聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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「どうした?何か問題でも?」

 入り口に立つ少年に、先ほどよりやつれた様子の隊長が訊ねる。

「いえ、特に問題という事ではないですが、姫様とリオさんが『大浴場』へ行かれました」

「『大浴場』?今は使われていない施設の事ですか?」

─────そんな所に何故?と三人から質問が飛ぶが。

「入りたいそうです」

「あれって使われなくなって数年は経ってるよな?」

「そんなかわいい話じゃないですよ。あそこは今や廃墟ですよ」

─────だよな。と三人で顔を見合わせる。

「‥‥‥‥そんな事出来るのか?」

「姫様は何故か自信満々でしたけど~」

 ─────そりゃ、あそこが稼働出来れば、それはそれで大変ありがたいのだが‥‥‥‥。
 
「女性用だけですかね‥‥‥‥」

「‥‥‥‥そういやお前、風呂好きだよな」

「蒸し風呂もいいんですけど‥‥‥‥」

 ─────ぷしっとフェンリルから、呆れたような鼻息が飛んできた。
 
 ウィル少年の方を見ると、少年の背後から顔を半分だけ覗く二人のメイドの姿に気づいた。
 なぜか目線は、長椅子を占拠しているフェンリルに向いている気がする。
  その視線に気付いたのか、フェンリルはさらに姿勢を低くする。

「あ~サラとユリア?すまないが姫様の様子を見てきてくれるか?たぶん『大浴場』の女性用にいると思うから」

 すかさず姿を現し「かしこまりました」と去っていく二人。ちらっちらっとフェンリルに名残惜しそうな視線を送っている。

 二人組が去ると、再びドカリとふんぞり返るフェンリル。
 アルヴァレスはフェンリルの毛並みが、やたらフワフワしているのに気付いていたが、フリートと共にあえて触れないようにしていた。

「─────あれお前、さっきよりやたらキラキラしてね?それになんか花みたいな匂いもす─────ぐわぁ!」

 空気の読めないラングは、ちょっと大きくなったフェンリルの下敷きになった。
 ただ、たぶんメイドの手入れでフワフワの毛並みの下敷きになった為───── 

「‥‥‥‥ちょっと、羨ましいかも‥‥‥‥」

 ─────少年の発言に、同意してしまった。


「さすがに外は、暗くて見えないわね─────『しょ‥‥‥‥』」

「私がやります!『ライト』っ!」

 『照明』をやろうとしたら、何故か姫様が辺りを明るくしてくれた。
 浮かび上がる『大浴場』の起動部分と思われる装置。元の世界ならばボイラー室ってところかな?
 
 『ナビ』の指示に従った結果。眩しい光に目をやられましたが、浴場はぺっかぺかの新品かよと言うぐらい綺麗になった。  
  が、風呂は湯が出なければ話にならない。元の世界の様に、蛇口をひねれば湯が出るという事ではないのだ。魔法で湯を出す?─────それはちょっと違うかな~と謎のこだわりが出てしまう。
 動力源はどこだと探せば、『外です』と冷たく『ナビ』に言われ(?)た。
 
「要はこれが動かないから、『大浴場』は使えなかったのね~」

 ぺぺっと『クリーン』をかければ、複雑そうな装置が姿を現す。

「‥‥‥‥私こういうの苦手ですけど、お姉さんわかります?」

 こんなものがあるとは知らなかったとお姫様は言うが、普通は知らないよね~

「私も知らない。『ナビ』ちゃんに教えてもらう~」

 ほらほらほら『ナビ』ちゃん出番だよ。と急かせば  

『「火山熱」の石が消失の為、起動できません』 の冷たい表示。

「ええ─────。もう、入る気分なのに─────」
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