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ゴリゴリ満載

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「よっと─────。よしよし、お家は今日も平和そうね」

「何かあってたまるかっ」

 シロ君と再度やってまいりました『深淵の森』。
 本日のゲートは、お家側の岩にゴリゴリ宣言と共に書き記した、『転移陣』である。  
 ─────全ては三つ子ちゃんの成長をミリも逃さないが為。
 モフモフ天国を堪能する欲望を満たす為には、能力の無駄遣いと言われようが、そこに引くという文字は塵も微塵もない。

「お前、こんな所に『陣』描いてたのか」

「便利でしょ?これがあれば、いつでもお家の来れるってことよ~」

「‥‥‥‥『陣』の周りに書いてあるのは何だ?」

「これ?これは『ここは私の陣地だからね』って感じな事を書いてあるの~。まあ、署名みたいなもんかな?」

 目の前にある『陣』の周りに、これでもかとゴリゴリ描かれた存在感満載の『宣誓』。
 莉緒は大分端折ったが、そこには『私の聖域に入ってくんなよっ!ごらぁ!』的な事が掘り込んである。 ソレは莉緒の能力と欲望をふんだんに織り込んで、呪いの様な聖域を広範囲に発動させている事を、本人は微塵も気づいていなかった。 

 『陣』自体は白陽も見知ってはいたが、その周りに描かれた見慣れない模様の数々。
 異様な空気を醸し出すソレからは巨大な結界の様な力を感じたが、如何せん見た目がおどろおどろしい雰囲気を醸し出していたので、白陽としては知らない間に実家の塀に落書きされたような気分だった。 

「─────なんじゃお主ら。また来たのか」

 岩場の上からお母さんフェンリル事、ユキママが顔を覗かせた。

「あ、ママ。それがさぁ~」

 と言いながらも、ユキママの周りをキョロキョロ確認する事を怠らない。

「ま、ママ。み、三つ子ちゃん達は‥‥‥‥?」

「─────?子供達なら、あの男達と山を走っておるぞ。そろそろ帰ってくる頃じゃな」

「あ~~。アレをやってるんだ~」

 ユキママの「走ってる」に経験者の自分は、そんな遠い昔の事でもないのに懐かしい気分にさせられる。

「どこまで行かせたの?また、裏うらの山まで?」

『裏うらの山』とは自分が勝手に名付けたお山の名前だが、そこは息つく暇なく魔獣の襲撃が続くという、なかなかハードな障害物コースだ。
  ユキママのブートキャンプの時には、準備体操のようにあの山を周回させられたのだ。
 
「あほぅか。あの人間どもと子供達ではアソコは危険すぎる」

 ─────え、じゃあ私の時は何‥‥‥‥?

「まあ、お主たちとっては生ぬるかったろうがな─────ほれ、もう来るぞ」

 ユキママの視線の方角から、きゃいきゃいと甲高い鳴き声が聞こえてきた。

「きゃ─────い!(いっちば─────ん)」

「「きゃ─────い!!((にば─────ん))」」

  茂みの中から三つ子ちゃん達が、ぽぽぽっんと飛び出してきた。
 続くように疲労感満載のヨレヨレおっさんが姿を現し、少し遅れて一段とくたびれたアルヴァレスは到着するなり意識を飛ばした。

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 ようやくパソコンの調子が戻ってまいりました。
 ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。本当にありがとうございます。
 
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