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二刀流?

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『きゃ~~ジークさすがぁ~~でも~これじゃさすがに強すぎて残骸も残んないよね~~─────あ?』

 もうもうと立ち込める煙が去ると、巨大な『シールド』が張られていた。

「あ、ぶな」
「いきなり、ブチかましやがった」

「‥‥‥‥姫様」

 両手を前に伸ばし『シールド』を張ったのはクリスティーナだった。

『はぁぁあ?なんでアンタが能力使えんのよっ!』

 少し前の自分は『シールド』どころか『ヒール』も怪しかった。
 元々は苦も無く使えたのだが、あの自称『聖女』が現れ『呪詛』を受けてしまってから、この能力は上手く発動しなかったのだが。

「き、今日はなんだが、出来そうな気がします」 

 朝はしんどかったが、今は身体が軽い。
 ─────これが『仙桃』の効果なんだろうか。

「姫様ご無事ですかっ!?」

「─────こ、こりゃあ‥‥‥‥」

「お前、ジークかっ!」

 先ほどの爆発音を聞いて、アルヴァレス達と砦の隊員が集まりつつあったが、侵入者の正体を悟った途端、部下に後退を命じる。

「アイツはマズい。皆さがれっ!─────うぁ」

  途端に炎の塊がこちらに飛んできたが、届く前に『シールド』で散らされた。
 一瞬、姫様の『呪詛』が解けたのかと思ったが、帽子を吹き飛ばされた姫様は、昨日のままだ。

 ─────相手は一人。
 とはいえ、アイツは魔術も剣もこなす『聖職者』。はっきり言って面倒くさい相手だ。
 剣術だけとっても、俺達がかなうかどうか判らない凄腕ときてる。他の隊員にはとても相手にさせられない

『ああー!イケメン騎士隊っ!やっぱコイツの側にいるじゃんっ!あのくそハゲ騙しやがってっ!』

 聞きたくもないキンキン声が響き、声の発生源を探すと奴に握られた丸石から聞こえる。 

『イケメンはこの私に跪かきゃいけなのよっ!ジークと共にさっさと私愛でなさいよっ!』

─────意味が分からない。

 あの自称『聖女』は城を襲撃した際。俺達に向かって、自分に膝を付けと言ってきた。
 なぜ陛下と姫様に捧げた剣を、この訳の分からない妄言女に捧げなければならないのか?

「─────全く意味わかんねぇよっ!」

 ─────ギィン

 左隣りにいたラングが剣を構え飛び出したが、長い杖に楽々と受け止められる。
 じりっじりっと鍔迫り合いの中、片手て受け止められたラングは、背中に嫌な汗が流れる。                      

「‥‥‥‥よお、敬虔なる神の僕さんよ‥‥‥‥いつから鞍替えしたんだよ」

「‥‥‥‥私はより強い神の僕です─────っ!」

 今度は右からフリートが切りかかるが、今度は剣で止められた。

「─────っつ!‥‥‥‥そんな簡単に宗旨替えとは、ちょと腰が軽いんじゃありませんかね」

 憎まれ口を叩きながらも、二人を相手に片手で止められるなど、信じたくない事態だ。

「アル隊長。『バフ』をかけます」

 いつの間にか側に寄ってきた姫様から、久しく聞いていなかった台詞が飛び出した

「姫様、できるのですか?」

「ええ、今の私は調子がいいのです」 

 言うと同時に、アルヴァレスの身体がほのかに輝く。ああ、いつかの姫様にかけてもらった『バフ』の感覚だ。

「どうですか?」

「流石です」

「前ほど威力は無いかもしれませ─────っ!」

 自分達の近くに二人が飛ばされてきた。
  幸い深い怪我は無いようだが、体力の消耗がはげしい。対して相手は涼しい顔だ。
 片手に魔術の杖、片手に剣。持っていた丸石は戦闘中投げ出され、草むらの中で何やら喚き散らしているのが聞こえる。

「くそっ!まったく、イヤになる『聖職者』様だぜっ!」

「何故あんなのが『聖職者』をやってるのでしょうか」 

 騎士団の自分達を軽くいなすのが『聖職者』とは、まったく納得がいかない。
 
  ─────ゴッ!こちらに巨大な『炎』が飛んできた。

「─────全くだっ!」

 前に出たアルヴァレスは『炎』を一刀両断する。
 綺麗に二つに分かれた『炎』は自分達を通り過ぎ、後方で爆散しながら砦の外壁を破壊する。

「‥‥‥‥今度は、アルヴァレス隊長ですか?」

「そのようだな。出来ればこのまま帰ってくれると、有難いんだがな」

「そんなわけには参りません。聖女様の願いは叶えませんと。貴方もこちらに参りませんか?」

「─────はぁ?俺は国の騎士なんでね。ちなみにピンクは嫌いな色だ」

 前まではそんな事はなかったが、今やピンク色には嫌悪感が満載だ。あの色を見るとキンキン声と同セットで拒否感がでる。

「‥‥‥‥なら、仕方ありませんね」

 ─────スっとこちらに剣先が向けられる。
 どうやら、剣で相手をしてくれるようだ。
  
  ─────じりっと剣を握る手に力がこもる。が、黒い影が空から降ってきた。

 ─────ドゴォォン !!
  
 爆発音と共に砂煙が盛大に舞った。

「風呂を壊したのは誰じゃぁぁ─────!!私の楽しみを邪魔する奴は、どこのどいつじゃァァァァ!出てこんかいぃぃ─────っ」

 ─────怒れる異国人が空から降ってきた。苦戦を強いられた相手を、地面にめり込ませて‥‥‥‥。
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