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事務手続きは秒で

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「─────そ、それでだな。お主らからの話からすると、ドルクの怪我を治したのはクリスティーナ姫じゃなくお主なのじゃな?」

 ─────何よ、どうした。おっさん
 さっきの強面から、急にもじもじしだすのは止めてほしい。

「ドルク様のお怪我は、再起不能までいってましたが、ここにいるリオさんが治しちゃいました。そのついでに、毛根も復活しちゃったんです~」

「─────な、な、なんとっっっ!!つ、ついでだとっ!!」

─────そ~です~。と軽くぶっこんでいくウィル少年。

「すごかったですよ~。周りにいた『同盟』の人達も一片にフサフサになりまして~『同盟』も解散だ~て騒いでましたね~」
 
 再起不能の話より、めっちゃ喰いついてくる強面おっさん。知り合いとして、それはいいのか?あんた、髪あるよね?‥‥‥‥あ、帽子。‥‥‥‥そっか、抵抗している人か‥‥‥‥。
 
「そ、それは頼んだら、や、やってくれるのか?」

─────めっちゃ強面がグイグイ来るんですけど。また毛根の話か?でも、あれは何というか‥‥‥‥。

「‥‥‥‥偶然の産物だから」

 ‥‥‥‥ほら、怪我を治した『治癒』が漏れ出た感じだからね。
─────決して毛根を治したわけではないっ!そして、フェンリル母さんに知られたくない。そんな事がバレたら、地獄のブートキャンプが待ってるぅっ!

「まあ、偶然の副産物ですけど、姫様も規格外って仰ってましたし。リオさんならきっと普通に出来ちゃうと思うんですよね~ なんですけど~」

「─────な、なんだ。金か、金がいるのか!? いくらだっ!」

 ─────え? いきなり金銭の話かい? こういう場合、金銭取引が発生するのか?
 というか当人の自分を蚊帳の外に、なんだがウィル君が、強面おっさんを相手に交渉をしているという図式が目の前に展開している。

 まあ、おっさん達の時は姫様と共同?的な感じで『治癒』を展開してたんだけど、どこまで出来るのかっていうは、経験値がないからはっきり判らなかったんだよな。
 今だとこれぐらいかな?という感覚は分かる様になった。────経験って大事だな。‥‥‥‥結構あぶれてるけど‥‥‥‥。

「リオさんは、遠方からこの国に来てるんです。ドルク様達の時は、姫様の指導の元、試験的に『能力』を行使してもらいましたけど‥‥‥‥」

 ─────ほ? 姫様の指導? あ、うん。してもらったわ。 すんごい細かい奴。
 結局、色々ぶち壊して「私の教えたの、どこ行きました?」とちょっと拗ねられたけど。
 『おかめ』顔ですごんでくるのは、ちょっと怖いので、勘弁してもらいたい。

「─────はははっ!皆まで言わんでも解るわいっ!『特級』を用意すればいいのだろう?」

「え~僕そこまで言ってませんよ~」

「ふん、まだ若そうなのに、なかなかやるではないかっ!」

 ─────なになに?何を用意するって?そして強面おっさんは「見ておれっ!秒で用意してやるぞっ!」と何やら高速で書類を作成している。

 ─────何?急にどうしたの?とウィル少年を見ても、ニコニコして満足そうな様子で書類作成を見ている。

「─────ぬ。 後見人が足らんな」

「ドルク様がいらっしゃるじゃないですか~」

「そうだ、あ奴がおるっ!無駄に高い身分を、ここで役に立ってもらわねばなっ!!」

 そう言いながら、書類を抱えたまま部屋を飛び出していった。
 
  ‥‥‥‥何が何だか分からない。どうしたおっさん。

「リオさん良かったですね!最短でも、ひと月以上はかかる『身分証』が手に入りますよ~しかも、ギルドの長が特別許可する『特級』ですよ~」

 ─────ほえ~。『身分証』ですか~そっか~

 今までの会話の流れから、なぜ『身分証』作成になったのか、さっぱり分からない‥‥‥‥。

「隊長達が手続きしても良かったんですけどね~。今の立場だと、結構時間が掛かっちゃうと思いますしね~」

─────うん。 分からない。けど、事務手続きに時間が掛かるのは分かった。 

 ‥‥‥‥『身分証』ねぇ‥‥‥‥誰かトリセツちょーだい。
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