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私のせいじゃないよ?

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「リオさんって『花使い』だったんですねっ!」

「違うからね!」

 あまりにの光景にフリーズしていたウィル少年が再起動すると、またとんでもない事を言い出した。
 私はそんな芸当は、持ち合わせておりませんので、あしからず。
 アイツら(?)が勝手に移動しただけです‥‥‥‥。

「‥‥‥‥花って勝手に移動するんだね」

「‥‥‥‥いえ、初めて見る光景です」

 そうなんだ‥‥‥‥。てっきりこの世界の常識の範囲内と思いたかったのに‥‥‥‥。   

「‥‥‥‥キノコは走ってたのにな」

「‥‥‥‥アレは、レアなキノコですので」

 ‥‥‥‥レアなキノコ‥‥‥‥。まあ向こうの世界でも、お高い扱いだからレアか。

「それにしても、あきらめの悪い『杖』ねぇ。さっさと諦めればいいのに」

 ─────そう、キラキラエフェクトを出して、この私をニチアサ主人公にしようとする『杖』をボコったら、今度はシクシクムード垂れ流し全開で湿っぽい‥‥‥‥。 

─────よしっスルーだな。

 という事で、ゴリゴリと『陣』の作成に取り掛かった。

  ジメジメやる気のないムードを垂れ流してはいるが、仕事はする気はあるらしい。
 ゴリゴリ地面にラインを引いていくと、描いた傍からチラチラと白銀のラインを描き出す。本体はシクシクモードだが、出来上がっていくラインは流石に綺麗だ。

「ここは‥‥‥‥こう‥‥‥‥で、え~と、こっから」

 ラインを書き足す度に、チラチラとエフェクトが立ち上り、この『杖』が普通でないことがわかる。─────さすが異世界仕様。ニチアサはいらんけどな。

「─────あれ?ここなんだったけ」

『 そこにはこのラインです 』

「ああ、そういうのか」

 初めて描く『陣』なので、ちょいちょい抜けてしまうが、そこは優秀な『ナビ』さんからダメ出しが入るので、問題なくゴリゴリ作成される。
 シロ君が私が何か失敗しないか、門番の様にフンフンしながら『杖』に付いて回っているので、ウィル少年からは、私がシロ君と会話をしているように見えるのだろう。
  
 シロ君は誉高きフェンリルなので、一緒にいる私とは意思疎通が出来ると思われている事は無問題。フェンリルは謎多き生き物らしいからね~。私はシロ君家族しか知らないけどね。
 
「─────よっと、こんなもんか」

 ─────『ナビ』のカンニングのごとく指示をもらいながら描き上げた『陣』は、キラキラエフェクトをユラユラ上げる、結構派手な円形の『陣』となった。

 ─────なんか思ってたのよりだいぶキラキラして派手だな‥‥‥‥。こういうものかな‥‥‥‥。 『ナビ』もOKを出してるし、いいのか。

「ウィル君。出来たから、姫さん呼んできてくれる?」

「─────ええ!?もう出来たんですか!」

─────え、出来たんですけど‥‥‥‥ダメかな。さくっと終わらせて、露天風呂に行きたい気分なんだが。
 普通は違うのと聞けば、準備に三時間ぐらいかけるのが定石らしい‥‥‥‥。正味三十分ぐらいしか、かかってない‥‥‥‥なんならそこまでかかってない‥‥‥‥。
 右手に握られた『杖』が勝手にユラユラ揺れている‥‥‥‥。

「きっと、この『杖』のせいでしょ!」

 ─────借物の『杖』のせいにした。 
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