このようなことは起きなくなるだろ。
「さて、スーちゃん」
「ピ?」
「クレアもだけど、きみにも期待しているよ?」
「……ピッ!」
「おお、敬礼なんてできるのか。すごいなお前! 実にやる気があって結構」
こうして俺はこの世界初の、専属パーティメンバーを加えた。
気弱な主と、それを支える魔物の従者。
彼女らの成長には大いに期待したいと思う。
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《あとがき》
新ヒロインのクレアは冒険者向きの性格ではありません。
でもこれから徐々に周りに影響されて変わっていきます。
お楽しみください。
《旧Twitter》
https://twitter.com/USouhei
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