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曇ってます

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「私、サラと申します。クリスティーナ様がダウンされたので、ここからは私がリオ様のお世話をさせていただきます」

 眼鏡をクイッと直すメイド様。出来る人間雰囲気がプンプン致します。 
 それにしても、お姫様にお世話されてる私って、何?

「そう言えばサラさん、さっきまで医療棟にいたんですよね~。視力良くなってませんか?」

「そうなんですか?ですが、コレは伊達ですので」

「え、知らなかった~」

 ─────私は視力回復薬じゃないんだけど‥‥‥‥。

「肌質が若返ったことには、大変感激しております」

「‥‥‥‥家の姉達には、内密にお願いします‥‥‥‥」

「もちろんです」

─────何?最後の方二人が何言っているのか、小声で聞こえなかった。

「それでお姉さん、恐縮なんですが‥‥‥‥『男性用』って使えますか?」

「─────え、知らない‥‥‥‥」

─────『女性用』があれば『男性用』もあるわな。ははは
 三人で『男性用』に行ってみれば、こちら側もクリーンが届いていたらしく、ピッカピカの浴場が出来上がっていた。『男性用』に遠慮?しないよ?─────誰も真っ裸になっていないからいいじゃん。
 元の状態を知っているのか、ふぉぉぉと感激しているウィル少年に、水栓を開けてみようと促すと、こちらも問題なく湯口からお湯が出てきた。

「すごいですっ!すぐにでも入れそうですね!」

 ─────僕、報告に行ってきます。とウィル少年は走り去っていった。
 ドバドバと湯船にたまるお湯を見ながら、メイドさんがポツリと呟く。

「私達も入れるでしょうか‥‥‥‥」

「えぇ!?お姫様はそのつもりだけど?」

─────みんな疲れてるだろうからって。
 ま、私がお先に借りたましたけど?そういう施設でしょ?みんなで使わなきゃ。せっかく直したのに意味ないじゃん。

 そう言うとメイドさんは、嬉しそうに笑った。

 ─────眼鏡曇ってますけど。


「隊長~失礼しま~す。リオさん『大浴場』使えるようにしちゃいました~」

「─────マジか」

「マジです~も~スゴイですよ~『男性用』も今、お湯張ってます~」

 ─────ガタッとフリートが椅子から立ち上がる。

「行きましょうっ!夕食もそこそこだった我々には、一番最初に使う権利があると思いますっ!」  

「─────お、おう」

 ‥‥‥‥そんなに好きだったのか、風呂。

「さ、先に行っててくれ。俺は後から行くから‥‥‥‥」

─────そうですか、では。

 こちらの返事もあまり聞いてないようで、さっさと部屋から出ていく。

「あ、フリート様~まだ何も用意してないので~ちょと待ってください~」

 遠ざかる少年の声を聞きながら、思わずため息が出た

「アイツ、あんなにも風呂好きだったんだな‥‥‥‥」

「俺もあそこまでとは思わなかった。─────あれ?フェンリルがいねぇ」

 一番風呂と喜びいさんで扉を開けた向こうには、部屋にいたはずのフェンリルが、まったりと湯に浸かっている姿だった。

「‥‥‥‥フェンリルは風呂に入るのですか‥‥‥‥知りませんでした‥‥‥‥」

─────その光景に、フリートはスンっとなった。
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