95 / 236
二刀流?
しおりを挟む
『きゃ~~ジークさすがぁ~~でも~これじゃさすがに強すぎて残骸も残んないよね~~─────あ?』
もうもうと立ち込める煙が去ると、巨大な『シールド』が張られていた。
「あ、ぶな」
「いきなり、ブチかましやがった」
「‥‥‥‥姫様」
両手を前に伸ばし『シールド』を張ったのはクリスティーナだった。
『はぁぁあ?なんでアンタが能力使えんのよっ!』
少し前の自分は『シールド』どころか『ヒール』も怪しかった。
元々は苦も無く使えたのだが、あの自称『聖女』が現れ『呪詛』を受けてしまってから、この能力は上手く発動しなかったのだが。
「き、今日はなんだが、出来そうな気がします」
朝はしんどかったが、今は身体が軽い。
─────これが『仙桃』の効果なんだろうか。
「姫様ご無事ですかっ!?」
「─────こ、こりゃあ‥‥‥‥」
「お前、ジークかっ!」
先ほどの爆発音を聞いて、アルヴァレス達と砦の隊員が集まりつつあったが、侵入者の正体を悟った途端、部下に後退を命じる。
「アイツはマズい。皆さがれっ!─────うぁ」
途端に炎の塊がこちらに飛んできたが、届く前に『シールド』で散らされた。
一瞬、姫様の『呪詛』が解けたのかと思ったが、帽子を吹き飛ばされた姫様は、昨日のままだ。
─────相手は一人。
とはいえ、アイツは魔術も剣もこなす『聖職者』。はっきり言って面倒くさい相手だ。
剣術だけとっても、俺達がかなうかどうか判らない凄腕ときてる。他の隊員にはとても相手にさせられない
『ああー!イケメン騎士隊っ!やっぱコイツの側にいるじゃんっ!あのくそハゲ騙しやがってっ!』
聞きたくもないキンキン声が響き、声の発生源を探すと奴に握られた丸石から聞こえる。
『イケメンはこの私に跪かきゃいけなのよっ!ジークと共にさっさと私愛でなさいよっ!』
─────意味が分からない。
あの自称『聖女』は城を襲撃した際。俺達に向かって、自分に膝を付けと言ってきた。
なぜ陛下と姫様に捧げた剣を、この訳の分からない妄言女に捧げなければならないのか?
「─────全く意味わかんねぇよっ!」
─────ギィン
左隣りにいたラングが剣を構え飛び出したが、長い杖に楽々と受け止められる。
じりっじりっと鍔迫り合いの中、片手て受け止められたラングは、背中に嫌な汗が流れる。
「‥‥‥‥よお、敬虔なる神の僕さんよ‥‥‥‥いつから鞍替えしたんだよ」
「‥‥‥‥私はより強い神の僕です─────っ!」
今度は右からフリートが切りかかるが、今度は剣で止められた。
「─────っつ!‥‥‥‥そんな簡単に宗旨替えとは、ちょと腰が軽いんじゃありませんかね」
憎まれ口を叩きながらも、二人を相手に片手で止められるなど、信じたくない事態だ。
「アル隊長。『バフ』をかけます」
いつの間にか側に寄ってきた姫様から、久しく聞いていなかった台詞が飛び出した
「姫様、できるのですか?」
「ええ、今の私は調子がいいのです」
言うと同時に、アルヴァレスの身体がほのかに輝く。ああ、いつかの姫様にかけてもらった『バフ』の感覚だ。
「どうですか?」
「流石です」
「前ほど威力は無いかもしれませ─────っ!」
自分達の近くに二人が飛ばされてきた。
幸い深い怪我は無いようだが、体力の消耗がはげしい。対して相手は涼しい顔だ。
片手に魔術の杖、片手に剣。持っていた丸石は戦闘中投げ出され、草むらの中で何やら喚き散らしているのが聞こえる。
「くそっ!まったく、イヤになる『聖職者』様だぜっ!」
「何故あんなのが『聖職者』をやってるのでしょうか」
騎士団の自分達を軽くいなすのが『聖職者』とは、まったく納得がいかない。
─────ゴッ!こちらに巨大な『炎』が飛んできた。
「─────全くだっ!」
前に出たアルヴァレスは『炎』を一刀両断する。
綺麗に二つに分かれた『炎』は自分達を通り過ぎ、後方で爆散しながら砦の外壁を破壊する。
「‥‥‥‥今度は、アルヴァレス隊長ですか?」
「そのようだな。出来ればこのまま帰ってくれると、有難いんだがな」
「そんなわけには参りません。聖女様の願いは叶えませんと。貴方もこちらに参りませんか?」
「─────はぁ?俺は国の騎士なんでね。ちなみにピンクは嫌いな色だ」
前まではそんな事はなかったが、今やピンク色には嫌悪感が満載だ。あの色を見るとキンキン声と同セットで拒否感がでる。
「‥‥‥‥なら、仕方ありませんね」
─────スっとこちらに剣先が向けられる。
どうやら、剣で相手をしてくれるようだ。
─────じりっと剣を握る手に力がこもる。が、黒い影が空から降ってきた。
─────ドゴォォン !!
