201 / 236
現実になる
しおりを挟む
「よいしょ~~♪」
「こらしょっと~」
ドーン ドドーン!!間の抜けた掛け声の後に、腹まで響く地響き。
「ほいっさ─────!!」
ドドン─────!バキバキバキバキ どどーんどどん
「あ 樹まで倒しちゃった。 ま、いいか。想定の範囲内、範囲内~」
聞こえてくる声と、体に響く振動の落差に、遠目から監視をしていた集団には心理的な不安がのし掛かる。
「お、おい‥‥‥‥」
「‥‥‥‥あれなんだよ」
「あんなの聞いてねぇよ‥‥‥‥」
正確には聞いていた。しかし、到底想像できる話ではなかったので、頭の中が理解していなかったというのが真実である。
「ひ、び、ビビるんじゃねぇよ。あ?あいつ等はどこ行った?」
「こっちも一人いねぇぞ」
森の浅い縁で、例のフェンリルを連れた人物を偵察していたが、今目の前で繰り広げられる光景に、声かけもせず離脱をかました者が数人出た。
「ま、まあいいさ。頭数が減りゃあ、その分取り分が増えるからな」
「そ、そりゃそうだが、大丈夫なのか‥‥‥‥」
圧倒的な力の差というものを見せつけられ、みな岩陰に隠れながれ絶対こっちに気付くんじゃねぇぞと息を殺し潜んでいるが、目の前の男は冷汗で顔がびっしゃびしゃの割りに、何故か自信があるらしい。
「コレを貰ったからな」
「それは領主が持ってた‥‥‥‥使えねぇ代物だと聞いたぜ?」
「使い方が悪いんだよ、ここを使うんだよ、ここを」
男は手に例の『丸石』持ちながら、己の頭を指さした。
一緒にいた男は、「マジか」と返事はしたが、腹の中では「コイツなんか匂わね?」と本能的に距離をおいた。
ドーンとおおよそ人一人では投げれないであろう石をぶん投げ続けるリオは、途中からなんだか楽しくなってきていた。「建築型ゲームを、リアルでやってる!」気分になっていたのだ。
「コレをこっちに積んで『20度ズレてます』‥‥‥‥もうちょいこっちか」
ただし、自由度は低い。
「ここはこれでいいから、シロ君上いこ、上」
周りをフンフンしていたシロ君に声をかけ、上流予定の場所を目指して『深淵の森』の奥地へ入っていく。
どこかの童話の設定に出てくるように、点々とパンではなく道すがら置かれている大岩を前に、腕を組んで考える。
「コレって、後どうするんだ‥‥‥‥?」
『細かく刻んで、積みましょうか』
頭の中に浮かぶは、元世界の計算され、綺麗に石積み整備された河川敷。
「いやいや、あれは技術と計算の塊でしょ?無理じゃん」
『 ‥‥‥‥森の中なんで‥‥‥‥それっぽいので』
さすがの『ナビ』ちゃんも、そこまでは求めなかった。
「使いにくいけど、コレ使うかぁ~」
別に壊れてもいいし。と例の無駄にキラキラ光るハンマーを、アイテムボックスから取り出した。
「無駄にいい素材使ってるんだから、ガンガン使ってもいけるよね?」
『魔力乗せても大丈夫です』
「それ、よく分らないから、これで─────ショイっ!!」
ばっか─────んと派手な音を響かせながら、大岩は粉砕され『ナビ』ちゃんの指示の元、河川敷っぽく積み上げられていく。
「コレちょっと楽しいかも」
長年憧れ?金集め?にされたハンマーは、誰一人見られることなく『深淵の森』の中で乱雑に扱われていた。
「こらしょっと~」
ドーン ドドーン!!間の抜けた掛け声の後に、腹まで響く地響き。
「ほいっさ─────!!」
ドドン─────!バキバキバキバキ どどーんどどん
「あ 樹まで倒しちゃった。 ま、いいか。想定の範囲内、範囲内~」
聞こえてくる声と、体に響く振動の落差に、遠目から監視をしていた集団には心理的な不安がのし掛かる。
「お、おい‥‥‥‥」
「‥‥‥‥あれなんだよ」
「あんなの聞いてねぇよ‥‥‥‥」
正確には聞いていた。しかし、到底想像できる話ではなかったので、頭の中が理解していなかったというのが真実である。
「ひ、び、ビビるんじゃねぇよ。あ?あいつ等はどこ行った?」
「こっちも一人いねぇぞ」
森の浅い縁で、例のフェンリルを連れた人物を偵察していたが、今目の前で繰り広げられる光景に、声かけもせず離脱をかました者が数人出た。
「ま、まあいいさ。頭数が減りゃあ、その分取り分が増えるからな」
「そ、そりゃそうだが、大丈夫なのか‥‥‥‥」
圧倒的な力の差というものを見せつけられ、みな岩陰に隠れながれ絶対こっちに気付くんじゃねぇぞと息を殺し潜んでいるが、目の前の男は冷汗で顔がびっしゃびしゃの割りに、何故か自信があるらしい。
「コレを貰ったからな」
「それは領主が持ってた‥‥‥‥使えねぇ代物だと聞いたぜ?」
「使い方が悪いんだよ、ここを使うんだよ、ここを」
男は手に例の『丸石』持ちながら、己の頭を指さした。
一緒にいた男は、「マジか」と返事はしたが、腹の中では「コイツなんか匂わね?」と本能的に距離をおいた。
ドーンとおおよそ人一人では投げれないであろう石をぶん投げ続けるリオは、途中からなんだか楽しくなってきていた。「建築型ゲームを、リアルでやってる!」気分になっていたのだ。
「コレをこっちに積んで『20度ズレてます』‥‥‥‥もうちょいこっちか」
ただし、自由度は低い。
「ここはこれでいいから、シロ君上いこ、上」
周りをフンフンしていたシロ君に声をかけ、上流予定の場所を目指して『深淵の森』の奥地へ入っていく。
どこかの童話の設定に出てくるように、点々とパンではなく道すがら置かれている大岩を前に、腕を組んで考える。
「コレって、後どうするんだ‥‥‥‥?」
『細かく刻んで、積みましょうか』
頭の中に浮かぶは、元世界の計算され、綺麗に石積み整備された河川敷。
「いやいや、あれは技術と計算の塊でしょ?無理じゃん」
『 ‥‥‥‥森の中なんで‥‥‥‥それっぽいので』
さすがの『ナビ』ちゃんも、そこまでは求めなかった。
「使いにくいけど、コレ使うかぁ~」
別に壊れてもいいし。と例の無駄にキラキラ光るハンマーを、アイテムボックスから取り出した。
「無駄にいい素材使ってるんだから、ガンガン使ってもいけるよね?」
『魔力乗せても大丈夫です』
「それ、よく分らないから、これで─────ショイっ!!」
ばっか─────んと派手な音を響かせながら、大岩は粉砕され『ナビ』ちゃんの指示の元、河川敷っぽく積み上げられていく。
「コレちょっと楽しいかも」
長年憧れ?金集め?にされたハンマーは、誰一人見られることなく『深淵の森』の中で乱雑に扱われていた。
152
お気に入りに追加
899
あなたにおすすめの小説
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
次は幸せな結婚が出来るかな?
キルア犬
ファンタジー
バレンド王国の第2王女に転生していた相川絵美は5歳の時に毒を盛られ、死にかけたことで前世を思い出した。
だが、、今度は良い男をついでに魔法の世界だから魔法もと考えたのだが、、、解放の日に鑑定した結果は使い勝手が良くない威力だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる