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いや、知らん

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「─────そんな事出来ないけど?」
 
 二人そろって何の話かなと思ったら、ピーちゃんに城へ行くよう指示を出せないか?だった。
 そもそも従魔にどう指示しているかなんて知らないし、ピーちゃんとは会話も成立しないから出来る気がしない。

「リオさん出来ないんですか?」

 何故かお姫さんから『意外』みたいな顔をされる。
 一応姫さんには、『一体何がどこにあるかわかりませんステータス表』を見せているから、わからんでもないが。

 ワンチャン『ナビ』ちゃんに聞いてみるという裏技があるが、会話が成立しない時点で自分には指示を出せるという事は出来ないと思う。というか、やり方を知らないや。

 そもそも初見の所に、会った事もない人物の元に行くという謎仕様。
 
「おっさんがピーちゃんに、どう指示したのかも知らないし」

「従魔と主の間には特別な絆があるらしいので、相手の情報を伝える技があるらしいのですが‥‥‥‥」

─────うむ、わからん。

『 一度行ったことのある場所なら、行けるのでは? この子は賢いですし、人が話す言葉は理解していますよ 』

 ピロっと小さく『ナビ』ちゃんの表示が飛んできた。
 ん~でもなぁ、理解しているかどうかなんて、主人じゃない人間側がわかるかなぁ~。 

「ワウ、ワウワウわふ ワフワフ (おい、使いに行ってほしいらしいぞ)」

 シロ君がピーちゃんに何やらヒソヒソ話しかけている。
 え、シロ君。ピーちゃんと会話できんの?
 対するピーちゃんは「ピーピャピャッピャ」と何やら返事をしている。
 うん、わかんない。

「ワウワウ、ワフワフわふ(男共は嫌?女の人の所ならいい?なんだそれは)」

 うん、なんだろうな。

「ピーちゃん向こうで誰に会ったかわかる?」

「王宮でですか?陛下の所へ行ったのは確かですが‥‥‥‥」

 おかしな質問に律儀にも報告書をパラパラめくって確認してくれる。

 結果、ピーちゃんは最初はおっさんの指示通りにたどり着いたらしいが、その後は、ほぼほぼおっさんの奥さんにべったりだったらしい。

「従魔は、強い人に惹かれる傾向がありますからね‥‥‥‥」
 
 相性の問題もあるらしいのだが、おっさんの奥さんは若かりし頃、それはそれはブイブイいわしたてらしい‥‥‥‥。

「あの人なら不思議じゃないわ‥‥‥‥」

「そうですね‥‥‥‥」

 フリートとラングは何を思い出しているのか、腕をさすりながら遠くを見ていた。

その後ピーちゃんに、「前に会った女の人の所に行けれる?」と試しに聞いてみたら、「ピュイピュイピュイ♪」と誰が聞いてもご機嫌な返事が返ってきた。

「解ってるみたいだな‥‥‥‥」
「正直、助かります‥‥‥‥」

「僕、実家用に報告書書きます~」

 バタバタと周りが慌ただしくなる中、ピーちゃんから「じ~~」と意味ありげな視線をもらった。

「ピーちゃん、リオさんに何か言いたそうですね。なんでしょう?」

「はは、これは解るかも」

 アイテムボックスからポテっと『桃ちゃん』を取り出すと、待ってました!とばかりに「じょ~じょ~」と甘えた声出して、ユラユラ体を揺らすおねだりが始まった。

 ─────うん、ちゃっかりしてるよね。 知ってた。
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