聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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ぺぺっと

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 メイドのサラさんの手によって、私の髪は緩いハーフアップに整えられた。
 私がサラさんに拘束されている間、メイドのユリアさんはセットになっていたであろうヒールの編み上げブーツと、腰巻ベルトを見つけだした。

「あとコレもそうですよね~」

 取り出したのは、短めのマント。ペリースってやつかな。
 腰巻ベルトを付けるのを手伝ってもらい、セットであろうペリースを眺めてみると、まあ、結構派手な刺繍が施してあった。‥‥‥‥着なくてもいいかなコレ‥‥‥‥あ、ダメですか、そうですか‥‥‥‥。

 ─────鏡に映る自分は髪の色も相まって、どこかの国の黒騎士のようだ。

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥どこか攻め落としに行くんですか?」

「‥‥‥‥違うけど」

 あの姫さん、どこを目指してたんだ?まさか、軍帽とかはないでしょうね!?
 意地で着たものの、急に不安になってくる。─────これ大丈夫か?怪しくない?

「色彩は違いますけど、アル隊長達もそれぐらいですから」

「騎士か魔術剣士って感じですよ~」
                                                           
 ─────あ、そう言えばこんな感じだった。悔しいけど、あっちは身長と鍛えた筋肉があるからな~似合うんだよな~。

 ‥‥‥‥開き直ったもんが勝ちだ。ヒラヒラパステルカラードレスより十分マシだ!
  
「そういえば、お姫さんはどうしてるの?」

「実は姫様は、今日は体調がすぐれなくて。お部屋でふせっておいでです‥‥‥‥」

 ─────まさか、風呂でのぼせたのがまずかったとか?

「姫様はあのお姿になってから、体調をよく崩すようになってしまわれて‥‥‥‥」

「ベッドから出られない日が増えたんです~」

「昨日はお休みになるまで、楽しそうでしたので私達も嬉しかったんですけど‥‥‥‥」

 あ、風呂のせいじゃないのね。私のせいかと思ったよ。
 『呪詛』の影響が体調に響いているってことよね。こういうのは『治癒』とか効くのかな?

「ちょっと覗いていこうか。服も見せないと。あ、シロ君。どこ行ってたのよ」

 廊下に出ると、どこからともなくシロ君が現れた。
 昨夜に続き、毛並みが湿っている‥‥‥‥。昨日よりビショビショじゃないところを見ると、さては誰かに拭いてもらったな?

 サラさんが自分の前を歩きながらも、ちらちらシロ君を気にするので、廊下を歩きながら今回は静かに、穏やか~に『ドライヤー』をかけてみた。
 
 ─────あ、いい感じにできた。
 キラキラなびく毛並みに、シロ君が満足そうに尻尾をフリフリしながら前を歩く。

「お姫さんどう?─────ぶっ」

─────なんだ?ぺぺっと顔を払う。

 扉から入った途端、何かか顔に触れた。 

「どうしました?」

「なんか、蜘蛛の糸に引っかかったみたい」

「─────え、蜘蛛ですって」

 サラさんとユリアさんが、顔色を変えてあちこちパタパタする。 
  綺麗に掃除は出来てると思うよ?

 「リオさん?」

 部屋の置かれた寝台の方から、姫様の声がした。
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