爆発音と共に砂煙が盛大に舞った。
「風呂を壊したのは誰じゃぁぁ─────!!私の楽しみを邪魔する奴は、どこのどいつじゃァァァァ!出てこんかいぃぃ─────っ」
─────怒れる異国人が空から降ってきた。苦戦を強いられた相手を、地面にめり込ませて‥‥‥‥。
もうもうと立ち込める煙が去ると、巨大な『シールド』が張られていた。
「あ、ぶな」
「いきなり、ブチかましやがった」
「‥‥‥‥姫様」
両手を前に伸ばし『シールド』を張ったのはクリスティーナだった。
『はぁぁあ?なんでアンタが能力使えんのよっ!』
少し前の自分は『シールド』どころか『ヒール』も怪しかった。
元々は苦も無く使えたのだが、あの自称『聖女』が現れ『呪詛』を受けてしまってから、この能力は上手く発動しなかったのだが。
「き、今日はなんだが、出来そうな気がします」
朝はしんどかったが、今は身体が軽い。
─────これが『仙桃』の効果なんだろうか。
「姫様ご無事ですかっ!?」
「─────こ、こりゃあ‥‥‥‥」
「お前、ジークかっ!」
先ほどの爆発音を聞いて、アルヴァレス達と砦の隊員が集まりつつあったが、侵入者の正体を悟った途端、部下に後退を命じる。
「アイツはマズい。皆さがれっ!─────うぁ」
途端に炎の塊がこちらに飛んできたが、届く前に『シールド』で散らされた。
一瞬、姫様の『呪詛』が解けたのかと思ったが、帽子を吹き飛ばされた姫様は、昨日のままだ。
─────相手は一人。
とはいえ、アイツは魔術も剣もこなす『聖職者』。はっきり言って面倒くさい相手だ。
剣術だけとっても、俺達がかなうかどうか判らない凄腕ときてる。他の隊員にはとても相手にさせられない
『ああー!イケメン騎士隊っ!やっぱコイツの側にいるじゃんっ!あのくそハゲ騙しやがってっ!』
聞きたくもないキンキン声が響き、声の発生源を探すと奴に握られた丸石から聞こえる。
『イケメンはこの私に跪かきゃいけなのよっ!ジークと共にさっさと私愛でなさいよっ!』
─────意味が分からない。
あの自称『聖女』は城を襲撃した際。俺達に向かって、自分に膝を付けと言ってきた。
なぜ陛下と姫様に捧げた剣を、この訳の分からない妄言女に捧げなければならないのか?
「─────全く意味わかんねぇよっ!」
─────ギィン
左隣りにいたラングが剣を構え飛び出したが、長い杖に楽々と受け止められる。
じりっじりっと鍔迫り合いの中、片手て受け止められたラングは、背中に嫌な汗が流れる。
「‥‥‥‥よお、敬虔なる神の僕さんよ‥‥‥‥いつから鞍替えしたんだよ」
「‥‥‥‥私はより強い神の僕です─────っ!」
今度は右からフリートが切りかかるが、今度は剣で止められた。
「─────っつ!‥‥‥‥そんな簡単に宗旨替えとは、ちょと腰が軽いんじゃありませんかね」
憎まれ口を叩きながらも、二人を相手に片手で止められるなど、信じたくない事態だ。
「アル隊長。『バフ』をかけます」
いつの間にか側に寄ってきた姫様から、久しく聞いていなかった台詞が飛び出した
「姫様、できるのですか?」
「ええ、今の私は調子がいいのです」
言うと同時に、アルヴァレスの身体がほのかに輝く。ああ、いつかの姫様にかけてもらった『バフ』の感覚だ。
「どうですか?」
「流石です」
「前ほど威力は無いかもしれませ─────っ!」
自分達の近くに二人が飛ばされてきた。
幸い深い怪我は無いようだが、体力の消耗がはげしい。対して相手は涼しい顔だ。
片手に魔術の杖、片手に剣。持っていた丸石は戦闘中投げ出され、草むらの中で何やら喚き散らしているのが聞こえる。
「くそっ!まったく、イヤになる『聖職者』様だぜっ!」
「何故あんなのが『聖職者』をやってるのでしょうか」
騎士団の自分達を軽くいなすのが『聖職者』とは、まったく納得がいかない。
─────ゴッ!こちらに巨大な『炎』が飛んできた。
「─────全くだっ!」
前に出たアルヴァレスは『炎』を一刀両断する。
綺麗に二つに分かれた『炎』は自分達を通り過ぎ、後方で爆散しながら砦の外壁を破壊する。
「‥‥‥‥今度は、アルヴァレス隊長ですか?」
「そのようだな。出来ればこのまま帰ってくれると、有難いんだがな」
「そんなわけには参りません。聖女様の願いは叶えませんと。貴方もこちらに参りませんか?」
「─────はぁ?俺は国の騎士なんでね。ちなみにピンクは嫌いな色だ」
前まではそんな事はなかったが、今やピンク色には嫌悪感が満載だ。あの色を見るとキンキン声と同セットで拒否感がでる。
「‥‥‥‥なら、仕方ありませんね」
─────スっとこちらに剣先が向けられる。
どうやら、剣で相手をしてくれるようだ。
─────じりっと剣を握る手に力がこもる。が、黒い影が空から降ってきた。
─────ドゴォォン !!
爆発音と共に砂煙が盛大に舞った。
「風呂を壊したのは誰じゃぁぁ─────!!私の楽しみを邪魔する奴は、どこのどいつじゃァァァァ!出てこんかいぃぃ─────っ」
─────怒れる異国人が空から降ってきた。苦戦を強いられた相手を、地面にめり込ませて‥‥‥‥。
142
お気に入りに追加
899
あなたにおすすめの小説
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる