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たまには?出張

スルー出来ない?

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『ありがとね~』

 めちゃ軽い文面。さっきの腕だけの人かな。まあ、神様だから女神様かな。
 もう一回『ピロン♪』と神フォンが鳴った。

『お疲れさまでした。後はこちらで片づけます』

  片づけます、の一言がやけに怖いんですけど月読様。
 白狐の事情は知らないが、お社の人が出てきた時点で、かなりヤラかしているのではないかと思う。
 まあ俺らには関係ないかな─────。

 「よし、暗くなるし撤収!」

「「「 はーい 」」」

 もう日が暮れて暗くなる。陽があるうちに片付いて何よりだ、太陽から差す光コレ大事。
 しれッと撤収指示を出した先生。 よっしゃ帰るべ~帰るべ~と移動を開始した私たちに、メガネの人から待ったがかかった。
 彼らをほったらかしのスルーで帰ろうかと思ったが、やっぱりそうはいかなかった。
 フローラルな香りに包まれ、まかり間違えば箒でぶっ叩かれていたかもしれない彼は、本来の実力を取り戻したのか、残っていた残照をきれいに集め、印を踏み狙っているだろう方角にその塊を飛ばした。
 
 ─────仕返ししたんだろうね、たぶん。怖い怖い
 俺等?んなことやんないよ~それめっちゃ細かい繊細な作業だから、先生筆頭に俺等言い方かえれば大雑把なんであんな綺麗で、細かいのは無理なのである。はい、俺含めみんな雑なんです。なので
  
「「「「 ほぉぉ~~ぉ~‥‥‥‥ 」」」」

 プロという人のお仕事を、全員社会見学気分で眺めていました。

「七瀬さん旨いねコレっ!」
「‥‥香りがいい、そして旨味が違う。コレが値段の差か」

 俺達はビルの一階にある普段は絶対入れない、高そーな内装の喫茶店に入れられた。
 七瀬さんが、ここは俺等では絶対入れないハイソなケーキ店の本店って教えてもらった。ナニソレ嬉しい。一気に俺のテンションが爆上がりした。なんでも好きに頼んでくださって結構です。眼鏡さんの部下(?)の人にそう言われので───数は?って聞いたら苦笑いしながら、好きなだけどうぞといわれた。

 制服姿の俺達は悪目立ちしすぎてチョイチョイ視線を感じるが、気にしたらダメさ。
 眼鏡さんが絶対待っててくださいね、絶対ですよと念を押しながら、匂いでフラフラになった彼を連れて行った。
 さすがに匂いが服についてしまったので、二人とも服をに着替えに行ったのだ。ちゃんと用意してあるとか大人ですな~。
 七瀬さんは二人を見送りながら、ニヨニヨしていた。手に持ってるスマホは何かな?盗撮はダメだよ。と声をかけようとしたら「ご案内します」とやけにパリっとした案内役の人がやってきたのだ。

「さっきの女神様。俺、速すぎて腕しか見えなかったけど」
「あのお社、お稲荷さんだったから荼枳尼天様じゃない?」
「何したんだろうな~あの狐」
「何にしたって無事じゃすまない?あの感じだと」
「ご愁傷様」

「それにしてもあの男の人、『返した』よね?」
「俺等には出来ない技だよね~────え?委員長できるの?」

 チロンと無言で視線を向けられたので、ケーキのフォーク片手に指摘すると、フォークを向けるんじゃないと怒られた。───うん、ゴメン。

「出来ないわけじゃないけど、あんまりやらないし。必要ないよな」
「まあ、俺等って物理だもんな」

「この間八乙女君、呪われそうになって、バットで打ち返してたわよ」
「さずか野球部」

「お待たせしました。では皆様お送りしますので、あれ?先生がみえませんね」
「あ、眼鏡さん。ケーキおいしかったです」
「それはよかったですが、私は星崎です」
「そうでした。すいません星崎さん」

 そうだったこの人星崎って人だった。名刺見たのに今更感

「先生は今、お手洗いですよ」
「田中君、どうせならパウダールームで。すごく豪華だったから、じっくり使うって」

 へ~~男の俺には解んない話ね。
 ─────あ、先生帰ってきた。

「あれ~~?綾香じゃ~~ん!こんなところで何してるの~~~?」

 突然、間延びした女の声が割り込んできた、とたん。

 ─────ぞんっ、と空気に圧がかかった。

 ヤベェ。何か知らんが魔王(先生)が降臨した。

~~~  ~~~  ~~~ ~~~ ~~~  
 

 ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。
 時間を割いてくださった事に感謝感激で、連続ローリングをかまします。

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