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やめてあげてっ!

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「蜘蛛はいなくて、糸だけだったんですね。‥‥‥‥それはそれで怖いんですけど」

「まあまあ、綺麗に掃除したから」

 なんならそれで、過剰に家具とか壁を綺麗にしすぎたのを忘れてほしい。
 
「それにしてもアイツ。姫さんから強奪した『能力』?『魔力』?の使い方が、あのピンク頭と一緒で、草はえるwww」

「一緒って何がですか?」

「─────後で、教えてあげる」

 ─────むふっと笑う私に「聞きたくないかも‥‥‥‥」と一歩引く姫さん。
 なんでよ?一緒に草生やそうよ~

「─────そういえば二人とも、ここへ何しにきたの?」

  元気になったとはいえ、病み上がりには変わりない。復活した所に公然猥褻の襲撃があったのだから、着替えてお休みの予定だったはずなのだが‥‥‥‥。
 そう思っていると、姫さんとサラさんの目がクワっと見開き詰め寄ってきた─────怖いんですけど。

「新しいモフが現れたと聞きましたっ!」

「お目目クリクリのモフが、ウィル少年にくっついてましたッ!!」

「あ~~エゾモモンガ系でお目目クリクリで『きゅ』て鳴くのが可愛いのよね~」

「リオさんズルいですっ!何で知ってるんですかっ!」

 ‥‥‥‥いや、ウィル君にくっ付いているのを見ただけなんだけど。

「シロ君もいるのにずるいですっ!」

 いや何言ってんの君達‥‥‥‥。エゾモモンガちゃんは私の物ではないです。
  ちなみに君達、おっさんに冠羽ピコピコさせたピーちゃんは目に入らないのかな?同じようにモフ羽根を持っていて、見た目は結構カッコいいんと思うんだけど‥‥‥‥。
 やっぱり小さくてお目目クリクリの方が、女子受けいいのかな‥‥‥‥。なんかごめんな、ピーちゃん。「ぴゃ」なんか返事がきた‥‥‥‥。

「モモンガちゃんは私のじゃないよ?ウィル君に付いているのだからね?」

「「─────そうでしたっ!」」

 ─────ばっと振り向いた先にいたウィル少年。
 モモンガちゃんは「なにさわいでるんだろ~」と胸ポケットから頭だけ出して、きゅるるんとしたお目目で覗いていたが、突然向けられた圧にビビッてポケットからそそくさと逃げ出し、襟元から服の中に避難した。

「あ~隠れちゃった」

 君達、そんな顔で圧かけたら普通の人は逃げるぞ。鏡を見なさい鏡を。そして見てみなさい、ウィル少年のビビり顔を。

 ─────ん?君達、何をしようとしているんだ?
 ─────あ、あ、まさかっ!
 ─────それはさすがに勘弁してあげなさいっ!
 ─────おっさんおっさん!笑ってないで止めて止めてっ!
  ─────多感なお年頃なんだからっ! 
 ─────女性不審になったら、どうすんのっ!

「─────こらこらっ!ウィル君に無理強いしたら、ウィル君とモモンガちゃんに嫌われちゃうよっ!」

─────嫌われちゃう。

 その台詞に、ウィル君の服を今まさにひん剥こうとしていた二人の手が、ピタリと止まった。

 止まると同時に、乱れた襟元を押さえながら、ウィル少年はおっさんの後ろに逃走した。 
 デカいおっさんの後ろに隠れる、服の乱れた幼気な少年の図‥‥‥‥。
 
 ─────何この光景‥‥‥‥。
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