聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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しないよ

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「いつも通り現れて来たから失念していたが、ドルクの奴は再起不能の怪我を負ったと密かに聞いていたが‥‥‥‥」

 幼い兄弟と別れ、再び応接室に戻ってきた私達。シロ君は人数が少なくなったので、長椅子を占領します。─────気に入ったんだね、長椅子。

「おっさん?まあ、確かに重症だったわね‥‥‥‥」

 そこら辺は、自分よりウィル少年のが知ってるよな。

 付け加えるなら『毒素』に侵されていた事よね。それでなければ、あの筋肉だるまのおっさんがあそこまでメンタルやられないよね。本人の前では言えないけど、基本『脳筋』だし‥‥‥‥。

「はい。リオさんがいなければ、ドルク様はじめ、数人の隊員が命を落とすところでしたね‥‥‥‥」

「─────なんだと?どういう事だ?」

  ドルクのおっさんが『名前』で頭を絞っている間。私とウィル少年はギルドの長にガっつり捕まったのだ‥‥‥‥。


「姫様‥‥‥‥本当にコレ食べるんですか?‥‥‥‥」

「食べずにおいてどうするの‥‥‥‥?生ものだし‥‥‥‥」

 ─────きっと腐るよ‥‥‥‥。
 
 リオさんが置いていった『仙桃』を手に、サラは細かく震えていた。
 無理もない、幻と言われていた『仙桃』が「うちの畑で沢山採れたから、よかったら食べて~」感覚でポンと手の中に置かれていったのだ。

「─────普通に食べれるし、甘くておいしいよ‥‥‥‥」 

「‥‥‥‥コレ、まさか」
「姫様コレって‥‥‥‥」

 護衛の二人がサラを挟み、手の中にある果物を凝視している。

「─────も、『仙桃』。昨日もアル隊長と食べたし。安全だよ?」

「「 ─────~~~~ ズルいっっっす!!」」

 ‥‥‥‥ズルいって言われても。
 確かに昨日リオさんが出してくれるまで、自分もレアアイテムだと思っていた。サラの動揺は、昨日までの私なら理解できる。
 実際目の前に出てきた『仙桃』はとっても甘くて美味しい『桃』であった。

「‥‥‥‥昨日リオさんに詳しく聞いたけど、条件とかレベルとか色々そろわないと、レベルアップとかまず滅多にしないらしいわよ」

「「~~~しないんですか~~(泣)」」

「基本『元気の元』らしいよ‥‥‥‥」

 ‥‥‥‥なんだろう、こう言うと栄養剤かなんかみたい。


「あ~甘いですね~」
「いい匂い~おいしい~」
「‥‥‥‥美味しい‥‥‥‥」

 納得してくれたのか、やっとサラは『仙桃』の皮をむいてくれたのである。

「うま~~(泣)」
「甘いよ~美味いよ~~(泣)」

「「 ~~何も変わらない~~ (泣)」」 

「だから、そんな簡単にならないって」

 ─────レベルアップとかすると、体全体が光るらしいって教えてもらった。

 リオさん自体は食べても何も変化は無く、単なる美味しい『桃ちゃん』らしく効果はイマイチ感じられないらしい‥‥‥‥。 

 ‥‥‥‥私は一応、HPと MPが満タンになる感覚を『桃ちゃん』で初めて知った。
 ちなみに体が光ったのは、シロ君の『お母さん』と聞いた。
‥‥‥‥リオさんは森で何をしてきたのでしょう‥‥‥‥。めっちゃ聞いてみたいけど‥‥‥‥こわい。
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